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【ネタバレあり】映画デリシャスパーティプリキュア【感想】

来る令和4年9月23日、映画デリシャスパーティプリキュアが放映されました。初動3日で興収3.6億円の快挙を成し遂げたようです。その人気ぶりに、顔がほっこり。まずはおめでとう!

本編では5話のカットがあったため、一時はどうなるかと思いましたが、無事放映されて、安堵の息を漏らしています。

まず、映画を観終えたあとに真っ先に思った感想がこちら。

「大人になるとは、かくも切ないものか」

目頭が熱くなる怒涛の60分強。肝心の映画はというと、結論から言うと、結構考えさせられる、重めのストーリーでした。単純明快な作りではなく、後からいろいろと考察できるストーリー。あえて描写されなかった部分にも、想像の余地があり、そこから「あなただけのお子さまランチの物語」が生まれてくるのかもしれません。しかし、この映画をそれぞれで考察した結果、物語本編では見えなかったデパプリの世界観の隅々が、あなたの中で生まれてくることは明らかであり、デパプリファンにはしっかり観てほしい映画であることには変わりありません。

それでは早速、レビューをしていきましょう。

※2022/10/15からは入場者プレゼント第二弾が始まるようです!
二周目を狙う方はこのチャンスを逃さないでください。

話が結構重い

綺羅びやかな遊園地の影には悲壮な影が。

映画で相対するケットシーですが、とある理由から大人を完全に敵視しているため、大人に対する攻撃が容赦ないです。ケットシーの容姿の不気味さや、ドリーミアのロボットの無機質さも相まって、徹底的に大人を排除しようとする描写は観ていて結構怖いです。クレヨンしんちゃんのオトナ帝国の逆襲にも近い恐ろしさといいますか、これを観るとたぶん、いつか親が離れてしまうかもしれないという軽いトラウマが植え付けられると思います。そして、詳細はあとで述べますが、ケットシーがそれなりに救いのない過去だったため、観ていて結構心が傷んでしまいます。だからこそ、後半のキュアプレシャスのとの問答でカタルシスが得られるのでしょうが、観ていて結構重いなあと感じたのが本音でした。

ごはんは笑顔に対するアンチテーゼにしびれる

「ごはんは笑顔とは何か?」を考えながら映画を噛みしめるのも一興。

ケットシーの暗い過去、デパプリの命題「ごはんは笑顔」に対して、ごはんで笑顔になれないときはどうするのか、という葛藤が描かれており、デパプリという物語を追っていくにあたっては、この映画は必要にして外せない物語となっています。本編でゆいが「ごはんは笑顔」と迫ってくることに対して、こいつこれしか言う事ねえのか?と思ったこともありましたが、その文句が通用しなくなるシーンが映画にはあって、ゆいの座右の銘を根底から考え直すシーンが描写されます。これが本当に良かった。ここで、ゆいが自問自答し、自らの信念のもと、「ごはんは笑顔」を再構築して体現することによって、ゆいとしてのキャラクターがより明確になり、より成長し、より本編での「ごはんは笑顔」の設定が活きる結果となりました。これを観ると観ないとでは、おそらく本編でのゆいの捉え方、説得力がまるで違ってきます。この解釈部分を埋めるためにも、デパプリファンは映画は観るべきだと思いました。

セクレトルー様がご出演なされた

Secretary(秘書)から名付けられたとされるセクレトルー様。
本編での初陣では仕事至上主義で、目的を達成するためには手段を選ばない冷徹ぶり。
映画でも最高の敵として登場。

これは嬉しいニュースでした。映画では絶対に出て来ないと思っていたブンドル団が、しかも一番敵役として有能かつ凛々しいセクレトルー様が、序盤も序盤に登場して、プリキュアとガチバトルをこなしていきますやっぱり、セク姐さんが出ないと、デパプリは締まらない!ほんの開幕数分でのバトルでしたが、映画の時間軸ではセクレトルーは浄化されずに存命していたと考えると、セクレトルーのこれからの本編での運命も気になってくるというところです。裏を返せば、映画という正史で敵役をこなしているセクレトルー様なので、本編では光堕ちはせず、敵のままフェードアウトしてくシナリオが脳裏をよぎりました。ナルシストルーも出てくるのかと思いましたが、それは叶わぬ夢でしたね。ナルシストルーは、本編でも再復帰の余韻を残しているので、これからの展開に期待が深まります。

ケットシーがタンジロー

なんとなく予想はできていたのですが、ケットシーが竈門炭治郎でした。怒り狂えば狂うほど、鬼退治に出かけるんじゃないかとヒヤヒヤしました。暗い過去を持つ(であろう)ケットシーでしたが、描写の少なさもあり、急に勝手に発狂したようにも見え、力の籠もった叫び声がまさに、禰豆子を守らんとするそれに見えてしまって、どうにも苦笑いでした。

ケットシーの過去がよくわからない

映画限定のキャラクターでもあり、短い尺での描写もなかなか難しいところではあると思うのですが、ケットシーの過去描写がよくわかりませんでした。ケットシーのみんなを笑顔にしたいというを純粋なこどものような想いを裏切った大人が憎いとのことでしたが、なぜケットシーは悪いオトナに利用されたのか、ケットシーを利用した悪の存在は何だったのか、そもそもケットシーとは何だったのかがしっかり描写されていなかったため、物語に必然性が生まれておらず、どうにも勝手に訪れてきたケットシーが勝手に逆ギレして終わったかのようにも感じられました。これにより、敵に深みが出てこず、プリキュアが戦う理由にも根拠が見えにくく、「とりあえずピンチだから戦おう」という表面上のバトルのようにしか見えませんでした。勝手に戦って勝手に終わってしまった、そんな印象です。

音楽が素晴らしい

寝る前のヒーリングミュージックとしても最適。
本編を観てから聴き返すと、しっかり名シーンが頭の中に浮かびます。

私が音楽好きだからそう思っただけかもしれませんが、映画デパプリの伴奏はとても繊細で心に響きます。特に、ケットシー登場を描く、賑やかな中にもどこか妖しさを感じさせる奇天烈な音楽や、ケットシーの生い立ちを語る場面で響く虚無なピアノの伴奏は見事の一言。終盤におけるお子さまランチスタイル変身の躍動感溢れるクラシカルなメロディーも、映画館の迫力の増した音響もあって、ズンズンピロピロと心の中に舞い降りてきて、よりプリキュアが際立つシーンを演出できていました。

2000キロカロリーパンチ+2000キロカロリーパンチ

500キロカロリーから始まったパンチも遂に8倍力に。

コメコメ含む妖精たちの変身にも驚きましたが、フィニッシュに持っていく前の連撃の最終で、キュアプレシャスとコメコメそれぞれの2000キロカロリーパンチの合せ技、すなわち「4000キロカロリーパンチ」が生み出された瞬間は、頭が沸騰しました。アツい、とにかくアツい。ゆいとコメコメのそれぞれの葛藤を乗り越えたあとに生み出された必殺技からこそ、パンチの重みも増したというもの。本編ではおそらく2000キロカロリーで終わってしまうと思っていただけに、劇中でナマで成長を遂げる必殺技を拝むことができて、まさにヒーローの威厳がそこに見えたという感じがしました。テレビで見てもおそらく感動するんだろうけど、映画館という特大のスクリーンで放たれる4000キロカロリーだからこそ味がある。敵に撃鉄を下す正統派、心に直接語りかける武器はやはり、パンチなんだなあと改めて感じました。

はなまるうどんがちゃっかりゲスト出演

これがまた、こどもたちが美味しそうに食べてるんです。

ドリーミアのとあるシーンで、うどんを食べる場面があるのですが、ほんの一瞬ですが、ちゃっかりはなまるうどん明記がなされていました。後世に残る作品と思うと、どんだけギャラ払って宣伝したねんと、黒い思いが心に募りましたが、こういう心が、ケットシーを捻じ曲げてしまったんでしょうかね。汗

ブラペの見せ場がある

ブラペに見せ場があることは、当たり前のようでいて、レアなんです。

本編では女性陣に出番を奪われがちでポンコツ臭のするブラペでしたが、映画ではとても輝いていました。拓海くんを含め、美味しい(出番)の独り占めでした。そして、拓海の、誰もが思うであろうお子さまランチに対する一言が、物語を大きく動かすきっかけともなっており、非常にキーマンとしての立ち位置が確立されていました。本編ではポンコツタキシードと揶揄されるブラペですが、映画では活躍しすぎて、もはや格好良すぎです。ゆいとの掛け合いも一言でニヤニヤできる台詞が用意されており、ブラペのファンはたじろぎます。そして、映画では拓海くんとブラペファンにはさらにニヤニヤできる展開(プレゼント)が。良かったね、拓海くん!幸せだろうな!笑

マリちゃんが活躍する

劇中でぬいぐるみにされてしまうマリちゃんでしたが、まさに本当に上のような感じでした。

マリちゃんはテレビ本編でも適材適所で鬼神の如く活躍するナイスバディなのですが、映画でもその役どころは変わらず、しっかりプリキュアたちの司令塔になってくれていました。マリちゃんという先動員がいなければ、デパプリメンバーのチームワークは崩れがちになるので、マリちゃんの存在はバトルでも私生活においても必須であり、これが映画でも活きた形となりました。マリちゃんは映画でもいいオトナ!(だからこそ、真っ先に敵から標的にされるのですが。笑)

コメコメ可愛いよコメコメ

本編開始からコメコメを追ってきた人にとっては、その成長ぶりに涙するはず。

とは言いましたが、何もコメコメに限ったことではなく、妖精組がとてつもなく可愛い動きをしてくれます。そして、映画独自のシナリオによって人間化もしてくれるため、妖精好きにはたまらない展開となっています。特にパムパムの可愛さは公開前から指折り数えられていましたが、実際に動くと、もはや想像以上の可愛さです。最終的にはお子さまランチスタイルでみんな大変身するため、もはやクライマックスは怒涛の可愛さラッシュ。メンメンは腹パン状態や麺類をすするシーンがとてつもなく可愛い。そして、コメコメはゆいと一緒に物語のキーマンとなるため、可愛さにも拍車がかかっている状態。とにかく、妖精が可愛い。デパプリは妖精が可愛い。

見せ場が均等にある

もうね、どのキャラも好きなんだけど、みんながスクリーンで動くだけで尊い。

映画ではメンバー全員に均等に見せ場があったため、相対的に影が薄いキャラが目立つことになりました。例えば、ゆいは本編ではキーマンとしてやストーリーテラーとしての必要最低限の接触しかないですが、映画ではガンガン物語を先導していくため、強いリーダーシップとヒーロー性を発揮し、まさに主人公の面目躍如といったところでした。ここね、らんもボケツッコミの役どころがしっかりしており、その間であまねもしっかりポンコツ化した(と思えばバトルでは頭一つ抜けた活躍をしてくれる)ため、どのキャラクターのファンにとってもホクホクする展開となり得たことでしょう。

わたしだけのお子さまランチに仕掛けられた絶妙なカラクリ

メッセージ性豊かな本編のあとは気楽なパーティを…
と思いきや、短編にもしっかりとメッセージが。

同時上映のフルCG映画「わたしだけのお子さまランチ」。短編ながらも、ショートコントやエピローグ、漫才のような軽妙感があり、陰鬱さを帯びた映画本編の後では、より際立って表出されていたような気がします。先輩キュアたちが数年分ざっくりと登場してくれ、中でもトロプリメンバー、キュアグレース、キュアスターは声の出演もあり、観ていた女の子たちはニヤっと出来たことでしょう。「わたしだけの」というオリジナルが重ねられた結果、収拾がつかなくなり、多様性をまるごと含める「みんなの」お子さまランチに落ち着かせるという、なんともほっこりする結末でしたが、一人ずつが違ってみんなが良いという受け止めもでき、ほどよく大団円となりました。タイトルに沿った話で最後はタイトル返しで終わるというのも、伏線をしっかり回収した感があって、なんともすっきりした終わり方でしたね。

2023年プリキュア映画化決定

おめでとうプリキュア!

これが何を意味するかというと、プリキュア20周年が確定したということです。女児アニメは短命…と言われる中で、存続が明らかにされることは、ファンとしてはとても喜ばしいこと。やはりそうきたかと思う反面、来年も続くシリーズ化に感謝の意を込めました。

総評

一つの映画としてはツッコミどころがないとは言えない部分もあったのですが、本編とリンクしている部分が多数ある以上、本編をより解釈する上で、デパプリ好きには避けては通れない作品となっていた印象でした。序論でも述べましたが、この映画を観ることによって、よりデパプリの世界を濃厚に楽しむことができるようになります。映画を観たら本編が楽しくなり、本編を観たら映画も楽しくなる、そんな作りです。かといって、話の内容は起承転結がはっきりしているため、デパプリの本編を知らなくてもプリキュア短編としてもしっかり楽しめる作りのため、後追い組でもがっつり楽しむことができます。プリキュアが好きな方であれば、見せ場あり考えさせることありと、親子で観ても心がほっこりすることもあり、満足する映画だと思います。ぜひ、秋の機会に、特大のスクリーンならではでしか味わえない、ド迫力のスケールのプリキュアを楽しんできてください!

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