水上 優/Yu Mizukami

合同会社メッシュワーク/共同創業者 アカデミック世界とビジネス世界の辺境から思ったこと…

水上 優/Yu Mizukami

合同会社メッシュワーク/共同創業者 アカデミック世界とビジネス世界の辺境から思ったことを書いています。

マガジン

  • 日記

    日記をまとめていきます。これはとてもプライベートな経験の記録です。

  • 人類学の視点

    人類学者の記事や、人類学的な視点から書かれたものから世界をなまざすマガジンです。

最近の記事

風が強い日に桜を見た

風が強かった。ベンチに座っていたら、思わず目をつぶってしまうほどの突風が何度も吹いた。細かくなった枯れ葉が舞っており、風の形が見えるようだった。 右から風が吹き、くるくると渦を巻く。 左から風が吹き、髪の間に落ち葉が挟まる。 下から風が吹き、ノートを押さえた指の腹に枯れ葉が挟まる。 しかし、太陽の光は暖かく、立春を越え着実に春に向かっていることを知る。 季節が変わっている。 風も、波も動きのあるものは全て、差分から発生している。高気圧から低気圧に空気が動く。地球の

    • あたたかさは目に見えるのか

      薪は太いものだけでも、細いものだけでも、うまく火がつかない。 初めに引火する細い木がなければ種火もすぐに消えてしまう。 細い木だけだと一度に火柱が高く上がるが長く保つ火にはならない。 木が初めから多く入っていると空気が通らず火がつかないし、隙間が空きすぎると今度はうまく燃え移らない。 適切な時に適切な薪を適切な量焚べることで焚火は燃え続けることができる。 火が燃え上がりすぎている時は暑すぎたり、煙が出過ぎて苦しくなる。苦しさに耐えられなくなり自分で火を消してしまう人

      • 概念が苦手

        どんどん手に触れることができない言葉のことを考えることが苦手になっている気がする。仮定の話、仮説、もし〇〇だったら、子供の時は(今自分が子供でないと認識しているのに)などなど。 昔はもう少し気軽に想像したり、妄想したりしていたような気もするが、人間のわからなさや、行為の暴力性に触れるうちに仮定の話が不得意になってきた。 それは過去形にしたところであまり変わらない。私が子供だった時、私が妖精だった時、私が高校生だった時、私が老人だった時、私が死者だった時。 いくら考えても

        • 今日出会った生身の人間は保険屋さんの人だけだ。

          最近少し時間が空くと、昔のアニメシリーズを観ている。学園もの?なのだが、象徴が多く、夢診断的な楽しさがある。でも早くこの世界から抜け出したい気がしている。そろそろオープニングの曲がカラオケで歌えるはずだ。 今日はずっとzoomミーティングを行い、画面と会話し続けた1日だった。いや、画面の向こう側の同僚やお客さんと話しているはずなのだが、どうも画面と話しているような気分になる。我ながら不思議な仕事をしている。 夕方に保険を検討する必要があり、近所の保険を比べる店に行った。客

        風が強い日に桜を見た

        マガジン

        • 日記
          9本
        • 人類学の視点
          18本

        記事

          「東京はとても明るいから、道で本が読めるんだよ」とか言ってる場合ではない

          街灯、コンビニ、道路工事、ロイヤルホスト、防犯のために入口だけ電気がついたままの家具屋、マンションのエントランス、大きくあかるい看板、自動車のライト 東京はとても明るいから、道で本が読めるんだよ。 と、詩的なことを書こうと思ったのに、家まであと3分を切ったところで、お腹に違和感を感じ始めた。 え、まさか、いや、この距離なら間に合うはず。 あの角を曲がりさえすれば。でもあの角から家まではまだ2分ある。油断してはいけない。一瞬の隙で全てが終わる。お尻を突き出し、歩幅を狭く

          「東京はとても明るいから、道で本が読めるんだよ」とか言ってる場合ではない

          旅っぽいことを考えたりしてみる

          はりいしゃという名前の家を出て、「蒲生」というバス停に来た。5分ほど前にバス停に来たはずだが、定刻になってもバスが来ない。時刻表を確認してみるが、間違っていないはずだ。まあ、そのうち来るかなと思って待ってみる。水の音が道路の側溝から聞こえる。山からの水が常に流れているのだろうか。水の音はいい。いつ聞いても水がそこにあることを伝えてくれる。 バス停の標識は手書きである。3本の水仙の花と、夕日のような赤い丸が緑の地平の上に配置されている。自然物が象徴的かつ平坦に描かれると、ヨー

          旅っぽいことを考えたりしてみる

          レシートへの祈り

          クリーニング屋のレシートが落ちていた。 そういえば、数日前にレシートを集めた人の話を聞いたのだった。私も拾ってみようと思い、少しレシートを開いてみた。 レシートは車に一度踏まれたようで、ピッタリと折られ、アスファルトの形がレシートにうつっている。半分開いたところで、なんだか覗き見をしているような気分になり、閉じた。 「入会金200円」と書かれていたので、初めて訪問するクリーニング屋だったのだろうか。クリーニング屋の会員カード、いつも無くしてしまう。電話番号で会員検索をし

          レシートへの祈り

          「バス来たね」「はい!」

          朝?4時に起きてしまう。ここは秋田駅前のホテルだ。昨夜の酒が悪さをしている。もう最近たくさんは飲めなくなった。コーヒーも1日2杯、酒も2杯が限界だ。最後の居酒屋で自分の皿に乗せた料理を食べられなかったことを今でも後悔している。美味しかったのに。ここまでは手書きで書いたが、鬱陶しくなってしまってタイピングに切り替えた。ああ、PCに最適化された身体。なんということだ。 朝早く起きると、どうしても暗い気分になる。二度寝もできないので音楽でも聴こう。最近は日食なつこさんというアーテ

          「バス来たね」「はい!」

          口がスオミ

          朝だ。夢の中でInstagramを見ていて「なんで夢の中までもSNSを見なくてはいけないんだ」と憤る。でもなんだか今朝はふわふわとした感じがある。ここ一ヶ月ほど、目覚めが悪い日々が続いていたが、今朝はなんだか違う。 それは他人の家で目覚めたからかもしれないし、寝る前にビールを飲んだからかもしれない。 他人の家のカーテンを開けると、まぶしく暖かい陽の光が差し込んでくる。早稲田の光だ。夏目漱石もこの朝日を感じていたのだろうか。 家主も起き出してきた。 私が「朝は何を飲むの?

          あたまをぶつける

          私は子供の頃からよく頭をぶつけている。 母から「頭悪くなるから、注意しなさい!」と良く言われたことを思い出す。多分悪くなったので、もう仕方ない。 大きくなってからも、ちょくちょく頭をぶつけている。さすがに、たんこぶは作らないが、年に数回ぶつけていると思う。 痛い。 最近2度続けて頭をぶつけてしまったので、ここに書いておこうと思う。 1度目は入道崎の祠でぶつけてしまった。 入道崎は男鹿半島の突端にある岬で、その突端に海上安全を祈願した地蔵を祀ったコンクリート製の祠があっ

          あたまをぶつける

          言語と身体に関するメモ(随時更新)

          自分が言語優位でそちらの方がセンシティブに受け取るからこそ、身体に興味があるのかもしれない。でもセンサーは言語のほうが強いから、結局言語優位に解釈してしまう。 言語による安心が欲しいし、言語による秩序に安心する。 考えていることは身体、態度、行動に立ち現れるが、それを的確に捉え解釈するためには身体のセンサーとボキャブラリー(身体のことを言いたいのに言語的になってしまう)が必要。 もしくは、何かの違和感、不自然、自然、心地よさを感じたとしても、それを言語的にもしくは身体的

          言語と身体に関するメモ(随時更新)

          人類学の会社を設立しました

          皆さんこんにちは。 新年度の最初の月がもう終わろうとしています。びっくりですね。 4月1日に合同会社メッシュワークという会社を設立しました。 人類学者・比嘉夏子さんと、槌屋 詩野さんの3人で共同で創業しました。 設立に関して詳しくは下記の連名記事をお読みいただけると幸いです。 ここでは、個人的な話を少し書いておきます。 私は大学院を卒業する時に、進学して博士課程後期に進むのか、就職してアカデミアの外に出るのかをギリギリまで迷い、考えるのを後回しにした経験があります。結

          人類学の会社を設立しました

          UX企画の立て方 ~ユーザ理解からユーザ体験理解へ~

          こんにちは!水上優です。修士課程まで文化人類学を勉強したあと、色々あって、今は株式会社ビービットにてフェロー兼UXコンサルタントとして活動しています。 今回は、ビービットの「UX企画の立案』に関する手法を学び、「あーそういうことか!」とガッテンしたことを皆さんに紹介できればと思い記事を執筆しました~ 本記事は2021年のUX Research Advent Calendar 12月22日分です UX企画ってなに ここにたどり着いた皆さんならご存知かもしれないですが、U

          UX企画の立て方 ~ユーザ理解からユーザ体験理解へ~

          「リメンバー・ユー」イマーシブシアターを見て

          ego:pressionの主催する「リメンバー・ユー」というイマーシブシアターを観てきた。https://www.egopression.com/latestinformation ので、そこで思ったことを徒然なるままに、備忘録的に書いておこうと思う。徒然すぎてわかりにくいところあったら是非コメントください。 観劇中の感想「え、なに。じゃまにならないように。おっと!ここまで踊るのね!ローカルなおじいちゃんぽい人が観客にいるのいいな。孫連れてる感じとか。私はいま『家政婦は見

          「リメンバー・ユー」イマーシブシアターを見て

          これから人類学にふれる人へのおすすめ本(ここ最近でた本編)

          職場の人から「人類学にふれる際のおすすめ本ありますか?」と問われた。けっこうむずかしいリクエストだ。人類学ってノウハウみたいなものを嫌う性質もあるので、「10秒で解る!人類学」みたいな本は無いし(むしろあったら眉唾ものか、すごい皮肉)どうしても事例ベースになってしまう。 ここ最近刊行されている本で(古典とか教科書的なのは別の機会にご紹介したい)、気になる本をピックアップしてまとめておきます。 松村圭一郎さんの名物ポッドキャストが書籍化しました。さまざまなトピックについて人

          これから人類学にふれる人へのおすすめ本(ここ最近でた本編)

          中学生の頃、私は踊っていた

          やっぱり体系的な自己紹介を書く気が起きないので、時系列で今の自分と関係ありそうなトピックを拾いながら、エピソードを書いてみる。前回「フィールドワーク人生の原点」は小学校時代のことを書いたので、中学生時代について書いてみる。 死と踊りの中学校時代中学生の頃、私は踊っていた。 らしい。 確か、図書館にあったミュージカル映画の本(DVD付き)にハマっており、『雨に唄えば』のマネをして、祖母に頼み込んで買ってもらった、ちょっと高級な大きな傘を振り回しながら、徒歩で15分ほどの中

          中学生の頃、私は踊っていた