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「はじまりの小さな場所」と未来のこと

Wired Japanでこんな連載をやっています。


世の中を変えるかもしれない小さなアイディアや、文化を守るための工夫を、組織やビジョナリーに取材することでためていこう、というこのプロジェクトは、編集長がまだ若林恵さんだった時代に、外苑の路上で決まった。2017年4月にワタリウムで行われた坂本龍一さんのイベントでわかさんに出くわして、会場の外で数分立ち話をしたときに、「なんか連載やってよ」と言われ、「明るい話を探しにいきたい」というようなことを言ったのだと思う。トランプ大統領が就任した3ヶ月後で、わかさんが編集長を辞めて、それまでのエディターズ・ノートを「さよなら未来」にまとめる前だった。

その後またしばらくあって、「未来とさよならしっぱなしでいいのか?」ということで、#こんにちは未来 が始まったという経緯があるのだが、わかさんが未来と一回さよならして、しばらく経って再会する間、私はこの連載を淡々とやってきた、と言いたいところなのだが、私も一度、停滞してしまった。

それは、自分のなかの軸にあてはまる人や場所を見つけるのに難儀するからである。メディアで見て取材に行くこともあるし、ふっと何かのご縁で知ることもあるのだが、ハードルは高めに設定してきた。当初は、これまで他者がやらなかった新しい形にこだわっていたが、最近は、もっと広まったらいいのに、という考え方も、とちょっと自分の頭を広げてきた。でないと、連載が続かなくなってしまうな、と。

けれど、そこには、自分自身の「未来が見えづらい」という今の世の中に対するおっかなびっくり感も無力感もあると思う。未来なんて見えっこないし、追いかけようと思うだけ無駄だと思うのは、人間たちがおそろしく愚かだからだ。HIVを治すことのできる薬を開発した人がいるのに、製薬会社の欲のために、手にすることができない人たちがいる。荒れ狂う台風やハリケーンによる洪水、水位の上昇、山火事がどれだけ続いても、頑として環境問題を認めない人たちがいる。人類が破滅に向かっていることは確実な気がするし、それは止めようのないことのように思える。最近の気分としては、とにかく明るい話ください、って感じですよ。ほんと。

最新は、最先端のプリント技術でオンデマンドで商品を作るシャツのブランドと工場のベンチャーについて。

その前は、お客さんが値段を決める時間をもうけているレストランの試みについて。

というわけで引き続きがんばっていきますのでよろしくお願いします。



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