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#15 歯内療法専門医について 〜歯医者の歩き方〜

  • 神経を抜く(抜髄)

  • 神経を抜いた後に感染した部分の治療(根管治療)

  • 神経が露出したのを塞ぐ(断髄、覆髄)

といった神経の治療=「歯内療法(しないりょうほう)」を専門とする
「歯内療法専門医」という歯科医師がいます。

歯内療法

ここで専門医という言葉をうっかり出してしまいました。
専門医と聞くとすごく有難い感じ、間違いない感じがしますよね。
日本で診療している「歯内療法専門医」のドクターは、
日本歯内療法学会で資格認定を受けた「歯内療法専門医」
アメリカで教育を受けた認定された「歯内療法専門医」
ざっくりとこの2パターンがあります。

日本の歯内療法専門医は日本歯内療法学会の決める規定(診療所等に勤務しながら研修を受ける、学会に何年在籍、学会に参加、症例報告を何例など)を満たす歯科医師が申請を出し、審査してもらって合格すれば専門医の称号を得るという感じです。
結構な手間はかかるのでやる気がないとなれませんが、何か共通のトレーニングを受けるわけではなく、勤務して診療をしながら勉強をします。

アメリカでは歯内療法専門医になるには、大学にある歯内療法専門医コースに所属し、決められたカリキュラム(講義受講、大量の論文を読む、臨床研修など)を修了しなければなりません。お聞きする限り、英語であるという苦労を差し引いてもかなり過酷な内容です。

どちらが良いということではありません。
歯内療法専門医となるためのプロセスに違いがあるという話です。


アメリカでは臼歯の抜髄や根管治療を一般開業医がやることはなく歯内療法専門医へ紹介するそうです。もし一般開業医が手を出してしまうと訴訟で確実に負けるとのこと。
特別な技量が必要な難しい治療であるという認識なのですね。
それを保険で受けられる日本はラッキーと考えるか、クオリティには保証がないと考えるか。

日本でも歯内療法専門医による治療は自由診療(保険が効かない)であることが多いです。抜髄や根管治療だけで1歯10~20万円ほどかかります。被せ物(クラウン)は別途かかります。
高いですよね。アメリカ価格です。
歯を抜いてインプラントにするならば相場は1歯40万円。
根管治療で抜歯を避けられるならば、外科処置もなく40万円もかからない、それだけの価値がある!という説明を聞いたことがあります。


日本で歯内療法専門医の治療を受けることになるのは、感染根管治療(一度神経を抜く治療をした歯が悪化した時の治療)で難症例の場合が多いでしょう。歯内療法専門医の治療であればその歯を救えるかも、と一般開業医から歯内療法専門医を紹介されるというパターンです。

しかし、個人的なおすすめは、
抜髄(初めて神経を抜く)や覆髄(神経が露出したのを塞ぐ)の時にこそ、歯内療法専門医にかかることです。
初めに上手にやってもらった方が感染根管になるリスクが非常に低いですし、感染根管になってからかかるよりも歯の持ちが全然良いですから。

不可逆性歯髄炎(自発痛や強い痛みがあり、もう炎症はおさまらないという状態)あるいは歯髄壊死で抜髄しなければならない状況であるということが大前提です。

何度も言いますが、簡単に神経抜かれちゃわないように。それが一番。

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