LOVELOVE愛してる最終回吉田拓郎の凄まじさに泣く

LOVE LOVE愛してるの最終回。
ゲストが懐かしいメンツじゃなかったのがもうさ。なんだろな。吉田拓郎という人の全てが詰まっている気がした。そして落陽に泣いた。

最終回だと聞いたとき、何を想像したかって。吉田拓郎ヒストリーが流れて、あの頃若かった大御所ゲストがたくさん呼ばれて、懐かしい場面をキンキやシノラーとキャッキャしながら見て、みんなで吉田拓郎の歌を演奏する。花束を渡してみんな号泣する。
そんな絵が浮かんだ。そのころの自分を振り返ったりしながらあのころは楽しかったな…とノスタルジックに浸り寂しさとともに幕が閉じる。
んだろうと想像したんだ。

全然違うじゃん。違うじゃん拓郎。

それでいいはずだし、ラブラブ最終回を見るファン層は多かれ少なかれ望んでいたはずだ。
だって大体吉田拓郎ファンか、キンキファンか篠原ともえファンがメインターゲットだし、あの頃テレビは楽しかったよね層しかみないんだから。

全然違うじゃん。違うじゃんフジテレビ。

懐かしの大御所なんて出てこなかった。泉谷しげるだけ仲違いした後悔を滲ませて映像として出演しただけだった。
吉田拓郎がしたかったのは、未来を作ること。フォークの神様が引退と引き換えに、どうしても見せたかったもの。それは未来への継承だった。

あけすけなラブコールでゲストに呼んだあいみょん。男女の解釈が的を得ている、ギターの持ち方がカッコいい。拓郎がベタ褒めをするうちに、恐縮していたあいみょんの固さが取れて、くすぐったそうに笑っていた。

俺たちの拓郎と呼ばれ時代の象徴だった吉田拓郎が、彼女達の世代の音楽を聴いてインスピレーションを得たと感謝を述べていた。その素直さに驚きはしなかったか。

推しの番組の感想を探しまくるのが常なのだけど(キモイよねごめんね全部見てる)、拓郎世代があいみょんいいよね…と言っている率の高さな。いいと思ってたんだ…とこっそり照れ臭そうに呟いているのも、拓郎があいみょんを褒めちぎったからだ。音楽通の自負がある大人達がそうそうと頷いて、あいみょんのこれからを楽しみにする。フォークの真髄を彼女に託すように。吉田拓郎が好きだと言ったから。

大御所がテレビに出てきて居心地が悪く感じるのは、忖度が画面のこちらに伝わることだ。テレビのタレントは頭の回転が早くて空気の読み方もずば抜けているから、忖度も過剰に映ってしまう。その中で気持ち良く持ち上げられている大御所が滑稽に見えてしまって、お尻がモゾモゾしたりする。
もちろん、尊敬がそこにあるのは間違いがないのだけど、その人に関して白紙の知識しかない視聴者にはなかなか伝わらない。

吉田拓郎はそうなりたくないんだ。木村拓哉が恐縮の極みで出てきた時も、かっこいい、オーラが凄いと木村拓哉を褒め倒した。ギターを弾く姿がかっこいい。演奏をしている姿はかっこよくなきゃダメだと名言を送った。
木村拓哉はカッコいいの代名詞だった。文句がつけようのないくらいカッコよくて頭の回転も早くて努力家。その完璧さが癇に障るマイナスがないと許せないという嫉妬心が世の中に渦巻いていることも、木村拓哉は気がついている。だからかっこよさを振り撒いたりしないように気をつけて時に間が抜けているように時に粗雑に振る舞う。
けれど、かっこいい男なんてなかなかいないのだ。石原裕次郎くらいしかいなかった。それは才能だ、と吉田拓郎は木村拓哉のかっこよさを真っ直ぐに褒めた。

それから木村拓哉とKinKi Kidsの歌唱の場を作ってこりゃ楽しみだと笑った。

KinKi Kidsの2人が木村さんと一緒に歌える時間を作ったよね、拓郎さん。KinKi Kidsが喉から手が出るほど望んだ瞬間を、大御所のわがままの程を装って。俺が会いたかったんだと言い張って。大好きな2人に贈ったよね。

放送後に見た「なんでだろう、木村拓哉がSMAPの木村拓哉に見えた」って呟きに泣いた。見えたよ。みんなで歌ってたね。拓郎さん、楽しそうだったね。
これからもまた見られるような先鞭をつけてくれてありがとう。

そして落陽。
落陽のギターソロを堂本剛に任せるとは思わなかった、高中で見たかった、堂本剛がこんなにギターが上手くなったなんて感慨深い…等たくさんの呟きを見た。

堂本剛がギター上手いのが伝わってよかったと無邪気に喜んでいたのだけど、呟きの熱量とあまりの数にこれは…なんか違うな?と思い調べてみた。

YouTubeに出ていた落陽の動画全部見た。どえらいギターソロだった。拓郎さんはもちろんかっこいいけど、それよりギターソロエグかった。ヤバいヤバいしかいえないくらいすごかった。時代なんて関係なくカッコいいの極みがそこにある。感情に訴えかける音がある。陶酔する演奏があった。超絶ギターソロを聴きながら吉田拓郎は笑っている。ベースとギターが競うように鳴らせ合っているのをすげえなとしょうがねえなの間ぐらいの笑顔で聞いている。荒い画素の中で清々しく笑っている。カッコいいってこういうことがぎゅうぎゅうに詰まっていた。

それを堂本剛に託した。
ぎこちのなくきよしこのよるを弾いていた少年に。
悩みながら音楽を頼りに生きてきたアイドルに。
落陽のギターソロを託したってことに。
涙が止まらないんだ。

堂本剛のギターに泣いたって呟きも見た。拓郎を引き留めているようなギターだ。感情が乗った音色が見事。堂本剛のギターエモい。

エモすぎるわ。拓郎さん。

あのころは良かったよね、いい時代だったねをいくらでもできた。最後なんだからと名だたるミュージシャンを呼べた。
それでも吉田拓郎は振り返らなかった。
自分の最後の出演を、若き後継者達の未来に全てを費やしたんだ。

KinKi Kidsから花束を贈られた時の吉田拓郎の表情。言葉では伝えられない。

やりきったでも名残惜しいでもない。ホッとしたでも寂しいでもない。どんな言葉でも当てはまらない。ただただ見たこちら側の感情を鷲掴みにする。

拓郎さんのあの顔、多分一生忘れられないと言った堂本光一。その言葉が全てだ。

歌うのも演奏するのもライブもテレビ番組を作るのも全て人が作り出していて、情熱で生み出されたものは人に届く。必ず届く。そう信じられた。関わった人全ての記憶に残って、もしかしたら人生を変えていく。そんな瞬間を見た。 LOVE LOVE愛してるの最終回は、新たな歴史の1ページをつくる番組だった。

見せてくれて本当にありがとう。
拓郎さん、ハワイで笑っている姿をまた見せてね。

*敬称略
*断定してるけど全部私はそう思うってだけデス。
*KinKi Kidsと篠原ともえのことほとんど書けなかった。吉田拓郎と身内みたいな関係をどう書いていいか分からなかった。愛おしすぎて。せつなすぎて。誰か頼む。私の力不足。エモーショナルが過ぎる。私のキャパを越えている。なんて可愛いんだろ。なんて素敵な関係なんだろ。無理。
*さんまさん、吉田拓郎がどれくらい規格外だったか、ワガママさに文句をいいながらそんな人だよカッコ良過ぎるでしょを言外に喋り倒しててさすが過ぎたね。愛と話術が凄い。
*なおちゃん、人生が変わってしまったって感受性が高すぎて好きだわ。緊張してたけど、歌声が優しくて雰囲気がふわっと変わったね。スキ。
*この妄想を、そんなこと思ってないよ!バカか!って吉田拓郎に笑われたい人生だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?