『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』をIMAXレーザー上映で観て血湧き肉躍った

『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』が公開された。しかも最大環境のIMAXで。配給はA24だ。
A24、粋が過ぎる。センスがよくて、多大な影響を与えてきた作品を、レストア版で出す。レストアする意義、その作品をさらに引き出すという意義ををきちんと配給側が理解していることにまず感動します。客側の心理としてツボの押さえられ方が気持ちいい公開の仕方。予告もこれように撮り下ろしされたデヴィッド・バーンの映像がまた素晴らしくて。

やったー

1984年の映画。85年生まれの自分が自分が生まれた頃の映画を映画館でリマスターで観て感銘を受ける。これはもう「映画ありがとう、リマスターありがとう、俺生きてて良かった」という一種のプレイだ。とにかくここから長く生きれば生きるほどにこうした4Kリマスターで公開される名作たちにそう感じるのだと思う。とにかく過去、現在の時間軸がどういう形であっても交錯したりすることに強烈な生を感じるタイプなのだ、私は。見事に4Kレストアされる作品の客層にぶつかっているのだろうね。それでも"ソフトで観た伝説の名作"世代なので、劇場で見れるのはもう嬉しかです。

映画のいいところは作った人が故人になってしまっても、映画という装置で今現在、目の前ににその存在を立ち上がらせることが出来ることだと思っている。

今作で言えば演者は皆が歳を重ねて生きている。が、監督のジョナサン・デミは亡くなられている。ジョナサン・デミ監督の肖像、写真はどれも素敵な人柄が滲み出てくるようなお姿ばかりだ。だからデミ監督の意思や狙いを間違った形で出力すればバチが当たることになるのですよね。でもそういうことがない、ファンがこの作品を現代に蘇られせることにノってるわけじゃない。

『ストップ・メイキング・センス』自体は輸入DVDで何度も観てたのに、やっぱり劇場鑑賞はたまらない。

ライブコンサート映画ではあるものの、合計3度から4度ほどの公演を映画内で構成編集している。だから髪型が違ったり、衣装が違ったりが混在となっているんだね。でもそんな違いが面白いまま、約90分一本の自然な流れを追っていける。ただの中継じゃなくて、映画というアートフォーマットになっていることがこの映画の最大のミソだよね。サウンドも映画だからこその多層的なトラック作りが出来ているでしょうし。

そんな映画の中でアルバムやプレイリストが作られていっていくようなそんな革新的なアプローチがあります。

伝説のライブを風化させない、フィルムに焼き付けるということの意義が40年経過しても感じられるわけですからね。

今回、IMAXで観て、まー興奮した。血湧き肉躍るとはこのこと。
ずっと首は縦ノリ、なんなら少し歌った。
レイトショーの少ない客入りなので、周りに人がいなかったら許して欲しいが。
歌、ダンス、表現、目の前には何度も観た作品だから約束されているものとはいえ、ここまで大音響、大スクリーンで蘇るともう83年のライブが何度も映画館で体験出来るわけだよね。これはもうタイムマシンですよ。

映像を作るときに、映像と音響で人間の根源的な興奮、喜びを駆り立てたい、引き出したいみたいなのが個人的にはありますが、本作はドキュメンタリーベースのものとして過度に演出をするわけでもなく、でも演者をしっかり捉え、過度な説明をすることなくその余白で物語ってくる。これがたまらなくクールで震える。

この作品の考察、解説などはこれまた素晴らしい劇場パンフレットでしっかりと確認してほしい上で、まあシンプルにこんなにも興奮して、感激したという感情の記録を残したいという衝動に駆られたのでした。

俺はIMAXの回し者になりたい。それくらいい。


こういう宣伝文句も過剰広告じゃないよと思えるくらいIMAXは愛せる

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