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きいろのワンピース


思い起こせば

社会人になってから
選ぶ服はほとんどモノトーンを
基調にした色ばかり選んでいた。




気づけば全身黒。


元々シンプルで様になる
黒が好きなのもあるけれど


自分には


明るい色は似合わない、
着こなせない、
そんな思い込みもあった。


自己主張の少ない
モノトーンがいちばん、
無難で悩まないから楽、という要素も。


今思うと

単純に明るい色や柄を選ぶこと
自分は何が似合うのか分からず


色を身につけることにも勇気がなくて
気持ちがついていかなった。


そんな風に長い間感じていました。

服装は内面を映す



自分が我慢すれば
その場が丸くおさまることを
生きる方法にしていたわたしは

出産して母になってもその方法を
採用し続けていた。


ワンオペ育児の子育てに追われ
日々をそつなくこなすために


自分の感情はすべて無視して

子どもにも周りにも
当たらずに済む

無の境地でいることが最善であり
得策だと思っていた、

人生低迷期があった。



そんな時期、

当時勤め先のすぐ近くの催事場で
期間限定で占いをしている女性がいた。


いつもその場を通るたびに

今の八方塞がりな状況を
打開するヒントが
もらえるのではないかと、
とても気になっていた。


しかし、メニューや金額といったものが
掲示されていなかったので
声をかけて聞く必要があった。


飲食店や洋服屋さんでも


店員さんに”すみません”、と
声をかけるのがとても苦手な私が


ある日、勇気を振り絞って
占いをしている女性に声をかけた。



小さな柄模様が入った
ふわりと裾が広がる

鮮やかなパステルカラーの
黄色いワンピースを身に纏っていた。



”すみません”

勇気を振り絞って
声をかけると、


満面の笑みでこちらへ
振り向いてくれた。

もの腰の柔らかい
とても気さくな明るい方だった。


キラキラとしたオーラが眩しすぎて
謎に照れてしまった。


そんな印象が今でも強く残っている。



残念ながらその日の
診断時間が終了していたので
占っていただくことは
できなかったのですが


そのお名前も分からない
素敵な女性と
会話をした日を境に


漠然と


”わたしもあの人のようになりたい!”


と思うようになりました。



色のチカラ


あれから数年が経ち

ずっと彼女が着ていたような
淡い黄色いワンピースを探していた。

なかなか気に入るものがない中、


ついに見つけた。


でも、買っても着れないかも、なんて
色々な考えが巡り

ジッと見つめるだけで


購入する勇気が出なかった。



そんな様子を見かねた夫が


”欲しいんでしょ?貸しなさい”


なんて子どもに言うように

おもむろにワンピースを持って
颯爽とレジへ向かった。



”はい、どうぞ”

と夫が差し出した。


まだ決断できていないのに…
と困惑しながらも、

素直にうれしかった。


帰宅して一人、姿見鏡の前で
ファッションショーをする。

黄色が眩しかったけど


”あなたは顔がはっきりしているから
明るい色の方がずっと似合うよ”


と、ファッションが得意な
素質を持つ夫が一言。


そんな自分が持っているハードルを
少しづつ下げてくれた。



今年はそんな黄色のワンピースを着て
いつも元気をくれる仲間に会いに行けた。

青やピンク、薄紫、
アクセントカラーに真っ赤な靴下、


色々な色を身につけたい、
着てみたいと思うようになった。


ハンガーにかかる洋服の列が
いろんな色で彩られるようになった。

導かれるように色が持つ効果や
その色で運気の流れを乗りこなす方法も学べた。


元々は黒が好きだったけど
今はその黒を引き立てる
差し色が加わり

ファッションを、日々を心から
楽しめるようになった。



そんなきょうは

鮮やかなレッドオレンジのニットに
袖を通す。



エネルギー溢れるカラーの力をかりて

きょうも良い1日になりそうです。







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