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着物文化はひとつの言語:はじめに【全文無料】

日本でもイギリスでも他国でも、着物を着ているとさまざまな褒め言葉をいただきます。「素敵です」「美しい!」「粋だね」「やっぱり着物っていいですね」などなど。お褒めいただくのはやっぱり嬉しいもの。とくに外国では、日本の伝統文化を好意的に受け止めてもらえることに感謝の気持ちがわきます💓

で、何をどのように褒めていただいてもめちゃくちゃ嬉しいわけですが、日本人・外国人を問わずとくによく言っていただけるのが「エレガント」「色がステキ」ということです。着物=形と色が美しいという印象を持つ方が多いのでしょう。パッと見てわかる部分でもありますよね。

着物文化はひとつの言語のようなもの

ただ、着物にはほかにもさまざまな魅力があります。そしてあまり知られていないことですが、着物をよく着る人にとっては着物のコーディネートはまるでポエムのよう、と言ったらよいのか、慣れている人であればあるほど「色や形」だけで着物を選ぶことは稀であり、シンボリズムやウィットを駆使して何らかのメッセージ性を持たせているものです。

そう、着物文化はそれに精通している人たちだけがわかる、ひとつの言語のようなものと言えるでしょう。

だから、着物好き同士であれば、着物の着こなしに込めたメッセージは驚くほどクリアに伝わります。もちろん中にはその人にしかわからないこだわりや地方ごとの文化(いわば方言)も存在するのですが、基本的に「ああ、この人はこういうことを伝えたいのだな」「これをテーマとしたコーディネートなのだな」ということは、ほぼ間違いなく理解されます。

同時に、着物の選び方や着こなしによってその人の価値観や感性も浮き彫りにされます。だから、たとえ着物を着ている人が黙っていても、見る人が見ればその方の人柄や場合によっては氏素性がわかってしまう。それは、どのような言葉遣いをするかによって、その人の育ち方や感性がむき出しになるのと同じことです。

着物文化とは伝統的にもそのようなものでありました。平安時代に書かれた『源氏物語』でも、着物を通じた人物描写が頻繁に登場します。現代でもたとえばお着物好きの宮部みゆきさんの時代小説などでも同じです。小説の中だけではない、リアルな着物好きのわたしたちも、着物を通じての表現を非常に深いレベルで楽しんでいます😉

このシリーズを書こうと思った理由

現代では着物を日常的に着る人が減っているからこそ、2歳から着物をよく着せられていた者としては、こういうことも書いておいた方がよいのかなと考えるようになりました。着物を愛している人が、ただ綺麗だからとか可愛いからとか(いや、綺麗で可愛いけどね!笑)という理由で着ているわけではないことを。そこに込められた気持ちや願いを。

また、今では外国人の着物好きさんも増えてきましたが、このシリーズで書いていくようなことは考えない方がほとんどなのに気付きました。日本人でも単純に色やスタイルで着物コーデを選ぶ方がどんどん増えています。その流れを否定する気はないし、わたしも単に「お洒落~✨」という視点で着物を見ることもあります。着物はファッションでもありますからね。

それでも、むしろわたしは単に「綺麗」だけだったら着物文化にそこまでハマることはなかったタイプだから、これを読んで「へー、着物って面白いじゃん」「そういう面には興味が持てそう」と思ってくださる方も案外多いかもと思っています。文化、アート、デザイン、シンボリズムあたりがお好きな方は着物にどっぷりハマる素養をお持ちだと思います🤭

なお、このnoteでは日本語で書きますが、昨年始めたMediumでも英語で同じテーマで発信したいと思っています。このシリーズを通じ、言語や国籍を超え、着物文化にご興味を持ってくださる方が増えることを願ってやみません。

着付け師のリエさんにご登場いただきます!

なお、わたしの着物姿ばっかりだと飽きると思うので(わたし自身も・笑)、今回は力強い助っ人として、着物友達のリエさんの写真を使わせていただきます。もちろんご本人に許可をいただいています💓

リエさんは着物好き憧れの奄美大島のご出身で、なんとお母様は大島紬の織り子さん。美容師さん兼着物の着付け師さんであり、ベリーダンサーとしてもさまざまな舞台でご活躍。プロとして着物に詳しいだけではなくプライベートでも着物をこよなく愛し、正統派の美しい着こなしはもちろん、さまざまなモダンな着方にもチャレンジされています。

ビールが似合いすぎる着物美女としても有名であることを申し添えておきます。ふふ。そんなリエさんの素敵なお着物姿もぜひぜひお楽しみに~~~✨

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