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切ない誕生日ケーキ

最初の職場は小さな写真屋でした。
今と違い、写真はネガフィルムで撮って写真屋に現像を頼まなければ見ることができない時代。
連休明けなどはまさにフィルムに埋もれるような状態で、プリントしてもプリントしても仕事は終わらず、全社員で夜の11時まで残業なんてこともありました。

 社長はアットホームな職場を目指していたのか、社員の誕生日には大きなケーキを用意してくれました。
朝の会が終わるとみんなでハッピーバースデーを歌ってケーキを頰張ってから仕事スタート!という流れ。

社長の気遣いはありがたいものの、仕事前の朝イチでケーキを出されてもなんとも言えない空気にしかならず。。
ケーキを無言でお腹に流し込むというのは、初めての経験でした😅

そんな中、私の誕生日は5月7日。
一年でもダントツ忙しいゴールデンウイーク明け。
忙しくなるのがわかってるので、少しでも早く朝の会を終えて仕事にかかりたいのが皆のホンネ。

「私の誕生日、今日でごめんなさい😢」と恨めしく思いながらケーキを掻き込んだものです。
今思い出しても、自分の誕生日を「なぜ今日なのか」と「今日でごめんなさい」と思うなんて、なんだか悔しくて切なくてやりきれない思いになります。

今なら、「そんな流れにしている社長が悪い!」と思えるものの、ピカピカの社会人一年生の当時の私はモヤモヤしたものしか残らず。。

そんなこともあり、モヤモヤしたものを抱えながら時間に追われる仕事を続けていたところ
次第に心が蝕まれていきました。


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