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「グラレコ本を作ろう!」-企画編-


 2021年の春以降に、有廣編著でグラレコに関する本を出版します。共著者は、30人以上。ここまで来るまでの道のりはとても大変だったけど、必要で大事なプロセスだったのかもしれないと思い、最近やっと色々受け入れられるようになってきました。10円禿げができるぐらい大変だった....もう二度とこれはしたくない...(笑)
 とはいえ、その長いプロセスを丁寧にハーベストしたいなと思い、今回はnoteにまとめて残しておこうと思います。

まずは企画編!

「グラレコの本出しませんか?」:書籍出版のきっかけ

 最初に出版のお話をいただいたのは、芦屋市役所の筒井さんでした。
今回の共著の1人である有賀優ちゃんの紹介で、芦屋市役所でグラフィックレコーディングの簡単なレクチャーをして欲しいという依頼が、筒井さんとの最初の出会いでした。
 好奇心が旺盛で、色んなところに顔を出している筒井さんとその後会ったのは、私が勤務する神戸のゲストハウス、ゲストハウス萬家(Guesthouse MAYA )でした。
※ゲストハウス萬家: 地域の繋がりを大切にするゲストハウスで、神戸の水道筋商店街という商店街の近くにあります。水道筋商店街は、古き良き下町を残しつつ、外から来た人でも優しくあったかく楽しく接してくれる人が多いエリア。あと、何より商店街にあるお店がどれもクオリティ高い。

 たまたまMAYAに来られていた筒井さんから、「グラレコの本出しませんか?」と言われて、やりたい!と思った私は二つ返事で「出します!やりたいです!」と言ったことを覚えています。

 そこから、今回版元になっていただく学芸出版社の岩切さんと繋いでいただき、本格的にこの出版のプロジェクトが始動していきます。岩切さんの第一印象は、おしゃれなお姉さん。あと、一緒に議論しながら進めていけそうな方だとも思いました。3人で灘駅のカフェデリで話し、「頑張りましょう!」と言い合ったことが、今頑張れる大きな糧になっています。

現場を見たいことない人に伝える難しさ

 企画を進めるにあたり、何度も何度も岩切さんとやり取りをさせていただきました。筒井さんは見守っていただきながら、適宜コメントをいただくというスタイルをとり、企画書を作成していきました。
 私はどうしてもワークショップや授業を作る流れのデザインor 論文執筆の流れしか知らず、最初は企画書作成は苦戦。
 また、何より大変だったのは、グラフィックレコーディング以外にも言葉があり、その言葉(手法)の使われ方、立ち位置、グラフィックを描く意味ということを、岩切さんに理解してもらうまでに相当時間がかかりました。
 自分や他の方々の現場を見ていない方に伝えること、また特に、人の関係性、場の雰囲気や熱量など目に見えにくいことを伝えることは、相当大変でした。

 グラフィックレコーディングという言葉を離れ、「ビジュアライズ」「ビジュアルプラクティス」など、話の可視化を包含するような言葉を岩切さんに理解してもらうまでに3ヶ月ぐらいかかりました。
 私も根気強く伝えたのもあるのですが、何より岩切さんも粘り強く向き合って下さったからこそ、今の関係性があります。ここから半年ぐらいはバチバチに言い合ってました(笑)

様々な思惑と葛藤

 いよいよ、岩切さんにビジュアライズについて伝わり初め、企画のイメージが出来上がってきたときに、ある方が学芸出版社から同じようなグラレコの本を同時期に企画し出すとのことで、私とその方、また出版社の方々で協議することになりました。
 相手がいるお話ですし、ここでは内容は詳しくはお話はできませんが、今回は別々に出すことが決まりました。ただ、割ときついお話や心ない言葉がけが多く、私も自分の不甲斐なさや能力不足に落ち込み、相当ダメージが大きかったです。担当者の岩切さんにも色々ご心配をおかけしました。
 相手方の担当者と、岩切さんなどを巻き込み、色々大変ではありましたが、あのまま続いていても良い結果につながらなかったと思うので、結果的には良かったのかもしれません。 

多くの人に愛され、大事にされる本にするために

 この後から、ただグラレコやビジュアライズに関する自分の考えをまとめる本を出すのではなく、「多くの人に愛され、大事にされる本」にするために、私は何ができるのかを考え始めます。この理由は、様々な方々の実践を掲載することは決まっていたので、その方々の実践が、批判や否定されることが私はとても嫌だったから。(建設的なコメントは良いとは思います)上述した仲違いした方に、企画書に挙げていた方々(後に共著)のスキル否定をしたことがきっかけでした。この人たちが制約に縛られず、のびのびと自分の実践を載せられる本にしたいと思うようになりました。ビジュアライズの業界の中で、業界内での対立を生み出さず、この共著の方々のみならずそれぞれの実践が批判否定されることなく、実践知として捉えられるように。

 フリーランスで活動されている方々には、書籍出版は自分のブランディングになると言われ、そのようにした方が良いとのアドバイスはたくさんいただきました。要は、自分の実績になるような本にしたらええやん!と。

 また別の方には、あなたは実力がないから人数を集めて本を作るのでしょう?本出すんだったら、もっとSNSなどで発信したら?

 色んなご指摘やアドバイスをいただきましたが、本当にたくさんの方々から応援され、大事にされる本になるのか?と悩み続けました。

 どうしたら良いのか困り果てていた私は、共著者の1人である山本彩代さんに相談して、ティール組織の本の監修をしていたhome's vi代表 嘉村賢州さんに相談することになります。同時に、同じく共著で、私の所属しているNPO法人EN Lab.の先輩、石橋智晴さんにも声をかけヘルプを出します。4人で「どうしたら多くの人に愛される本になるのか?」と議論。先人の方々の実践の知恵を私たちがたくさん享受してること、様々な方々の実践それぞれが失敗ではなく、次への実践につながる学びであること。何より、このビジュアライズの業界がもっと発展していくためにはどうしたら良いのかなど。様々な議論をさせていただきました。

 そして、結果的に、中野民夫さん、上田信行先生、そして私と石橋さんのNPOの代表である荒木寿友先生に協力していただくことになり、今の形になりました。

 色んな方々に励まされ、色んな方々にサポートしていただきながら、ときには緊張とプレッシャーで泣き苦しみながら、岩切さんと思いを強くしていきながら企画を再度練り上げ進んできました。

 If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.
早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け。

 この言葉を強く強く実感しました。
 最終的には、自分のことを一旦脇に置いて、この本に関わってくれる人が、より良く本の中で大切にされるためにはどうしたら良いのかを考えるようになっていました。これは、この本を出すからであって、今後このように考えるのかはわかりません。
  個人的には、もうこんなことしばらく思いたくはないですけどね(笑)
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次は、内諾編!


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