期限付きモラトリアムの始まり

私はいわゆるインドア派で、フッ重で、休日の定番の過ごし方はどんな休日にするか考えること、みたいな、目も当てられないほど怠惰なやつだ。

歳をとるにつれ(まだ24歳なんだけども)、直感的に行動できなくなってしまった。

そんな自分に危機感を抱いて、ふと衝動的に、自分に対して半ば強制的に、なにかしらの計画を決行することがある。

それはいつもは買わないような本を買うことだったり、サイクリングだったり、旅行だったりする。

と、ここまでは前談で、
今回は、そんな感じで旅行にでかけた時のお話。

広告制作会社に就職が決まった私は、
「別に来月からでもどうぞおいでください(適当)」とのご提案を丁重に断り、なんとか2ヶ月間の休みを手に入れた。

卒業後半年間以上もニートをしていたのに、まだそんな期間が欲しいのかよ、贅沢なやつだな、さっさと働いて家に金を入れろなどと思わないでいただきたい。

未来への展望が開けた状態でのモラトリアムが、ずっと喉から手が出るほど欲しかったのだ。

ずっと夢に見ていた、終わりの約束されたモラトリアム。

さあ、何をしようか。
クロスバイクで日本全国をまわろうか。
北海道を一周しようか。

自分がそこまで体力もお金も持ち合わせていないことは、すでに思考回路からぶっ飛んでいる。

なつやすみ初日の少年のごとく、
私はワクワクとドキドキで胸がいっぱいだった。

-つづく-

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