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旅先で普通の買い物をしてしまう衝動についての考察

旅に出ると、「なにも今買わなくてもえーやん」という買い物をしてしまうことがあります

先日も、なぜかわざわざ旅行先の京都でPUMAのコートを、それもトランクを引きながら宿泊先のホテルから次のホテルへ移動してる最中に買ってしまいました。

しかもこんな派手なやつ!

普段は、黒とか紺とか白とかしか着ないくせになぜ!?
どうするつもりなんだろう、自分。

(でもバックにリアルなプーマが刺繍してあったりしてめちゃめちゃ可愛い)

私の場合は普段住んでいるのがちょっと田舎なので、イケてる店には普段なかなか行けなくてつい…という言い訳はありますが、そうは言っても東京にそこそこの頻度で行ってるし、少なくとも京都で荷物を増やす必要はなかったはずなんです。

だけどこういうことは過去にも何度かあって、明らかに理由はふたつ。
①旅の高揚感
②財布の紐が弛みまくってる
です。

旅先って、常にテンションがあがってるしちょっと疲れてるし冷静な判断力を失ってるところがあります。だから、買うものもいつもよりちょっと派手なものや攻めてるものが多い。買い物メインで動いているわけではないからあちこちの店を回って冷静に検討ということもなく、ちょっと接客上手な店員さんにでも当たろうものなら、完全に勢いづいてしまいます。

そして、そもそも旅に出る=交通費やホテル代や食事代など贅沢をしている真っ只中。人は贅沢をしているからって他の消費を引き締めたりしません。むしろ一度タガがゆるんだらゆるみっぱなしで、ずるずると財布の紐(もしくはクレジットカードのセキュリティ?)が甘くなっていきます。まさに「せっかくだから」というやつですね。

以前、とあるホテルの方にヒアリングしたら、ショップ(フロント横にあるお土産などを売ってるコーナー)で一番売れてるのは「洋服」だと教えてもらったことがあります。販売数で言えばいわゆる“ばらまき土産“とされるお菓子などのほうが多いとは思うのですが、売上を支えているのは服だと。それも、特にその観光地とも関係のなさそうな普通のマダム向けの服です。なかには旅先で暑かった/寒かったなどで服を買い足したケースもあると思いますが、どうやらほとんどの理由は「せっかくだから」というものだそうで。

この「せっかくだから」のもつパワーは偉大で、普段の冷静な頭脳では選択しない買い物や行動をとる原動力になることがあります。そして旅先で勢いに乗って買った服も必ずしも失敗ではなく、思い出をともなって大切にされることもあるし、意外に似合うものを発見できることもある。さらに言えば「非日常」に結びついた「体験」は強く記憶に残るものです。もしかしたら、ちょっと肌寒くて買ったストール、持ってくるのを忘れて買った日焼け止め、靴擦れを起こして買った絆創膏にだって、旅の思い出は宿るかもしれません。

つまり、旅を請け負うホテルや観光地のほうは、どんな経験や消費が旅と結びついて旅行者の記憶に強く刻まれるか、侮ってはいけないということ。せっかく目の前に旅の高揚感に包まれて財布の紐をゆるめた客がいるのに、その消費欲を満たせるようなものが提供できなかったら今度は不満につながります。絆創膏レベルの些細な生活用品でさえ、粗悪なものを用意すれば嫌な記憶として残ります。油断は大敵。細部にまで、旅の記憶を提供しているという意識をもつ必要があるし、そこまで神経が通っているホテルや観光地は、必ずリピーターを獲得できると思います。

さて、私のPUMAの派手なコートは、どうやってコーディネートしたものか。ちゃんと出番はあるのか!?もし見かけても過剰な反応はしないでください。

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