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“レギュラー”を目指すあなたへ(主にライターとしての)

こんにちは。編集者の今井ともうします。さっそくですが、少し昔話をさせてください。

12年、熱心に野球をやったけれど

小1で野球をはじめ、高3の硬式野球部引退まで12年間、野球中心の生活を送りました。頭を丸め、毎日朝晩の練習に出て、時には昼休みにも素振りをし、たまの休みは『実況パワフルプロ野球』をやり、あだち充の『H2』や、満田拓也の『MAJOR』をセリフを覚えるまで読み込み——それはそれは、夢中でした。

特に熱心になったのは高校時代です。筋肉のつきやすい身体をしていたぼくの身体は身長の伸びとともにどんどんと大きく・分厚くなり、先輩からも一目置かれるほどの体躯に成長。ひたむきな練習態度で監督の覚えもよく、熱心に指導を受けました。

しかし、この努力は実りません。高校3年間、ぼくはただの一度もベンチ入りすることなく、なんならレギュラー発表のミーティングで緊張することすらなく、短くはない野球人生を終えることとなります。緊張しなかったのは、選ばれる気が一切しなかったからです。

練習量はチーム平均以上でした。素材も悪くなかったと思います。監督との関係も良好でした。それでも選ばれなかった。ただただ、下手くそだったのです。自分でも困惑するぐらい、野球がうまくなりませんでした。

“レギュラー”とぼくの違い

チームの初戦敗退をスタンドで見送ったあと、練習のない夏休みを『実況パワフルプロ野球』のサクセスモード(選手育成モード)に捧げながら、今後の生き方を考えました。「この3年間の経験を糧に、今度は人生のレギュラーを目指せ」名門横浜高校の渡辺監督は、引退する選手にこの言葉を贈ると言います。ぼくだって補欠はもうイヤ。野球部での日々をふり返り、レギュラー陣と自分との違いがどこにあったかを整理しました。

8月を丸々使って考えた結果、決定的な違いがひとつ見つかりました。レギュラー陣はもれなく、県ベスト8以上のチームに友だちがいたのです。一方ぼくをはじめ3年生でベンチを外れたメンバーの友人たちはみな、ベスト16止まりでした。

これが何を意味しているか。ぼくは、強豪校に選手を送り込むような、強いチームにいた経験の有無だと考えました。小学校でも中学校でもクラブチームでも、どのタイミングでもかまいません。優れた指導者に鍛えられたことのある選手は正しい練習方法を知っており、勝ち方を理解していました。また、それを共有する仲間がいました。

実際プロ野球でも、超強豪校である大阪桐蔭出身の選手の活躍ぶりは飛び抜けていますし、12人いるプロ野球監督のうち5人が名将・野村監督の薫陶を受けているなんて事実もあります。

優れた指導者につき、正しいトレーニングの方法を知ること。また、同じ指導を受け、基準を共有する仲間たちと支え合い、刺激し合うこと。特別な才能のない人間が“レギュラー”になるためにはそれが大事。こんな単純なことに気づくのにずいぶんと時間がかかってしまったのが情けないですが、35歳になった今でも、考えは変わっていません。

ライターの「強豪校」ができました

さて、前置きが長くなってしまいましたがここからが本題です。いまぼくは、バトンズ・ライティング・カレッジという、次代を担うライターのための学校をお手伝いしています。

とりあえず食えてはいるけどまだまだ上を目指したいプロライターの方。経験はないけど、ライターという仕事に本気で取り組んでみたい他業種の方。一生ずっと面白がれる仕事を探している学生さん。この学校に行くのはもう少し実績を積んでから……なんて思っているあなた。

どなたにも心から、バトンズ・ライティング・カレッジをおすすめします。

ほんとうに自分を変える気で臨んでくれれば、
まったくあたらしい未来が待っていることも、
お約束します。

バトンズ・ライティング・カレッジ 公式サイトより

古賀さんのこの宣言にぼくも100%同意です。

今回「先生」を担当される古賀史健さんは、『嫌われる勇気』や『ゼロ』をはじめ数多のベストセラーを書き上げた当代屈指のライターです。とはいえこの事実は、古賀さんが良き「先生」であることの保証にはなりません。最高のプレイヤーが最高の指導者になるとは限りませんし、人に何かを教えるとき、才能や実績といったものは邪魔になることすらあります。傑出した力を持つ人は、最初からそれが「出来た」がゆえ、自らの思考や行動を言葉にすることが苦手なことも少なくないからです。

しかし、古賀さんは違います。

途方もない時間をかけた内省の結果、取材や執筆、推敲、企画に至るまで、「自分がなぜそうしたか」を明確に語る言葉を持っています。古賀さんが4月に世に放った渾身の“書く人のための教科書”『取材・執筆・推敲』を読んだ方なら、大きく頷かれることでしょう。未読の方は、ぜひこの動画をご覧になってみてください。古賀さんの煮詰めきった思考の一端を垣間見ることができます。

誰よりも、古賀さん自身が本気

そんな古賀さんがはじめる学校、指導の方法もつき抜けています。毎回出る課題、取材をともなうものが主となりますが、今回この①取材音源②テープ起こし③完成原稿の3つともを毎回丁寧にチェックし、古賀さん自らフィードバックしていくと宣言。30人が受講する予定ですから、30分の取材音源を聴くだけでも、30人×30分=15時間……! 7月からの半年は学校以外の仕事はしないと明言されているのも頷ける内容です。

ちなみに端から見ていて感じる古賀さんのすごさは、自分が出した「現状の正解」に満足せず、「きのうの自分」を疑い続けるところにあります。『取材・執筆・推敲』の中には、この数年間、オフィスや居酒屋で何度も聴かせてもらってきた内容(その明瞭さと面白さに驚いてきた内容)が含まれていましたが、そのすべてが、よりシャープに、わかりやすく記載されているのです。おそらく『取材・執筆・推敲』も、発売から1ヶ月経ったいま、追記・リライトをしたい箇所がわんさかあるはず。

古賀さんの最新の正解に触れられること、また、よりよい答えを導く過程を観察できること、それもまた、バトンズ・ライティング・カレッジの魅力だと思います。

いちばんの価値は仲間ができること

そして、バトンズ・ライティング・カレッジのもう一つの魅力が、29名の志を同じくする仲間と会えることです。厳しい選考を突破し、決して安くはない(内容を考えれば割安だとは思います)お金を払い、多くの時間を投じて課題に取り組む仲間と会えることは、あなたのライター人生にとってかけがえないものとなるでしょう。

受講中はもちろん、卒業後も継続してコミュニケーションがとれるような場所をオンライン上に作る予定をしています。心配ごとで不安になる夜は相談を投げかけ、いい仕事ができた日にはその報告をする。仲間の活躍ぶりに嫉妬してしまうこともあるかもしれませんが、そのぶん、そのとき抱えている原稿の推敲時間も増すんじゃないでしょうか。そんな風に意識し合える、いい関係を築いてもらえたらうれしいです。

大チャンスだと思います

長くなってしまいました。

いろいろ書きましたが、とにかく伝えたいのは、バトンズ・ライティング・カレッジが一線級のライターを目指す人にとって大きなチャンスであること。まずは半年間。もしかしたら以後ずっと。長く付き合える「師匠」を自らの意思で選べる機会は、人生にそうないことだと思います。

誰かひとりでも、この文章を読んでバトンズ・ライティング・カレッジに応募してくれる人がいたら幸甚です。〆切りは5/31(月)。

会場でお待ちしてます!

過去、うちの会社「ツドイ」のプロジェクトにご協力いただいたときの記事も合わせてぜひ。