夢野国子

希死念慮のカタマリ

夢野国子

希死念慮のカタマリ

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冷水

憂鬱が立ち込める雨の日 室内乾燥で蒸せ返るような暑い浴室 自暴自棄に陥る午後2時半 何もする気が起こらない 服を脱いだまま30分を無駄にした ようやく重い腰上げて浴室に入る ふいに冷たいシャワーを浴びたくなった 人の温もりを思い出せなくなって 冷たくて体にかける勇気はなかった 心まで冷えていくような気がした 10月半ばに浴びる冷水は、いたくて、かなしくて、さみしかった 耐えきれず温水に変えてしまった私は弱虫 自分のせいにすれば自己嫌悪 人のせいにしても自己嫌悪 自己憐憫

    • 生きるに値しない世界

      「生きるに値しない命」という言葉がある。ナチスが知的障害者や精神障害者のことを生きるに値しない劣等的な資質の持ち主だとし、彼らを毒ガスで安楽死させていたという。当然ながら現代ではこの思想は間違っていたと言われている。確かに、障害があるからとか、差別の標的となってきた出自だからとかそういった理由で人を「生きるに値しない命」とみなすのはあってはならないことだ。 しかし、いつからか私は生きるに値する命などこの世界に存在しないのではないかと思うようになった。誰かが死んだとて、その人