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リスク管理表の作り方

お疲れ様です、ゆーろー@常駐しないPMOです。

わたしがプロコンサルとして参加しているiPM naviのコラムをご紹介します。


writing by プロコンサル MIRIO
*このコラムはiPM naviでも配信しています

プロジェクトは計画段階で、ある程度のリスクを見つけ出してください。

そして、不測の事態になる前に対策を講じる!
これがプロジェクトマネジメントの鉄則です。

しかし、多くのPMはリスク管理が出来ていません。
そのため、場当たり的に対処することで、スケジュール・コスト・品質...etcに悪影響を与え、プロジェクトを炎上させています。

このようにならないように、まずはリスク管理表を作れるノウハウを身に付けてください。


こんにちは、プロコンサルのMIRIOです。

私が参加しているiPMでは、PM初心者のスキルアップやDX時代に適応したいPMのリスキリングのサポートとして、iPM TRAININGを運営しています。

このコースの一つとして、『プロジェクト計画書の作り方』を講座として提供しています。

その中でも、リスクマネジメント計画を考える上で、リスク管理表の作成は重要です。

今回のコラムは大手コンサルファームでも使っている、最強のリスク管理表の一つ一つの項目の意味合いと、作成手順を解説します

リスク管理表とは

ここに、リスク管理表のフォーマットがあります。

リスク管理表は、プロジェクトのリスク事象(どんなリスクが起こりそうかの内容)を取りまとめて、関係者との共有、リスクの経過観察、リスクの再査定や監査、また、プロジェクト進行に発生したリスクについては変更要求に利用していきます。

一般的なフォーマットと違うのは、『リスク発生率』、『リスク影響度』、『リスク点数』、『リスク優先度』が、このフォーマットに付与されていることです。

この4つの項目が定義されているのといないのでは、リスクマネジメントに大きなクオリティーの差が出てくるものです。

今回のコラムでは、これらを含めたリスク管理表の項目の定義の理解と作り方が覚えられます。

リスク管理表を作っていこう!

項目1:リスク発生区分

リスク発生区分は、どのマネジメントエリアで発生するのかを識別します。

このコラムでは、iPM TRAININGで提唱している品質・コスト・スケジュール・スコープ・コミニケーション・組織を対象とします。

項目2:リスク事象

リスク事象は、計画段階で想定したリスク内容・プロジェクトを進行していく中で見つけ出したリスク内容を記載してきます。

リスクの定義を誤解しているPMも多いものです。

ここでリスクの定義を整理します。

リスクは、既に起こった事象ではなく今後起こる不確実な事象を指します。

そのため問題とは、別物と考えてください。

例えば、結合テスト工程で大量なバグが発生して、テストが予定通り完了することができないかもしれない。

このような不確実なことです(だからリスク事象として扱う)。 また、初めてリスク管理表を作る人が、悩むのはリスク事象を見つけることです。

リスク事象を正確に捉え対策を講じることで、プロジェクトが成功する確率は高くなっていきます。

それでは、どうやってリスク事象を見つけ出すのでしょうか?

リスク事象は、計画段階とプロジェクト実行中に見つけ出します。

計画段階では、過去の類似プロジェクトで発生した問題を探し出し、リスク事象の候補として取り扱ってください。

もう一つは、あなたが担当するプロジェクトにおいて、あなたを含めたステークホルダーが不安に思っていることを洗い出しましょう。

不安なことが、リスク事象の候補になることも多いものです。

最後は、プロジェクト実施中に計画と実績に乖離があれば、リスク事象が発生していると考えてください。

この時のリスク事象は、インパクトの大きさに関係なく、後続の作業薬影響与える場合があります。

リスク事象を放置しないで、問題に発展する前に、リスクを取り除かなければなりません。

項目3:リスクトリガー

リスクトリガーは、リスク事象が目の前に現れるきっかけになるプロジェクトの状況です。

リスクトリガーを見つけるには、2つの方法を使ってください。

(1)過去の類似プロジェクトの問題を計画段階でリスク事象として取り上げた場合は、この問題に対する原因がリスクトリガーにあたります。

(2)プロジェクト実行中に見つけたリスク事象は、そのリスクを発生させるための悪い条件がリスクトリガーにあたります。

項目4:影響する開発工程

影響する開発工程は、リスクが発生した場合に対処せず、問題になったしまった時に悪影響を受ける開発工程となります。

所謂、炎上プロジェクトのスタート工程と言うことです。

項目5:影響するステークホルダー

影響するステークホルダーは、リスク事象が発生した場合に、何かしらの影響を受けるステークホルダーを見つけ出します。

これは事前に、ステークホルダーが分かれば、リスク事象を発生させないための実施作業の調整ができます。

項目6:リスク対策

リスク対策は、リスク事象を発生させないために、実行可能で現実的な予防策を検討します。

あくまでも、プロジェクト目標として設定した品質目標・コスト目標・スケジュール目標、これらを達成できれば良いので目標以上に成果が出る予防策はいません。

そして、その予防策が影響する開発工程までに実施しなくてはなりません。

また、リスクが発生してからの対処方法を考えリスク管理表に記述するプロジェクトもありますが、小規模プロジェクトの場合は、リスクを発生させないためにどうするかに主眼を置きましょう!

そして、リスク事象は、定量的に捉えることでリスクの優先度の設定が容易になり、無駄なリスクへ対応する工数が削減できます。

そのためリスク事象に対して、『リスク発生率(項目7)』・『リスク優先度(項目8)』・『リスク点数(項目9)』を分析して、『リスク優先度(項目10)』を決めていきます。

項目7:リスク発生率

リスク発生率は、予測されるリスクが発生する確率を意味し、発生確率のレベルを5段階に設定します。

【レベル】
確実に発生する(5)

発生する確率が高い(4)

わからない(3)

稀に発生する(2)

非常に稀に発生する(1)


また、作業実行に、その作業に対してリスク事象が想定された場合は、リスクの発生が高いと考えてください。

その時、その作業の所要期間を序盤・中盤・終盤の三分割にして、今どのタイミングであるかを見極めて、点数をつけていきます。


【タイミングから見る点数】
序盤(3)

中盤(4)

終盤(5)

項目8:リスク影響度

リスク影響度は、リスクが発生した場合の脅威の大きさに対して、品質コスト・スケジュール・スコープが、どのような影響があるのかを定義します。

【脅威の大きさ】
非常に大きい(5)

大きい(4)

普通(3)

小さい(2)

非常に小さい(1)

プロジェクトへのリスクインパクトを精査して、脅威の大きさ(数値)を管理表に記述してください。

項目:9リスク点数

リスク点数は、『リスク発生率の点数 × リスク影響度の点数』となります。

項目10:リスク優先度

リスク点数が高いほど、リスク事象へ対応する優先度が高くなります。

優先度を設定するために、リスク優先尺度を使っていきます。

リスク優先尺度はA・B・Cの三段階に定義されます。

【リスク優先尺度A】
リスク点数がレッドゾーンに含まれていれば、緊急度が高いので即刻(=本日中)にはリスク対策を講じなければならない。

【リスク優先尺度B】
リスク点数がブルーゾーンに含まれていれば、緊急度が普通なので数日から1週間以内にリスク対策を講じれば良い。

【リスク優先尺度C】
リスク点数がイエローゾーンに含まれていれば、緊急度が低いので次タスク・次工程までにリスク対策を講じれば良い。

リスク事象に応じて優先尺度(A・B・C)をリスク優先度に記述します。

これで、リスク管理表が完成しました❗️


今回は、『リスク管理表の作り方』を取り上げました。

プロジェクトは計画段階で、ある程度のリスクを見つけ出し不測の事態になる前に対策を講じることで、プロジェクトの成功が約束されると言っても過言ではありません。

しかし、リスク管理ができていないプロジェクトが多いのが現実です。

リスクは、思い浮かぶが『リスク優先度』をどのように考えて付ければ良いのか戸惑うことが多いものです。 全てのリスクの優先度を『高』とすることもできますが、リスクは事前に潰さなくてはならず、お金が幾らあっても足りません。

特に、短期間で予算に制約があるようなプロジェクトであれば、尚更リスク優先度の付け方に注意が必要でしょう。

コラムの中で『発生確率のレベル』、『脅威の大きさ』、『リスク点数』の尺度を正しく理解しておけば、怖いものはありません。

是非、皆さんもリスク管理表を上手に使ってプロジェクトを成功させてください。


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