見出し画像

Vtuberに気を付けろ!あなたを沼らせる『サンクコスト理論』

Vtuber、面白いですよね。
僕も配信や切り抜きなどをちょいちょい見て楽しませてもらっています。

ただこのコンテンツ、面白い反面ある種の”危険性”も孕んでいるように思えるので、今回は苦言ではないですけど、ささやかな諫言的な感じで言及していこうかなと思った次第です。


Vというコンテンツ

ちょっと配信を見たり、たまに切り抜きを見たりするだけならば全くの無問題ですが、このコンテンツに関しては、それだけでは物足りないさを覚える構造になっているのは周知の事実です。

どうしたってスーパーチャットなどしたくなるものです。
グッズだって欲しくなります。
ライブにだって行きたくなります。
ボイスだって買いたくなります。

これらは至って自然に湧き出る感情です。おかしくはありません。

そのようにコンテンツに貢献したくなるようにできています。
気づいたらスパチャしていたりなどはよくあることでしょう。

そしてそれは至って手軽に行えてしまうのです。
スパチャはボタン一つ、グッズはboothなどで手軽にぽちっとできてしまいます。

最近では中学生さえスーパーチャットで赤色を投げているというのですから、その簡易性と手軽さには目を見張るものがあります。


可処分時間

続いて、皆さんは可処分時間なるものを知っていますでしょうか。
噛み砕いて言えば自由に使える時間のことです。
昨今の市場、特にプラットフォーム媒体などでは、Youtube、tiktok、Twitter、Instagramなどを筆頭として、ユーザーの可処分時間の奪い合いが激化しています。

画像2

企業は今まで我々の可処分所得(自由に使えるお金)をいかに奪うかで競ってきましたが、次なるフェーズは可処分時間……時間というリソースの奪い合いへと変化していきました。

そして、Vtuber業界も御多分に漏れず、我々から多くの時間を吸い上げるために様々な策を弄してきます。
切り抜きで動画畑を満たしたり、ライブを定期的に行ったり、オリジナル曲をたくさん出したり、高頻度で配信したり等々。

ユーザーの自由な時間をコンテンツで埋め尽くし、生活の一部として組み込まれようとしてきます。


つまり

Vtuberというコンテンツは、我々の可処分時間、可処分所得をがっちりと囲い込んでくるように作りこまれていて、なおかつそれはSNSの発展に伴い、極めて容易に行われているということです。
これは実はとっても怖いことなのです。

ここで表題のサンクコスト理論の登場です。


サンクコスト理論とは

皆さんはサンクコスト理論を知っていますでしょうか。

これは知っているか知っていないかでは、これからの人生に大きな差が出るかもしれない大事なロジックなのです。

サンクコスト理論というのは恋愛界隈でよく使われる用語なのですが、その他全ての分野に通ずる理論です。

恋愛界隈では、『相手を沼らせて貢がせる方法』として重宝されています。

サンクコスト、というのはもとは投資用語で、埋没資金という意味なのですが、要するに投資し、もう自分のもとには戻って来ないコストのことです。

サンクコスト理論を要約するならば、
相手に沢山サンクコストを吐き出させれば、相手はどんどん自分に沼っていくよ、というような感じです。

恋愛面でいうサンクコストとは、時間やお金は最たる例で、それだけではなく、相手のための労力なども含まれます。

相手のことで頭がいっぱいの時間も、相手の家まで遠路はるばる通う手間暇も、サンクコストなのです。

バッグを買ってあげたり、ご飯を奢ってあげるのも勿論サンクコストです。

そのサンクコストをできるだけ相手から引き出し、いかに自分はセーブするか。

相手にできるだけ長く自分のことを考えてもらって、相手にできるだけお金を出させ、相手にできるだけ具体的に自分のために動いてもらう。
反面自分は極力相手にリソースを吐かない。

そうすることで相手は自分に深く依存していく……そういう理論なのです。

それはなぜなのか。

人間というのは不思議なもので、自身がコストをかけた対象を美化してしまう性質が備わっているからです。(いわゆる一貫性の法則というやつ)

自然と、それは価値あるものだ、それは貴重なものだ、私がこんなに投資したのだから。と思い込んでしまうわけです。

その対象がどうしようもなく魅力的に見えてきてしまうんです。

実際の価値を度外視して……。

そしてその沼に嵌ってしまったら、容易に抜け出せません。

自分では気づきにくいからです。

そのものの本当の価値を、リアルに感じ取ることを拒むからです。


例えばの話

彼氏のために何十万も使った。毎日彼のことを考えた。彼氏のためになんでもした。

そういった女の子は、彼氏にどこまでも依存していきます。

依存していき、彼氏が離れそうになると、またサンクコスト、お金や時間などを莫大につぎ込み、繋ぎとめようとする。

そしてまた更に依存していくという負のスパイラルに陥っていきます。

ずっとずっと彼氏と別れることはできません。

そして女の子の目には、その彼氏が運命の相手のように映ってしまっているという……。

もうお分かりですね。


Vtuberは究極のサンクコストマシーン

Vというのは巧に作りこまれていて、我々から驚くほど容易に、驚くほど颯爽とサンクコストを吸い上げていきます。
その手際の良さ、鮮やかさは目を見張るものがあります。

切り抜きなど、他方に撒かれた撒き餌にまんまと食いついたユーザーは、最初は一定の距離を置きながらコンテンツを嗜んでいたけれど、ある時のスーパーチャットを境にサンクコストスパイラルに嵌っていき、そして次第にそれはエスカレート。

生粋のオタクに豹変し、推しの配信はかならずリアタイ視聴、投げ銭も欠かさず、Twitterではいつもリプライ、コメントを読まれたら狂乱し、友達とは常にVの話、という始末。

でもいつしかそんな自分の歪さや、誤謬に気付くも、すでに歪められた価値観では核心の答えには辿り着かない。

だって推しは完璧なんだもの

何かがおかしいと思うも沼から足を引き抜けない。

そんな細やかな疑問符さえVを見て搔き消していく日々……。

永遠に時間、お金、労力を吐き出す人間になり下がってしまう危険性が、Vにはあるのではないでしょうか。

○○ちゃんは本当にいい子。
毎月何十万円も貢ぐ価値のある女の子。
○○ちゃんのおかげで人生救われた。
だから僕も恩返しするんだ。
果たして本当にそうなんでしょうか?

その対象は、その価値に本当に見合ったものなのか、もう一度胸に手を当てて考えてみてください。


まとめ

と、そういう話でした。気になった方はサンクコスト理論についてもっと調べてみてくださいね。

とっても怖いですけど、知っておくことで対策を講じられます。

人間というのは自然とバイアスが掛かってしまう生き物なのです。

我々はそれを知り、コントロールしていく必要があります。

最後に一応言っておきますが、僕はVそのものを、それを応援するファンの皆さんを否定したいわけじゃないですよ?

頑張る配信者を応援したくなる気持ちや、励ましたくなる気持ち、とっても人間的で素敵だと思います。それは素晴らしいことです。

ただ、僕が言いたいのは、自身の人生を消費してまで、応援しなければならない他者など存在しないということだけなんです。

Vなどの推しコンテンツは、余剰資金、余剰時間で楽しむくらいがちょうどいいように思います。

そういった、一定の距離を保った楽しみ方をしていきたいですね。

ではでは。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?