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社会的養護に向き合うNPO法人「夢の宝箱」ってどんな団体?

「困ったことがあった時、誰に助けを求めますか?」

皆さんはどんな人を思い浮かべましたか?
家族や友人、仕事の仲間など思い浮かべたのではないかと思います。

「困った時に助けを求められること」ができることは本当に素晴らしいことです。

一方で、それが当たり前ではなく、難しい環境にいる人たちもいます。
家庭、社会の都合によって、大人や社会への不信感を抱き、今も孤独と戦い続けている子どもたちです。

私たちはこのような状況を改善し、彼らをサポートすることを目的に立ち上がった団体です。



支援の必要な子どもたち

社会的養護とは?

社会的養護とは、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。

こども家庭庁

子ども家庭庁によると、社会的養護を必要とする児童は約4万2000人(2021年現在)。
彼らの支援先には「里親」「ファミリーホーム」「乳児院」など複数ありますが、約55%の子どもたちは「児童養護施設」に入所しています。

児童養護施設への入所理由は虐待が約45%

児童養護施設は、主に2歳から18歳までの社会的養護が必要な子どもたちをサポートする場所です。施設に入所する理由は様々ありますが、約45%が虐待となっています(2021年現在)。

また、児童相談所へ虐待の相談が入った件数は219,170件(2023年9月7日現在)。前年度より11,510件(+5.5%)増加し、過去最多を更新しています。

虐待は死につながるケースも少なくありません。
それだけではなく子どもたちの心にも大きなダメージが残るため、その後の人生に甚大な影響を与えてしまうのです。

退所後の子どもたちと社会課題

児童福祉法のもと原則として18歳になると自立が求められますが、社会的養護が必要な子どもたちは以下の様な問題に直面します。

「過去受けた心の傷から人付き合いが苦手」
「保証人がおらず銀行口座や家の賃貸契約が難しい」
「頼れる大人がおらず、孤独と不安を抱えてしまう」

これらの問題から、彼らは施設を退所したあとに孤立するケースが多く、継続した支援が必要になるのです。

子どもたちが自立に伴い直面する問題


私たちの活動

夢の宝箱では、施設を退所し社会に出て行く若者たち(以下、ユース)の支援事業を中心に活動しています。2017年から現在までの主な取組は以下の4つです。

①巣立ちの翼プロジェクト

児童養護施設退所後のアフターケアを就労、住居、心の3方面から行っています。

就労面では、本法人の関連企業であるLCVグループや協賛企業様にご協力いただき、ユースに合わせた求人の紹介やキャリアコンサルティングを実施。また住居面では、東京都江東区のUR賃貸住宅をリフォームしユース寮として開放するなどしました。現在はLCVグループと不動産会社の協力のもと、横浜市内の寮をユースたちに提供しています。

また心のケアとして、本法人スタッフによる自宅訪問や食事、買い物への同行など、ユースたちが気軽に相談できる環境作りにも力を入れています。

②ふれ愛プロジェクト

ユースがこれまで経験できなかったことやこれから体験してみたいこと発案し、本法人スタッフと一緒に話し合い、企画・実施する取組。

企画立案から実施までの過程を通じて、①ユース同士のコミュニティ作り、②協調性や自発性などの育成、③大人とのつながりを増やすことを目的としています。

これまでに横浜駅のごみ拾い・中華街ランチ、新宿駅のごみ拾い・代々木公園でのお花見を実施。ユースたちの笑顔が印象的だったほか、仲良くなったスタッフへの相談が増加するなるなど信頼関係の構築にもつながりました。

③社会的養護を考える会

児童養護施設を取り巻く現状を伝えることで、企業様と社会的養護の在り方について考えるための講演会。

(※要確認)過去の開催では、横浜市中区の児童養護施設 聖母愛児園の梛橋雄一統括主任、児童養護施設経験者で一般社団法人コンパスナビのブローハン聡さんをゲストスピーカーにお迎えし、ご自身の活動の原点となったエピソードや現在の取組などを話していただきました。

過去4回の開催には、延べ約100名の企業・団体関係者様にご来場いただきました。

④舞台『みんなの家 ひまわりの家』

2023年8月、聖光学院ラムネホール(横浜市中区)で実施した「児童養護施設での日常」がテーマの舞台です。

(※要確認)長年埼玉県で民生委員を務めた佐藤和恵さんが脚本を担当し、埼玉県で既に上演していた舞台。公演を観た見た聖母愛児園の梛橋さんが直談判し、本法人が企画・主催を担う形で、横浜での上演が実現しました。

父親からの虐待、母親の育児放棄、両親との死別など、様々な理由から児童養護施設で暮らす子どもたちと、支援する施設職員らの「リアル」が描かれた作品。2024年夏も上演予定ですので、ぜひお越しください!

おわりに

「困った時に、頼れる大人がいないこと」

その多くは家庭、社会、大人の都合によって生まれている状況だということを、私たちはまず認知する必要があると考えます。

知らなくてできないことはあまりにも多いです。
しかし、多くの方がこの現状を知り、社会的責任だと考え、行動することで
1人でも多くのユースたちの人生を未来あるものにできると信じています。

皆さんと一緒に社会的養育を必要とする子どもたちへ心からの幸せと笑顔を届けられるよう、
精一杯活動して参ります!

文:中村愛(https://twitter.com/love_chanchanch


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