見出し画像

街~運命の交差点~サウンドノベルの恩恵

私はゲームが好きだ。
物心ついたころにはファミリーコンピュータが実家にあり、家族、特に兄弟で楽しんでいた。
父親がパズルゲーム系のソフトが得意だったことと、兄弟の影響が大きい。
気が付いたころにはどっぷりハマっていた。
今でいう「沼」に。

スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション、プレイステーション2、wii、プレイステーション3。成長とともに、大体のメジャーな据え置きゲームは入手。
ポータブルゲームだとゲームボーイ、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDS、ニンテンドー3DS、PSvitaなど、ほぼほぼ手に入れてきた。

振り返ると、これまでの人生でゲームに一体いくらのお金と時間をつぎ込んできただろうか。
昔は1ソフト独立型で、スーパーファミコン時代はソフトが1万円以上するものも少なくなかった。
1つのソフトがあればそれで何十時間、何百時間と遊ぶことができた。
ネットなんてなかった時代。一人で黙々と、延々と、その世界に浸り続けることができた。
たいていは感動的なエンディングがちゃんと用意されている。
そのシステムに慣れている人間にとって、「基本無料」のゲームシステムはなかなか受け入れがたい。

さて本題に移るが、私はゲームの中でもサウンドノベルが好きで中学~高校時代によくプレイしていた。
一番最初の記憶は「かまいたちの夜」だ。
確かプレイしたのは小学校高学年の頃。

リア充たちが冬のコテージで楽しく過ごしているところに
「こんや、12じ、だれかがしぬ」
と書かれた紙が置かれる、という衝撃展開のアレだ。

主に兄弟がプレイしているのを見ていたのだが、しばらくはトイレに行ったり、お風呂に入ったり、鏡を見たりするのが怖かった覚えがある。
振り向いたらあの青いシルエットの犯人が後ろにいるのではないか、とゲームのことを思い出すたびに背筋が寒くなるのだ。
兄弟と一緒にふざけて犯人が使ったトリックを真似してみたりもした(笑)

まぁそんな感じで、最初のサウンドノベルは推理サスペンスとはいえホラーのような恐怖をかきたてる内容で、若干のトラウマにもなったのだが。

その後もサウンドノベルが次々と発売されて、中学の頃にはまったのは「やるドラシリーズ」の「ダブルキャスト」だ。

友達の家に遊びに行って、攻略本を見ながら、すべてのエンディングを集めるという作業をひたすらこなしていた。
しかし、やはりこちらもトゥルーエンディング以外は衝撃的な最期を迎えてしまうストーリーが多々あり、再びトラウマになったりもしたのだが(笑)

そして紆余曲折を経て、私の心のゲームといっても過言ではない「街~運命の交差点~」と出会う。
8人の主人公たちが渋谷を舞台にそれぞれの問題と向き合っていく。一人ずつ操作が可能で、誰かが選んだ選択肢によって、他の誰かがバッドエンドになったりして運命をガラっと変えてしまう。
主人公を切り替えてバッドエンドを回避しながらゲームを進めていき、最終的に全員をハッピー?エンドに辿り着かせる、というゲームシステムだ。

ぱっと見地味だし(失礼)、文章を読むのが苦手だったり、「実写キャラはちょっと…」という人は初っ端から受け入れられないだろう。
好みはかなり分かれるのだが、実は、ゲーム雑誌「ファミコン通信」の1コーナー「読者が選ぶTOP20ランキング」で10年以上にもわたってランキング入りしていたという伝説的なゲームなのだ。
実際私も、ゲームの発売から数年後にファミ通の「読者が選ぶTOP20ランキング」のページを見て、「街~運命の交差点~」がランクインしていることに驚いたとともに嬉しかったのを覚えている。あの頃はゲーム人口が多く、機種やソフトの種類や発売頻度も多く、ランキングの入れ替わりも激しかった。
好きな人は超好き!なゲームだ。私もその一人で、何十(百?)時間とかけて全シナリオを制覇した(PS版)。

なぜこの話がタイトルの「サウンドノベルの恩恵」とつながるのかというと、時代を少し遡る。
小学校時代の私は、本(活字)を読むのが苦手だった。
有名な児童向けの作品(それいけズッコケ三人組シリーズやスプーンおばさんシリーズなど)などは、最後まで読み終えた試しがない。
当時の私は専ら漫画を好んでいた。古本屋に入り浸っては何時間と立ち読みに時間を費やした。実家にも何百冊もの漫画が山積みになっていた。
子どものころの夢は古本屋を経営することだった。

子ども時代に本(活字)を読む習慣のなかった私だったが、この「街~運命の交差点~」をはじめとしたサウンドノベルに出会ったことで人生が一変する。
「街~運命の交差点~」は、ノベルの背景は実在する渋谷の風景で、何度か行ったことのあった私にはとても興味深いものだった。渋谷にこんなところがあるんだ、とワクワクしたものだ。
シナリオがシリアスだったり大人向けなものもあり、当時中学生だった自分には理解できないものも多かったが、大人の世界を覗き見しているようでとてもドキドキした。

私の好きなゲームという入り口からサウンドノベルにドはまりしたおかげで、活字を読むことに抵抗がなくなったのだ。
それからは自分で本屋に行って本を買ったり、父親が集めていた小説をかたっぱしから読み漁ったりして、どっぷりと小説にもはまっていった。
今でいう「沼」に。

というわけで、私が活字好きになったきっかけはゲームのおかげと言っても過言ではない。
「街~運命の交差点~」に出会えていなかったら、文章を書く仕事をしていなかったかもしれない。


今回の教訓
・ゲーム好きが高じて苦手だった活字が好きになる人もいる。
・ゲームは人生に大きな影響を与える。
・ゲームはお金と時間を消費する。ほどほどに。

(2020年2月21日公開)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?