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対数

今回は対数を取り上げたいと思いますが、対数関数には通常 logarithm の略で log が使われます。通常は添え字(下付き文字)に底となる数 a を伴います。log_{a} x と書いたときには a^{y} = x となる y を表します。

(注) log_{a} は、a を添え字に持つ対数を、a^{y} は a の y 乗を表します。テキスト表記しか使えないので、このように書きます。

そして、よく使われる底を持つ対数の場合、底が省略されて単に log x と表記されます。

しかしながら、よく使われる底が複数種類存在するときには困ることになります。実際、単に log と書いたときは次の 3 つの可能性があります。

・常用対数(common logarithm): 底が 10 である対数
・自然対数(natural logarithm): 底がネイピア数 e である対数
・二進対数(binary logarithm): 底が 2 である対数
(注) 二進対数はあまり知られていないかもしれませんが、情報分野ではよく使われています。

通常は文脈からどの対数が使われているかが分かりますが、あまり曖昧なのも考えものです。そこで、これらの対数には次の記号が使われることが多いようです。

・常用対数 : log
・自然対数 : ln

・二進対数 : lg

理系の高校生の皆さんにとっては log と書くと自然対数を思い浮かべると思いますが、常用対数と自然対数に対して欧米では上記のように表記されることが多いように思います。また、関数電卓でも上記のように表記されています。

二進対数については使われるのが情報分野に限定されるので、常用対数や自然対数である可能性が低いために log と表記されることも多いです。

また、O表記などの漸近的表記の中では、定数倍の違いは無視されるために log と表記されます。この場合の log は 1 より大きい底を持つ対数であればどれでも構わないというスタンスです。

定義 [O表記]:定数個の例外を除いて、任意の正の整数 n に対して定義されている関数 f(n) と g(n) を考える。ある正の実数 c と正の整数 N が存在して、任意の整数 n ≧ N に対して 0 < f(n) ≦ c g(n) が成り立つとき、f(n) = O(g(n)) と表す。
(注) log_{a} x = (log_{b} x)/(log_{b} a) = (log_{a} b)(log_{b} x)であるため、log_{a} x と log_{b} x には定数倍の違いしかないことになります。

しかしながら、誤解を招かないように二進対数に lg を用いている文献もよく見かけます。

ただし、log という記号を底の省略した形で使わせないという目的で、
・常用対数 : lg
・自然対数 : ln
・二進対数 : lb
を用いることもあり、注意が必要です。(私は lb という表記を見たことはありません。)

どちらにしても、底を省略して対数記号を用いるときは、但し書きを入れることをお勧めいたします。

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