岩井俊二の新しい映画が今日から公開らしい。

キリエのうた

予告編を見た。
私自身がまだ本編を見ていないので、
現時点での感想は何も述べたくないし、
実際述べられないが気になる。

岩井俊二と言えば、
私の中では既に何度も私の記事に登場しているバンド、
羊文学のこれまたお気に入りの曲
Stepのミュージックビデオを監督した人。

そんな認識程度だった。

この「キリエのうた」公開にあわせて、
彼のYouTube、岩井俊二映画祭では
彼の代表作のひとつ、
「リリイ・シュシュのすべて」が期間限定公開されていた。
この映画が公開された2001年は特に気にならず、
（そもそもこの当時から私がラジオの方が好きであまり
テレビを見ていなかったからというのもあるかもしれないが）
名前をチラッと聞く程度で結局見ずに映画館上映が終わってしまったが、
良い機会だったので今回Youtubeで見ることにした。

まだ見ていない人に先入観を与えたくないので具体的な内容には触れない。
フワッとした感想だけ述べさせてほしい。

まず冒頭部分に映し出された2000年前後の空気感に圧倒的な懐かしさを覚えた。流れる音楽、街行く人々、着信が三和音の携帯電話、
今とはまた違った世紀末の混沌とした世の中、ノストラダムスの予言等・・

自分が子供の頃大人たちが皆口を揃えて
「昔の方が良かった。」と言っていたことを思い出した。
私自身が大人になり、ここ数年のコロナ以降の世界の流れに少しウンザリしているところがあって、最近は自分が幼かったころ、
まさにこの2000年前後の時代がいかに今より良かったかと
ふと最近思っていた。

しかし、映画というフィルターを通して当時の映像、
空気感を追体験することによって
果たして本当にその時代の方が良かったのだろうかと自問自答した。

この映画で主に取り上げられている中学生の主人公のまわりで起こること、

いじめ、暴力、万引き、援助交際、レイプに自殺・・・

書いているだけでも鬱々とする内容であるが
救いはドビュッシーの美しいクラシックと
リリイ・シュシュの音楽である。
特にドビュッシーのアラベスクは映画内で何度も使用され、
重要な役割を担っている。
美しいクラシック音楽が何とも無惨残酷なシーンに使われていたりする。
そして悲しいくらいまでに劇中の空は美しく、
カメラワークも素晴らしかった。

HSP寄りの私は普段なるべく暴力的だったりホラー系の映画は
脳裏に焼き付き数日引きずってしまうので見ないようにしているのだが、
この映画は音楽のお蔭で最後までそこまで心にダメージを負わずに
見ることが出来た。
公開当時の中学生の私には刺激が強すぎただろう。
大人になった今のタイミングで見ることが出来て逆に良かったと思う。
でなければ上に述べたこの映画で使われている音楽の素晴らしさや
映像美には気が付けなかっただろう。

最後にリリイ・シュシュの音楽について、
オリジナルはSalyuが歌っていることも恥ずかしながら
このタイミングで知った。

そしてこの映画を見てからというもの、
私自身がすっかりリリイ・シュシュの虜になってしまった。
楽曲の完成度が高く、歌詞も実に文学的だ。

• グライド

• アラベスク

• エロティック

• 愛の実験

• 飛べない翼

この辺りがお気に入り。
既に蓮見、星野と同じくらい彼女のファンである。

Portishead/Cocteau Twins/Drug Store Romeosなどの女性ボーカル、
メロウで少しダークな要素が入っている感じが好きな私にはかなり刺さった。
あとはBjörkが好きな人とかにもハマりそう。

リリイ・シュシュの音楽、その後リサーチしてみたら
まさかの私の好きなアーティストが
上に挙げた曲をカバーしていることを知り興奮した
（カバー曲を聴いてからこの曲を好きになったわけではなく、
オリジナルを聴いてお気に入り曲が定まった後に
たまたま自分の好きなアーティストが
自分の好きなナンバーをカバーしていることを知り二重で興奮した！）。

Mitski- Glide

因みにこれは"After Yang"という別の映画で使われているらしい。
この映画はこの映画で今しがた予告編を見て面白そうだったので
見てみたいな。

青葉市子-アラベスク

青葉市子は昨年ドイツにも来ていたけれどタイミングが合わなくて見られず・・・
オリジナル版とはまた違った良さがあってこちらのバージョンも大好きです。因みにこの曲、初めて聞いたときは
何語で歌っているのかと疑問に思ったのだけれど、
どうやら琉球の方言で歌われているらしいです。

時間があれば是非一聴してほしい。
そしてLily Chou-Chou aka（古いｗ） Salyuが歌うオリジナルverも是非聞いてみてほしい。

最近食わず嫌いだった日本映画の魅力に気が付いてしまった。
またシェア、または自分用に書き留めておきたくなるような映画があれば
記事にしようと思う。

良い週末を◎

yuni