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一人と一匹

獣の槍――。
この封印が解かれた瞬間に、あの最終話が構想されていたのだろうか。

週刊サンデーに連載されていた当時から、欠かさず読んでいた。からくりサーカスも秀逸な作品だが、我が書斎の一軍は『うしおととら』である。

意志を持つ槍が持ち主の精神すら凌駕していく。
図らずもその槍に閉じ込められていたとらは、欠かせないパートナーとして心を支えていく。

うしお少年にのしかかるのは、子どもが抱えるようなものではない。
何度も弱い部分に占領されそうな心を、一人と一匹で乗り越えていく。
その姿に惹かれ、本当の仲間が募っていく。

白面の者は鬼舞辻無惨ほどの絶望感を味わわせた。
少年マンガとは思えないほどの絶望と希望だった。

読んだ人はみんなうしおを応援するよね。そして、とらが側にいるうしおをうらやましくも思ってしまう。

全33巻、一気に読んでしまえる。

いやー、名作だなあ。


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