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あくまでフィクションです。 実際のできごとではありません。 やや過激な表現があるかもしれませんので、ちょっと見たくない方はご遠慮ください。
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記事一覧

【短編】デジャヴ

夢を見た。 ドイツにありそうなビアバー。 木のまな板のようなものの上に、生ハム、サラミが載…

蘭
2か月前

【短編】望んでいた結末

腰がだるくて、起き上がれない。 ほんの数日前のこと。 降り積もった深い雪が溶けるような、…

蘭
3か月前
2

【短編】人を見る目

新しい仕事が決まって、お世話になった上司に退職の挨拶に行くと、最後に食事に行こうというこ…

蘭
4か月前

【短編】抗えない宿命

暑い夏の日 お昼前の太陽は、これでもかと地面を照らしている。 アパートの駐車場で、白と黒…

蘭
4か月前
1

【短編】誰かに証明してほしいこと

いい人は、幸せになれますか? まじめに、馬鹿正直に生きたら、幸せになれますか?人に親切にし…

蘭
4か月前

【短編】ただの友だち

彼とはもう長い付き合いなんだけどさ。 お互いの人生のいろんな岐路を分かち合ってきたんだけ…

蘭
8か月前
1

【短編】恋愛ごっこ

「ねえ、聞いてもいい?」 ホテルのエレベーターホールへ向かう途中、彼が言った。 「ん?」 「やっぱやめとく」 そう言うと、エレベーターの下行きのボタンを押した。 「何?明日、死んじゃうかもしれないよ」 「僕のこと、好き?」 ほんの少しだけ、返事を躊躇う。 いい大人だ。 しかも、彼には奥さんがいる。 エレベーターのドアが開くと同時に、私は少し頷いた。 「じゃ、僕と同じだね」 彼は微笑んだ。 何かほっとしたような気持ちになる。 全部ウソなのに。

【短編】いつだってそう。ほれたほうの負け。

あなたは、自分のことばっかりで。 私のことなんて、ちっとも考えてはくれてない。 いつだって…

蘭
10か月前

【短編】親ガチャ

「親ガチャ」 そんなこと、この国の歴史が始まった時から、存在してた。 否、この世界が始まっ…

蘭
10か月前
4

【短編】成長

他の子どもたちよりも、ずっと早く文字が読めるようになりました。 それは、左利きの矯正のた…

蘭
10か月前

【短編】絶対に言ってはいけない公然の秘密

知らないと思うから、教えてあげるね。 1つ目。 ルッキズム。 きれいな女性やハンサムな男性が…

蘭
10か月前
1

【短編】友だちとかいう厄介な生き物

「友だち」なんかじゃない。 少なくとも私はそう思っている。 ただ、同じ職場で働いていたこと…

蘭
10か月前
2

【短編】幸せな人生とは

白熱灯の間接照明の下で、ふわりとしたブラウスにひらひらと揺れるスカートをはいたスタイルの…

蘭
11か月前
4

【短編】ぼんやりとした憂鬱。

職場の隅に置かれたデスクに肘をついて、時計の針が定時の5時半を指すのを待ちながら、ずっと窓の外を眺めている。 永遠に変わることのないと宣言していた深い青い空は、いとも簡単にその意志を失い、徐々に色褪せて、ゆっくりと赤みを帯びてきた。 毎日、職場に来てはいるものの、特にする仕事もない。 こんな日がもう1年以上続いている。 4月に入ってきた新入社員は、短時間で美しいプレゼン資料を仕上げ、難しい計算式の入ったファイルを難なく作り上げ、どんどん新しい仕事を覚えていく。 あと2年で定年