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変わらない田舎生活のあるある話

今日は午後から日役(ひやく)に行かなければならない。
主な作業はたんぼの溝掃除だ。
田舎生活ではこのような日役が年に数回行われる。


誰も言わない田舎の掟

我が家は山に囲まれ川が流れる自然豊かな地域にある。
家の窓からは山やたんぼが見える静かな住宅地だ。
これほど住みやすいところは他にないと言いたいところだが、決していいことばかりではない。

年度始まりということで1年分の自治会費を払わなければならないが、その金額は16,800円だ。
もちろん田舎ではこれよりも高い自治会費を求められる地域も多いので一概には言えないが、都市部と比較すればこの金額は高いと言えるのではないだろうか。
それでも昔から住んでいるので、自治会から抜けるという選択肢は先ず考えられないのが実情だ。

田舎生活の日役負担

私は人に田畑の管理を託しているが、地域の環境を守る一環であったり生活水路の保全という目的でこのような日役が行われ地権者として参加することになっている。
国の制度も利用しているが、全て管理予算を賄えるものではない。

今日の日役はたんぼの水利系によって区分けされた地域の作業になっている。
私は午後の作業だけに参加するが、3水系の作業を順次行うため人によっては一日中この日役に出なければならない者もいる。

私はこのような日役も近隣のコミュニケーションだと思って参加しているが、高年齢になった人の中には体調理由で参加しない人が年々増えているのが現状だ。

我が家も息子たちは独立して同居はしていないので将来は空き家になる。
今でも田畑は負の財産だが、将来息子たちにこの財産を押し付けるのは気が引けるところだ。

私だけではなく田舎にはこのような家が少なくない。

定年退職の洗礼

私も定年退職した途端に地域の洗礼を受けることになった。
自治会の上位の役職に当選したのだ。

当選と言えば聞こえはいいがなにも立候補して当選したわけではない。
ここが田舎の怖いところだ。
当地区では年度終りに次年度の自治会役員を選挙によって決めているが、立候補者も推薦者もいない。

その選挙では投票用紙に誰かの名前を記入し選挙管理委員長に提出する決まりになっているが、無作為に書くこともできないので現職の役員に聞くことになる。
すると役員が役員会で出ていた名前を告げることで投票用紙を埋めているのだ。

知らないのは名前を書かれる本人だけと言うことだ。

つまり誰もやりたくない役職を、誰かに押し付けるという訳だ。
田舎ではあるあるの押し付け選挙だ

私はこのようなやり方には少し疑問を感じていたが、とうとう定年退職を切っ掛けにその洗礼を受けたという訳だ。

当地域の役の種類は多い。
自治会、農業、山林、お寺などの役だ。
もちろん下位の役はこれまでにも何度もやっている。

今回は当選したから任期の間は勤めたが、せめて前もって本人にも分かるように根回ししてほしかった。


やりたい人はいないと書いたが実はそうではない。
頼まれればやってもいいと思っている人は一定数いるのだ。
サラリーマンや公務員を定年退職した人で承認欲求の強い人たちだ。

ところがそのような人たちは何故か指名されないのが当地区の掟のような気がしてならない。

私が住む地域では都市部からアイターンやユーターンで移住する人たちにも、能力には関係なくそのような上位の役は回らない。
これは移住者にとっては悪くない話だ。

当地域の田舎にはそのような不思議な掟が少なくない。

田舎が住みやすいと感じること

このような不思議な掟で煩わしさも感じるが、決して悪いことばかりではない。
田舎ならではの良さもちゃんとある。

私の家がほとんど野菜を作っていないことを、近隣の人たちに知らない人はいない。
だからいつも採れたての野菜を持って来て頂ける。
中には勝手に引き抜いて持って帰ってくれと言われることもあるくらいだ。

きゅうり、ネギ、トマト、白菜、ナス、タケノコなど近隣から頂く野菜の種類も豊富だ。
今年は野菜が高騰しているので非常に助かっている。

しかし最近は近隣農家の高齢化で頂ける野菜が徐々に減っている。

住みやすいと感じるのは頂ける野菜だけではない。
主要道路から離れていることもあって車の音が頻繁に聞こえることもなく割と静かだ。
落ち着いた生活をするのに騒音がないことは至って重要だ。

そのお蔭で時間がゆっくり流れのどかで、何かに没頭する時の集中力を妨げない。

そして持ち家であっても新築でない限り固定資産税は安く、下水なども整備されているので家での暮らしは都市部と変わりない。

節約しているとはいえ年金だけでも生活できているのは家賃がいらないからだ。

今後は当地域のような田舎の空き家はどんどん増えるので、都市部で定年退職した人には安くで空き家を買って移住することも選択肢のひとつになるだろう。

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