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美容好きなおじさん~千葉のタツヤ①


蒼子53歳夏のline友達は、タツヤ。
彼もカイト同様、マッチングアプリでマッチして、lineで連絡をとるようになった52歳千葉のサーファー、年収2000万の会社経営者だ。

私はマッチングアプリのプロフィールで「一緒に旅行に行けるパートナーを探している」と書いている。
その頃は再婚とか一緒に暮らすとかは、いらないかと思っていて、相性が良くて、一緒にいて楽しい人、話の合う人で、恋人でなくて友達でもいいかなとも思っていた。
タツヤとは、旅行のことで話が合うということでlineで会話するようになった。
正直、年収2000万すごいな、経済的に豊かな人なのね~と思った。

しかし、私は初めから、少し気になるというか…、
私は佐藤タツヤという、息子が小学校の時のサッカー少年団の監督で、小学校の教員だった男が大嫌いだったので、タツヤという名前に少なからず抵抗があった。いいお名前とは思うが、嫌いな人の名前と同じなのが、ちょっと、嫌だった。

それから、タツヤは姉が3人いる末っ子らしく、私のプライベートデータでは、㊛㊛㊚みたいな男末っ子型は、母姉たちに過度に大事にされて、王子様のようなわがままタイプが多い、となっている。

その点については、タツヤに姉たちとの関係に尋ねたら、上二人とは年が離れていて、子どもの頃から仲が悪く、今でもよくないという話だった。

そういう親戚や家族付き合いがうざいし、セミリタイアして、海外に住みたい、と言っていた。

そっか、必ずしもわがまま王子様でもないのか…。とその時は思った。

タツヤとの話題は、『ダイエットしている。食事には気を付けている。週一マッサージとエステに通ってる』などというのもあり、私も関心事なので、情報交換などした。

そして、いつもタツヤは『疲れた。忙しい。休みがない』という言葉がとにかく、多かった。
私としては、会ったこともないし、仕事のこともよく知らないから『お疲れ様、お仕事大変なんですね』くらいしか言えない、それ以上、何も言えない…。
ある時、
私「忙しい、忙しくないって、社長の加減でどうにかならないんですか?もっと、社員さんに仕事を振ったりしないんですか?」
タツヤ「いや、社員が一人辞めて、その分を埋め合わせてしてるから…、だから、忙しいんだ。中小企業って、きついんだよ」

そうなんだ…と思いつつ、欠員あった場合のことを考えて余裕ある人員を確保しておくとか、欠員補充とかしてないのかな?社長であれ、誰であれ、一人の人の負担が大きすぎるのはブラックじゃないの?また、社長業は向いてないんじゃない?!とツッコミたいところでもあったが、「疲れた、僕ちゃん、がんばってるんだよ」の承認欲求からくるかまってちゃん的「疲れた」なのかなと思い、
私『お仕事お忙しいのにlineのお返事ありがとう。お休みはきちんと取られた方がいいですよ。無理はしないで、健康第一ですよ』
と私としては、労いの言葉を伝えた。

そんなこんなで、lineや電話を重ねて1か月くらい経った頃、
タツヤ「やっと、休みが取れそうだから、今度の土曜、前から話してた鎌倉散策行こうか?」
私「そうですか、なかなか取れないお休み、ゆっくり静養しなくて大丈夫?」
タツヤ「大丈夫、大丈夫。電車の時間とか、また、lineするね。会ったら、すぐ手、握ってもいい?」
私「え?どうかな?笑」
タツヤ「手つないだ方が早く仲よくなれるよ」
私「…」

そして、とある夏の土曜日、横浜駅のホームで待ち合わせをした。
lineで、指定されたホームの車両番号停車位置に行くとワイヤレスイヤホンをしたグレーのTシャツ、黒のパンツに黒のサンダル、黒のサコッシュ斜め掛けして、あっち向いてる170㎝弱の男性がいたので、ほぼ間違いないので、
私「タツヤさん!?」
タツヤ「あ、」
と言いながら、ワイヤレスイヤホンを取りながら、振り向いた50代男性、
lineで交換していた写真で見てたタツヤだった…。
私のタイプではないけど、普通に生理的にOKな…。

私「電車来ましたね」
と言って、乗り込むと混んでいなくて、座れた。
途端、タツヤが私の手を握ってきた。
私「まぁまぁ、恥ずかしいです」
タツヤ「え~そう?仲良くしましょう」
私「は・は・は~。暑いし手汗かくし~」
タツヤ「全然、気にしない」
私はあんまり気が進まないけど、手をつなぐことが多い一日となった。

鎌倉駅に着いて、そこから歩いて銭洗い弁天まで行くことになった。
私は日傘を持ってきていた。それを開くと、タツヤが持ってくれたので、手をつながなくてよくなった。
タツヤ「やっぱり、日傘必要だよね。俺、仕事で外出るから、日焼け止め塗ってても、焼けて真黒だよ」
私「そんな真黒じゃないですよ。私の方が焼けてるよ」
週一エステにも通っているタツヤは、自称美容オタクということで、シミのないきれいな肌をたもつため、日々お手入れをしているらしい。毎晩、ストレッチも習慣にしていた。
私「毎日、ケア、すごいですね。美容に関心があるの昔から?」
タツヤ「いや、去年から、それまで太ってもいて、1年で20kg減量したんだよ」
私「1年で20kg?!凄い!!何きっかけで?」
タツヤ「あれ?言ってなかったけ?離婚したのが去年だから。」
私「一人暮らしして、5年って言っていましたよね?」
タツヤ「別居して、離婚までに時間がかかったんだよ。でも、離婚したら、精神的にも落ち着いて、痩せることが出来たんだよ」
私「そんなに精神的にきつい結婚生活だったんだ…。」
タツヤ「俺の元奥さん、専業主婦だったけど、俺の金も全部管理して、俺お小遣い制だったんだよ。俺の大事なものとかも勝手に捨てるし、DVDとか漫画とかもさ…。ある日、リサイクルショップに行ったとき、俺のサーフボードが売られてたんだよ。絶対、俺のだって、思って家に帰ったら、案の定ボードなかったよ。ひどくない?ひどいよね」
私「うん、ひどい。で、どうしたの?」
タツヤ「いつも、何言っても、話にならないから、何も言わなかった。ほんと、ひどい奴だよ」

そうなんだ…。
タツヤと恋愛とかは、ないな…。と、この時思った。

銭洗い弁天で、銭を洗い、タツヤは財布から万札達を取り出し、ざるにのせ、ひしゃくで水をかけた。
私「あ、お札の端を濡らすくらいでいいんですよ。このタオル使って。」
タツヤ「あ、いい、いい」
と水気たっぷりの万札達を革財布に戻した。

それから鶴岡八幡宮を参拝し、境内にある丸山稲荷にもお参りした。
その時、鳥居に奉納者名が書かれていて、
私「あ、蛭子能収だって」
と指さすと
タツヤ「あ、あぁ」
と言っただけだった。
が、私は、蛭子さんの顔が頭を過ぎり、そしてタツヤを見た。
「似てる!」と思った。
タツヤは蛭子さんに似ていた。
おしゃれに気を使っているタツヤは、ゆるくパーマもあててるから、髪型も似ているのだ。
たぶん、これまでに「蛭子さんに似ている」と言われてるんじゃないか、そして、それをよしとは思ってないんじゃないかと思って何となく、蛭子さんの話は控えた…。

小町通りで、かき氷を食べるために甘味処に入った。
かき氷を食べながら、私の正面に座るタツヤは、やっぱり蛭子さんに似ていた…。蛭子さんの頬を両手で挟んで潰して縦長にした感じ。優しい柔和な感じだけど、とんがりへの字口だから、文句が多いタイプだな~なんて思いながら、かき氷を食べた。




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