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珊瑚のペンダント

母が今月還暦を迎えるので、両親と私で誕生日プレゼントを選びに行った。
父のときは有馬温泉に行ったし、旅行かな…と思っていたのだけれど、今は1人(娘)増えたので父のときよりも高額になるし…、ということで、何か赤色の石の入ったアクセサリーにしよう!ということになった。
なぜ赤色なのかは、赤いちゃんちゃんこ、のかわりに、ということで。
ちゃんちゃんこは別にいらないらしい。
父はノリノリで着ていたけれど。
当時は、え?着るつもりがあったの?とびっくりして、あわてて用意した記憶がある。



やってきた場所は百貨店のアクセサリー売場、両親は慣れているのかズンズン歩いていくのだけれど、そんなところ、結婚前の指輪選びのときにしか来たことのない私は、足が竦むかんじがした。
まわりをチラチラ見ながら歩いていると、足が竦むどころか、腰から浮いてどこかにふわ〜っと飛んで逃げ出したくなるようなお値段が書かれた札が目に飛び込んでくる。
還暦だし、父のときもそうだったから、夫とも相談して二桁万円のものを買いにきたのだけれど、一口に二桁万円といっても10万円から99万円まで幅広いわけで。
それどころか、普通に三桁万円のお品物も並べられていたわけで。

色々なものを見繕って選びやすいように、と、父がいつもお世話になっている担当の方に電話をした。予告もなく休日にいきなり呼び出しなさんな。
その方も既に予約が入っていたりするでしょうよ。
……でもその方は合間を縫ってとんできてくれた。
そして、いかにもベテランそうなアクセサリー担当の方を紹介していただいた。
父が「今日は、娘が、嫁の誕生日に…」と言うので、担当の方はお察しになられたようである。

すみませんね、わざわざベテランさんを呼びつけておいて、父ではなく、あんまりお金を落としてくれない娘の方で。
しかも、来年度、退職して稼ぎなくなるしね。

珍しくとっても卑屈な気持ちになってしまった…。
担当の方は、全然態度を変えることはなく、本当に気持ちの良い対応をしてくださったのだけれども。
さすがプロフェッショナル。


さて、赤い石の入ったアクセサリーである。
ただし、アクセサリーといっても、母は指輪やイヤリング、ブレスレットはしないので、どうしてもペンダントかブローチに限られてしまう。
そして、「赤」となると、やはり、ルビー?
と、思っていたら、担当の方が「赤ならルビーか珊瑚か…」と言った。

珊瑚……?
珊瑚って赤いの?
白もしくはピンクなイメージだけれど。

そう思いながら、とりあえずルビーのコーナーに行くと、そこに各月の誕生石を紹介している札が立てられてあった。
どうやら、母の生まれ月である3月の誕生石には珊瑚も含まれるらしい。
わぁ、コレはなんか素敵なご縁!!と思って、さっそく珊瑚のコーナーを案内してもらった。
のだけれど。

さっ、珊瑚お高い!!

ほとんどどれもが予算内に収まらない!!

でも、誕生石だしなぁ。
還暦っていう節目だしなぁ。
せっかく高額のものを買うのなら、遠慮して中途半端にしか気に入っていないものを買うよりも、ちゃんとしっかり気に入ったものを選んでほしいしなぁ。

母は見るからに遠慮して、1番安いものを指さし、「コレかな?」とか言っている。

いいよ、せっかくなんだから一番気に入ったヤツ選んでよ!!
いずれにしてもお高いものを買うんだから、中途半端にしか気に入らなかったものに二桁万円払うなんて、それこそもったいないでしょ!!
なんなら、折半しないかお父さんに交渉するよ!!
(結局、スネかじりか……。)

そんなこんなで、石は珊瑚に決まったものの、デザイン選びが難航。
主にお値段が理由で。

さくらんぼ、りんご、ぶどうのフルーツモチーフのペンダントもあれば、パールのように丸い石のペンダントもある。
もちろん、The 珊瑚!という形のネックレスもあった。

聞くと、珊瑚のアクセサリーは、パールのようにまんまるのもののほうがお高くなるらしい。
珊瑚の元々の形を考えると、きれいな丸をしたもののほうが珍しく価値が高いらしい。
そして、フルーツモチーフの方では、ぶどうが縁起が良いらしい。
実がたくさん成っているので、繁栄の意味が込められていて、海外の人もぶどうの形が好きだとかなんとか……。
パールで有名なミキモトさんでは、ぶどうのペンダントが発売されると、またたく間に売れてしまうらしい。

なるほど。そうか。
足が竦んでいる状況は変わらないのだけれど、興味深いお話しで、大変勉強になった。

あーだこーだ3人で話し合ったうえで、パールのような丸い珊瑚のついたペンダントに決まった。
もちろん、予算、だいぶオーバーである。
明日以降、父と私で話し合いである。

ちなみに、検討しているペンダントのすぐ近くに、パールのネックレスの珊瑚版、みたいなネックレスが展示されていた。
さっき、丸いほどお高くなると聞いたので、このネックレスは相当お高いんだろうな、と思って、参考に聞いてみたら「800万円」と言われた。
こちらも目がまんまるになる。

さらに、すぐそばに、来年やってくる万博のキャラクター「ミャクミャク様」のぬいぐるみが置いてあったので、いっそミャクミャク様モチーフの珊瑚のペンダントがあればおもしろいんじゃないか、とも思ったが、さすがに場違いな感じがして口には出さなかった。
いくら足が竦んでいても、やはり、私の頭は日々ふざけたことが次々浮かんでやかましい。


しかし、あらためて周囲を見まわしてみると、お金はあるところにはあるんだな、と感じざるを得なかった。
やはり、アジア圏の国々からの旅行客や、年配のお客さんが多かったのだけれど、私とさほど歳も変わらず、さらにうちの娘と同じくらいの子供を連れた家族連れもいた。

私は来年3月で仕事を辞めるのだけれど(しつこいな)、そうなると、やはり家計管理はしっかりしないといけない。
一方で、「一番苦手な家事は?」と聞かれれば、食い気味に「家計管理!」と答えてしまえそうな私なのである。
昔から、会計などお金勘定がからむことに、とてもニガテ意識を持っている。
会計担当するぐらいなら、多少しんどくてもリーダーするよ!といった具合に会計を避けて生きてきた。
幸い、就職後も経理関係の仕事に当たらず済んでいる。
もう、とってもお金勘定、いや、そもそも数字がからむものがニガテである。
高校の頃なんて、大嫌いな数学を「数獄(すうごく)」と呼んでいた。
家計に関しては、それでも、どんぶり勘定でも、何とかなっていたのだ。
共働きだったから。
共働きな分、時間を買うつもりで流れ出していたお金(ミールキット、便利家電、乾燥機の電気代、等々)の流れを止めることはできるので(というか止めなさい)、すぐさま赤字になることはないのだろうけれど、やはり一度、腹を括って、家計管理と向き合わなければならないのだろう。
家計管理アプリ入れたり?
お金について書籍で勉強したり…、とか?
noteに書く文章術を学ぶよりも喫緊の課題かもしれない……。しくしく……。


左から、ぶどう、りんご、楕円。
お値段はともかく、
わたしはぶどうモチーフが一番気に入った。
なんだか美味しそうだし。
(↑発想がおかしい。)

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