名香ジャドールの新作開発ドキュメンタリー

Inside the dream 
(インサイド・ザ・ドリーム。その夢の内側)は

高級メゾンにおける製品開発の
知られざる裏側を紹介する
ドキュメンタリー作品。


Inside the dream Diorでは

Diiorを象徴するフレグランス、ジャドールの
新作モデルの発表までの日々に迫っている。

手掛けるのは
これまで30年以上にわたり
ジャン=ポール・ゴルティエ、
バーバリー、ゲラン、といった
名だたるブランドの香水に携わり、
自身の名を冠するフレグランス・メゾンも持つ
「調香界のプリンス」フランシス・クルジャン。

その天才調香師がDiorに招かれて
初めて挑戦するのが
名香ジャドールを再構築し、
既存の作品を超える
新しい香りを創造すること。

この映画では、
その開発にかかった数週間の彼の姿を追っている。

自身の力を発揮するため
まだ夜明け前の暗いパリのオフィスに向かって
一人黙々と作業をする様子、

また、香りの原料の追求のため
そして自身のインスピレーションを磨くために
フランスのパリ、グラースのローズ畑、
インド、東京、京都といった
世界中の各都市を旅する様子が映し出されていた。


カメラに映し出されるのは実際に香りを調合する
フランシス・クルジャン、その人だけではない。

実に14年間もジャドールのミューズに君臨してきた
シャーリーズ・セロン、
香水のボトルのデザインチーム、
香水の原料となるローズを提供する名産地、南仏グラースの農家など
新作ジャドールに携わる数多くの人の顔だった。

特に、
「メゾン(Dior)からは資本を提供され、
私たちは長年培ってきた経験と知識を与える」と話していた
グラースのバラ農家の女性の表情からは
自信と誇りを感じた。

「Dior」と名の入った布製の大きな袋を首から下げ、
その日、最も香りが立つ瞬間を見計らって摘みとられた
鮮やかなフューシャピンクのバラの花が
次々と入れられていく。

工場では、大きな窯のような容器の中に
世界中のピンク色を集めたような圧巻の量のバラが投げ込まれる。

煮だすように抽出された液体からは、
画面越しからでも
ふくいくたるローズの
甘く高貴な香りが漂ってきそうだった。


私が一番印象的だったのは、
フランシス・クルジャンの自身との闘い。

それまでの試作品の評判は悪くなく
ディレクターとのミーティングでも
一定の評価を得ていた。
しかし彼自身は、
自分のサンプルに納得がいっていないようだった。

実に70以上のサンプルを作成し、
ミリグラム単位での調整を重ねては
自分の解釈を形にし、
見えない扉を開けるべく、苦悩に満ちた顔は
華々しいキャリアを経て
名声を勝ち得た人物とは思えないほど、
実に人間らしい表情のように思えた。


彼が最後にまとめ上げた香りは
この方向性で行こう、とお墨付きだった前回のサンプルとは
大きく離れたイメージとなったようだ。

その出来ばえに確信を持ち、再び
ディレクターチームとのミーティングに臨む。

プロジェクトの責任者は
「前回のサンプルに満足していたのが恥ずかしい。ブラボー」とコメント。

不安と緊張がにじんでいたフランシスの顔には
充実感と達成感が見て取れた。
それは「ジャドール ロー」の完成を意味していた。

周りの意見や、決定権を持つボスの合意に甘んじることなく、
自分が納得する作品ができあがるまで
もがき苦しみ、
真摯に自分の仕事に向き合う。

その先に待ち受けるものが、
世の中でいう「成功」なのだろう。

彼の姿に、
仕事を全うするとはどういうことかを学んだ。


この映画は、アマゾンプライムで視聴できる。
日本語の字幕があるので、ランチタイムや入浴時などでも
楽しめるのではないかと思う。

たった約45分間の視聴のあとには
トップクリエイターの仕事ぶりからの学び、
そしてこのフレグランスを身にまとったような高揚感が得られる。


アマゾンの視聴ページはこちら



新作ジャドール ローはこちら



インサイド・ザ・ドリームについてDior公式サイトはこちら

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