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私が風俗嬢になったワケ。


私の風俗デビューは、大学3年生、21歳の冬でした。

始まりは、「借金」による「生活苦」、
毎日その日を生きるのに必死で、泣きながらこの仕事にいきつき…



なんて。

そんなドラマチックな苦労話を書きたいけれど。

私は、実は人に語れる大それた理由なんてない、
いわゆる”今ドキ”スタイルの風俗嬢です。

今回は、お客さんにすら語らない、
自分のカッコ悪い”本音の本音”のデビュー話を
自己紹介がてら、語ってみようと思います。

(ひょっとすると、
 貴方のオキニが語る劇的なストーリーも
 お客さんのためのパフォーマンスかも
 しれません。よ。)

風俗店の門を叩いた、なんとも腑抜けた理由


それは、とてもシンプル。
「お金がたくさん欲しかったから」。

当時、私は大学3年生。

大学入学からその時点までに、

 個人指導塾の講師(時給1200円)

→家電量販店販売員(時給1300円+歩合)

→ガールズバー店員(時給1800円+歩合)

と、順調(?)に”高収入”という軸だけで、
節目ごとにジョブチェンジしてました。
今思うと、人一倍お金に貪欲だったなーと思います。

この時点で、実家からの仕送りがなくとも、十分生活できており
お酒の入った身体で受ける一限目の授業にしんどさを覚えながらも
まあまあ満足した大学生活を送ってました。


が。

事の発端は、ある日突然打ち明けられた
同じ大学に通う親しい友人からの

「ユリちゃん、私、海外留学に行こうと思ってる」

という告白。

いつものらりくらりと一緒に遊んで、
学生生活の大部分を共していた、おとなしめの彼女が、
静かに、違うフィールドに羽ばたく決意をしたらしい。

その様を見て
彼女を羨んだのか、それとも
彼女が違う世界に行ってしまうようで、寂しかったのか。

その日から自分の中にも
モヤモヤ、フツフツと、

「私も、海外留学に行きたい。
 せっかくの大学生活、いろんな経験をしたい」

そう思うようになったのでした。
(もちろん、留学して何を学ぶなんて頭はない。残念。)

友人に影響されて、
「なんだか羨ましいな」
「私もやってみたいな」なんて思うのは、きっと皆よくあること。

それを、実際にやってみてしまうのが、
自分の無鉄砲で危うい(だけど、意外と嫌いじゃない)
ところだったりします。

思い立ったら即行動。よくも、悪くも。


彼女は実家が裕福で、
全面的な親の支援を受けて留学に行く。

じゃあ、私はどうだ?

頼れないなら、自分で稼ぐしかない。(ピーン)

元々、思いたったらいてもたっても居られなくなる性分。
気づいたら、自分で風俗求人サイトを読み漁り、
良さげな求人を探し出し、お店に電話をかけていました。

「試しにやってみて、辛かったらやめればいい」

「誰にもバレなければ、自分は大丈夫」

そんな安直な考えのもと。

偏差値の高い真面目な学校に通う、だけどどこかネジの外れた大学生。
今自分を振り返ると、つくづくそう思います。

秘密の仕事スタート。思いのほか、楽しい。


ドキドキの面接後、店長との濃密な未経験者講習
(今度投稿します)を経て、晴れて即日店舗デビュー。

風俗デビューって、マンガやドラマでは、

泣きながら接客する
帰ってから後悔で吐き気を催す
トラウマでふさぎ込む

なんて、とんでもなく悲惨で可哀想な様子が描かれるけれど。

私は最初のお客さんから、しっかり接客を楽しんでいました。

なぜって、新しいお客さんと会うたびに貰える
その反応が嬉しかったから。

「かわいい子が来て嬉しい」

「なんだか普通だね。そこがいいね」

「今日は本当に楽しかった。また呼ぶね」

なんて。

今思えば、”未経験”と”夜らしくない”ということに対する些細なお客さんのリップサービスなのだけれど。

その時の私は、
「大学では目立つほどの存在ではない自分を、
 大人たちが、”アタリだ”と、とびきり褒めてくれる。
 私って、この世界に向いてるのかも」

なんて、勘違いが大爆発しちゃったのでした。

そこからは、もうあれよあれよ。

暇さえあればお店に出勤し、
帰る頃には月の家賃以上の金額を握りしめ。

その日あった非日常な時間を振り返りながら
何食わぬ顔して、普通電車で6畳間のアパートへ帰る。

そんな日々を過ごすことになったのでした。

晴れて目標達成。その後・・・


もともとは海外留学を目指して始めたこの仕事。

いつの間にか、目的が置いてけぼりになるように、
とにかく、お客さんに満足してもらうこと、
その結果、指名ランキングに名が挙がる事が楽しくて
せっせと接客する毎日。

やっと目標金額が貯まった、というより、
「あれ?もうこんなに貯まってる」という感覚。
結果、5か月程度の勤務で貯めたお金で、
いとも簡単に半年と少しの語学留学を実現することができました。


目標達成、晴れて業界卒業!
私の風俗嬢時代、おしまいおしまい。


・・・となるわけもなく。

自由に楽しく出勤できる上、
社会人よりはるかに稼げる。
通ってくれるお客さんも優しく、
痛い目や苦しい目にも遭ったことがない。

そんな世界に、私が出戻るのに時間はかからず。


結局、学校の友人には
「派遣の単発バイトの掛け持ち」と嘘をつきながら
卒業するまで、お店のNo.1をキープしてました。

4年生になるころには単位もほぼ取り終えていたお陰で、
旅行もお買い物も貯金も、自由にできた最後の一年。

時間もお金も余裕があるって、
今思えば天国、そして少し異常な期間だったと思います。

結果、大学卒業後、無事に手堅い会社員になっても、
風俗嬢という仕事は捨てきれず。

今も、”社会に向けた、表の顔”を保つための昼の仕事と
”本当にやりがいがある、夜の仕事”の両立をしています。

こんな話って、世間で言えば、
「夜の世界に堕ちていく」
典型的な、後ろ暗いストーリーなのかもしれないけれど。

私にとっては、

生きづらい人生をうまく生きるための
”ボーナスステージ”を見つけた」

という、なんとも楽観的で、間抜けたお話なのです。

もちろんこれにより、
以降の人生すべてがハッピーなワケではなく、
この世界に片足を突っ込んだ弊害も、
少なからず、というかかなり、あるわけで。

まぁひとまず、
そんなことを語るのは、また次の機会に。


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