見出し画像

石川【すし処 めくみ(野々市) ; 片折(金沢)】

金沢近辺にある大好きなお店2軒についてです。 訪れた時期は違いますが、同じ金沢ということで、1つにまとめてみました。 私自身はフランス料理以外の店についてミシュランの評価はそんなに気にしていないのですが、ともかく、両店とも先日ミシュランが発表した北陸2021年特別版で、二つ星を獲得しています(すし処 めくみは前回2016年版に続けての二つ星)。

すし処 めくみ

場所は金沢に隣接する野々市。 こんなところに(?)日本で指折りのすしの名店があるなんて、と言ってしまうような、ひっそりとした住宅地に位置しています。 今回は昨年11月に貸し切り会でおじゃまさせていただいた際の記録で、蟹漁が解禁されて3日目でした。 蟹の仕入れにお忙しく、普段以上に睡眠時間が取れずに「もうカニいやだ」と笑いながらおっしゃる店主の山口さん、相変わらずの仕事熱心ぶりです。 以下、内容です(最近、握りの写真は撮れなくなってしまったので、写真はつまみまでとなります)。 

料金ですが、この会は特別な内容だったこともあり、お酒のペアリング込みで¥45,550(税・サービス料込)でした。 (OMAKASEによれば、通常時はコースが¥36,960、ペアリングが¥5,775~となっていますが、これより安めのこともありますし、蟹の時期はこれより上がると思います。)

◇蟹出汁のお粥 

小さめの湯飲み茶碗で供されました。 お米はほんの少しだけで、ゆるめでトロッとしたスープのような感じ。 蟹の風味が素晴らしかったです。 何も調味料は入っていないのですが、程良い塩気がありました。

◆奥能登の白菊 / 純米大吟醸 斗瓶採り雫酒 / 白藤酒造店(石川)

大好きな白菊がきました! いつもめくみさんでいただくのは茶色い瓶の純米吟醸ですが、今回、最初は大吟醸の雫酒です。 山田錦100%。 少しピリッとした感じがあり、やや辛口なのですが、これもおいしい。 

さあ、今日いただける蟹が順番にディスプレイされます。 下は富山の新湊で採れた紅ズワイ。 眩しい! 蟹尽くしのスタートです。 

画像3

◇モクズガニ

画像4

一番手がかかる品だそうです。 味噌も身も素晴らしく美味でした!

◇紅ズワイガニ

上の写真の紅ズワイ、脚の身を殻から出して、蟹味噌をかけて下さいます。 衝撃のおいしさ。 甘い身の中に、蟹味噌の旨味が広がります。 「ズワイはまだこれからですが、紅ズワイは今いいですよ」と山口さん。 2つに切ってあるので、2口分楽しめました。 すでに幸せは最高潮に。 

◇毛ガニ

画像5

上の紅ズワイと同様に調理した毛ガニ。 こちらも新湊から。 11月上旬だと毛ガニはまだ時期が早いそうで、味噌がシャバシャバしているのですが、しっかりした身と合っています。 蟹味噌は絶妙な味。 さすが山口さん。

◇ズワイガニ

画像6

これも新湊で採れたもの。 もう凄かったです! 本当に最高の食材しか使わない山口さんは、ズワイガニも水槽に入ったものは使いません。 贅沢。

◇ボタンエビ

写真は省略しましたが、新湊のもので大きかったです。 ほんのり温かい。 「温度感がいいね」と、隣席の美食家T氏。 

◆常山 Jozan 純米超辛 / 特別純米 / 常山(とこやま)酒造(福井)

ほんと辛口! かつスッキリしています。 お造りに合わせて。

◇クエ

画像7

クエはこの日に揚がったもので、3kgの個体だそうです。 山口さんとしてはもう少し小さいものの方が良かったようですが、上品で素晴らしかった。 アオリイカは1週間寝かせてあり、モチッとして甘かった。 御殿場の勝又さんの山葵がまた、とっても良いですね。 ねっとりして辛味もしっかり。

◆洗心 / 純米大吟醸 / 朝日酒造(新潟)

おいしい! 私は、やっぱり大吟醸が好きです。 「高嶺(たかね)錦」100%。 次のバイ貝とも大変良く合いました。 

◇バイ貝

写真は割愛させていただきましたが、柔らかくて素晴らしかったです。 蟹を食べているというバイ貝、確かに甲殻類の濃厚な風味がありました。

◆黒龍 大吟醸 龍 / 黒龍酒造(福井)

言うことなしです。 大好きなお酒です。

◇炙りブリ

画像8

10月20日に採れたものだそうです。 お伺いしたのは11月10日でしたので、ちょうど20日たったところ。 ブリらしさが極限まで引き出されていて、凄かった。 お味はブリなのですが、何か、異次元の食べ物でした。

◆奥能登の白菊 / 純米吟醸 / 白藤酒造店(石川)

最初に出たものと違い、いつもの白菊。 これは甘いんですよね。 やっぱりおいしいです! 次の香箱蟹に合わせて。  

◇香箱蟹

画像9

やはり香箱が出てくると何だか気分が上がりますね。 これも新湊から。「まだちょっと早いけど、ベストは尽くした」と山口さん。 茹でる温度が難しいそうですが、身、内子、外子が完璧な火入れ。 「外子でその蟹を茹でた時のポテンシャルが分かる」とも。 外子はその蟹本人の汁を吸っているからだそうです。 また、「甲殻類は技術じゃない(素材が全てだ)」と山口さん。 そんな事もないと思うのですが、もう参りました(笑)。 奥様が丁寧に剥いて下さったこの品、本当にずっと食べていたかったです。

◆奥能登の白菊×奥能登自然栽培米 2018BY / 白藤酒造店(石川)

こちらのお酒はワインのような瓶に入っていました。 無肥料・無農薬のお米で作られています。 確かにBioな感じがするのですが、やはり白菊の味でもあります。 次の海老の頭に合わせました。

◇甘海老の頭

全然堅くなくて、プチュっとして、おいしかったです~!

◆黒龍 石田屋 / 純米大吟醸 / 黒龍酒造(福井)

画像10

石田屋出ました~♡ 嬉しい! やっぱり大変おいしいですね。

---------------------------------------------------------------------------------

ここまでで、書いていてもお腹いっぱいになってきました。 これでも充分ではないでしょうか? しかし、ここからおすしが13品と、お吸物、卵焼きが出ますよ。 写真がほとんどないのが残念ですが、全部書きます。

◆五凛 / 純米 / 車多酒造(石川)

このお酒も良いですね。 握りに合わせていただきます。 

◇ヒラメ

この一貫で、やっぱりめくみは凄いと思いました。 抜きん出ています。

◇甘海老

おいしすぎました。。 めくみさんの素晴らしいところの一つがシャリ。 温かでとてもおいしいそのシャリは、ササシグレを湯炊きしたもので、お酢は赤酢8割、白酢2割。 赤酢は黒くないもので、角がなくまろやかです。 ササシグレはササニシキに近く、原種に近いお米ですが、ササニシキのようにもっちりしません。 めくみさんのシャリが本当に好きです。 

◇ブリ

先程の炙ったブリとは違うもので、10日寝かせた個体だそう。 フワッと香り、とろける風味。 周りはかなり削っているそうですが、それによってこの香りが出てくるのですね。 楽しめました。

◇鮪

青森の三厩(みんまや)産で、195kgの個体でした。 脂がとろけます。

◇UKG(ウニちらし) 「木村のうに」スペシャル  

画像11

これは握りでないので、写真を撮らせていただけました。 TKGならぬUKGとは、以前一緒に訪問した方がその場で名付けたものです。 北海道はカネキ木村水産さんのバフンウニと、ご飯が1:1。 海苔醤油で味付けしています。 甘みが強く、おいしすぎました。 丼いっぱい食べたいですね。

◇白子軍艦巻き

白子は60℃くらいで火入れしたもので、プルプル。 ミルキーだし、きれいな味でした。 山口さんが使っている有明の海苔は最高品質のもので、1枚800円だそう。 「来年(2021年)は1000円になる」と仰っていました。

◇蟹ごはん

越前の漁師料理だという蟹ごはん。 ご飯は白ご飯です。 大根おろしをかけたご飯の上に蟹。 大根の甘さで、蟹の甘さも引き立ちます。 初めて食べるおいしさでした。 これも丼いっぱい食べたい。

◇紅ズワイの手巻き

手巻きなのですが、仕上げに汁をかけてくれます。 海苔がサッと溶け、それがまた合います。 手巻きには焼いた紅ズワイが詰め込んでありました。

◇コハダ

能登産の場合もあるのですが、1人しか獲っている方がいないそうで、今回は熊本産でした。 酸っぱすぎないし、冷たすぎず、素晴らしい。

◇海老

半生で大変美味でした。 冷たいものではなく、「生温かい」ものを炙ったから、この甘さが出るそう。 素材を生かす技ですね。

◇ノドグロ 

やはり北陸へ来たからには食べたい素材。 一番脂が少なくてダメな時期らしいですが、充分おいしいですし、上の芽ネギがノドグロを引き立てます。

◇穴子

ものすごく柔らかくて、とろけます。 ホワホワで、しっとり♡ ツメも大変おいしいです。 めくみさんでは、穴子はほぼ1年中九州産が出ます。

◇太巻き

大きな出汁巻き卵と、かんぴょうを巻いたもの。 卵が以前にも増して、プルプルに出汁が多くなっていました。 出汁はアゴ出汁、甘みは蜂蜜です。

◇アゴ出汁と岩海苔の吸物

とっても優しいアゴ出汁に癒されます。 アゴ出汁は能登半島で作られているもので、作っていらっしゃるのは全員80代だそう。 この名品、若い世代に引き継いでいただきたいなあと思います。

◇甘海老とメレンゲの卵焼き

甘くて、柔らか~くて、しっとりして、おいしいです。 もっと食べたい。

これで終了。 本当に素晴らしかった! フィロソフィーも、仕入れも、調理も、あらゆる点で際立っています。 間違いなく、日本最高のすし店の1つであるめくみさん、昨年から予約はOMAKASEで取ることができるようになったので、ご興味があれば、ぜひ行かれてみて下さい。 特に蟹のシーズンはおススメです。 2002年にオープンしためくみさんは、もうすぐ20周年。 これからも変わらずあり続けていただきたいと願います。 実は、この11月の訪問からすでに2回伺っており、6月頭にもお邪魔する予定です。 

片折

金沢中心部の浅野川沿いに広がるひがし茶屋街に、素敵な佇まいのお店を構える片折さん。 2018年のオープンからわずか数年で、押しも押されぬ超有名店へと上り詰めました。 その際立った出汁と、こだわりの食材を用いた洗練された正統派のお料理が、多くの美食家の方々を魅了しています。 つい先月(4月)に友人達と訪れました。 トップの桜はその時の写真です。

片折さんのコース料金は時価ではありますが、基本は¥28,000(これに税・サービス料がプラスになると思います)。 今回は、お酒を半合いただき、会計は¥35,900でした。 以下、内容です。

◆千代鶴 / 純米酒 / 千代鶴酒造(富山) 

お酒はこちらが出てきました。 お昼でしたので、控え目に~。

また、玄米を煮出したものも供されました。 目の前で片折さんが自ら焙じて下さるもので、香ばしさが広がります。 素晴らしいおもてなし。

◇蓬豆腐

画像1

先附の蓬豆腐、キレイ~! 蓬は新芽の朝摘みです。 素晴らしかった。 これぞ和食の真髄ですね。 また、食前酒として五凛もいただけました。 五凛は上のめくみさんでも握りに合わせて出ましたが、おいしいですね。 

◇一番出汁

目の前で削って下さった鰹節で仕上げられます。 これを、お猪口で少々お味見させていただきます。 鰹のエグみが限りなく少なく、昆布の風味がまろやかさをプラスしていて、相変わらず素晴らしいお出汁。 本当に無二のお味ですね。 鰹節は鹿児島産の一本釣りのものだそうです。

◇柳八目(ヤナギバチメ)の椀

画像2

メバルです。 上の一番出汁を使ったお椀。 塩味を抑えていましたが、大変おいしかった! 片折さんはお出汁がとにかく素晴らしいですものね。 近くの山の方で採れたという白葱も合います。

◇アイナメとサヨリ

画像12

アイナメの歯ごたえが良かった。 とてもおいしい醤油は、奈良産の醤油をベースに、みりんや鰹節をブレンドしているそう。 輪島の塩も好きです。

◇スミイカの木の芽味噌和え

写真は省略させていただきましたが、皆が絶賛した一品です。 木の芽味噌にはほうれん草も使われており、美しい色。 お皿を舐めたくなるおいしさでした。 イカは、(寝かせてねっとりさせた感じのものではなく)歯ごたえが良いもので、このお料理に合っていました。

◇宇出津(うしつ)の鮑 ステーキ

画像13

いつもの鮑が出てきました。 今回はステーキ。 宇出津は、能登半島の北部、能登町にあります。 分厚くて柔らか~い! 玉ねぎの甘さとスダチのアクセントがまた、素晴らしかった。 お皿を舐めようとしていたら(念のため、冗談ですよ 笑)、片折さんがスプーンを持ってきて下さいました。

◇ノドグロの蒸しずし

画像14

箱の木の香りと、木の芽の香りがフワッと香ります。 ノドグロはトロトロ。 ご飯ものは幸せになりますね。 

◇メダイの幽庵焼き

画像15

メダイは氷見で採れたもの。 幽庵焼きは、皆大好きな品ですよね。 素晴らしかったです! 味もしっかりあり、非常においしかった。

◇蟹シュウマイ

画像16

今は閉店してしまった金沢「つる幸」の初代料理長、河田三朗さんが出していた名物料理を、片折さんが久々に復活させたものです。 片折さんはつる幸で2番手まで務められました。 片折さんによれば、河田氏の40ページほどのレシピ帳を1日だけ貸してもらい、急いでコピーしたそうです(笑)。 蟹は新湊で採れた紅ズワイを使っており、他に白身魚、椎茸、玉ねぎなど。

◇ホタルイカの釜揚げ

1年前にいただいたものと同じでした。 ホタルイカにはけっこうしっかりと火が入っているのですが、ふっくらして柔らかい。 お湯をボコボコさせずに70~80℃くらいで茹でるのがコツなんですって。 添えられた菜の花にはほんのり土佐酢がかけられており、ホタルイカとの温度差も良かった。

◇鰯のつみれ汁

これも写真は割愛しましたが、大きなつみれがボンとお椀の中に鎮座し、美しかった。 上には浅葱があしらわれています。 片折さんは、こういったものを作る時、つなぎはほとんど入れません。 鰯が口いっぱいに広がり、素晴らしいです。 出汁もきれいで、やっぱり家庭料理とは違うなあ~。

◇氷見牛の八幡巻き ご飯

ここから〆です。 片折さんでは〆のご飯ものは、いつも3~4種類はいただけます。 最初は白いご飯に八幡巻きが2切れ。 お米が甘い~!

◇焼き鯖ご飯

画像17

鯖にご飯というのはよくある取り合わせなのかもしれないですが、上に乗っているところがおもしろい。 見た目通り、皮はカリッと、身はレアで、鯖の風味がしっかりあり、おいしかったです。 

◇鱒ご飯

鮭ご飯ならぬ、鱒ご飯。 焼いた鱒がご飯の上に乗っていて、鮭ご飯のような感じなのですが、高級感があります。

◇卵かけご飯

画像18

色が薄い卵です。 シンプルですが嬉しい一品ですね。

◇桜餅 

画像19

ほんのり温かく、上品で素晴らしいおいしさ。 葉にはほぼ塩気はないので、一緒にいただいても桜を満喫できます。 

このあと、最後にお薄が出ます。 これもいつも大変においしいです。 

申し分のない内容に大満足。 食材も、お出汁も、食器も、どれを取っても素晴らしいです。 しかも、片折さんは本当に気持ちの良い方で、お弟子さん方の教育(?)も行き届いています。 最近は予約が取りにくくなっていますが、今後も折に触れて伺うことができたらいいなあ・・と思います。 

食べログはコチラです ↓

今回の片折さん訪問も、最高のひとときとなりました。 桜の満開日に当たり、お天気も良く、楽しい友人達も一緒で、そんな中で片折さんの卓越したお料理をいただき、本当に夢のような時間でした。 帰りは皆で金沢城公園の桜を愛でて帰路につきました。 今度はいつ行けるかなあ・・。    


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?