『六月、蝉の火葬』
もう六月の湿っぽい匂いなどとうに過ぎ去って五月蝿いくらいに蝉が、大声を張り上げていた。冷房の一つもかかっていない部屋でただソファに寝転び蒸し焼きになっている。
いつからだろうか。食べ物も飲み物も取っていない私の身体は先の方から腐ってきてしまっているように感じた。
と、いうのももう光を感じることしかできない両目と鉛のように重い動かすことのできない手足では確かめることさえ叶わない。
今は何月何日なのだろう、聞こえる騒音と眩しさから察するにもう七、八月なのかもしれない。きっととても