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クセの強い映画『ロッキーホラーショー』

「クセが強い」という言葉がある。人の性格について使われることが多いが、クセの強い食べものなどという使い方をされることもある。

音楽にもクセの強い音楽とそうでもないものがあり、映画にもクセの強い映画とそうでもない映画がある。

だいたいクセの強い食べ物というのは、はじめてたべるときはあまりおいしくないのだが、ハマると抜けられない。一見さんを拒絶するようなところがあり、、ハマるとリピート率が高くなる。

元祖カルト映画とは

さて、今日は映画の話です。
特に書きたいことがない日は映画の話をします。

さて、映画にもクセの強い映画と、そうでもない「プレーンな」映画というものがあって、クセのあるなしは、作品の出来不出来とはあまり関係がないが、リピート率には関係する。ちなみに映画においてリピート率が高いとは、

同じ作品をくりかえし見る

ということだ。よく「カルト映画」などと言われるジャンルがあるが、カルトとはもともと「狂信的な宗教」という意味で、狂信的な宗教のように人をズブズブにハメる沼みたいな映画が「カルト映画」と呼ばれる。

クセが強くて何度も見たくなるタイプの作品のこと。

さてカルト映画の元祖とされているのは、1975年の『ロッキー・ホラー・ショー』だとされている。この作品の熱狂的ファンは多いらしく何度も何度も上映が繰り返されている。

ぼくはこの『ロッキー・ホラー・ショー』に

とても苦い思い出

があるのだ。今日は007の話をするつもりだったのに、つい『ロッキー・ホラー・ショー』のことを思い出してしまって、その話になってしまいそうだ。書かずにいられない。みなさん『ロッキー・ホラー・ショー』の話でよろしいでしょうか。

よろしいですか?よろしくないですか?
答えてください

・・などと言ってもnoteの画面に向かって

答えるバカがいるかよ!

と思うでしょう?ぼくもそう思う。しかし、『ロッキー・ホラー・ショー』というのはそういう作品なのである。つまり、観客参加型作品なのだ。

内容があまりにくだらなくて、かつ居心地が悪かったのでほとんどで筋を覚えていないのだが、この作品には

見方のルール

みたいなものがあり、観客はみなハロウィンみたいなコスプレをしていく。そして傘を持参するのだ。そして画面の中で雨がザーザー降ってきたら、観客もみんな一斉に傘をさすのである。

信じられないでしょう?まあ、アメリカならそういうノリがあるのもわかるが、ここは日本ですよ日本。若き日の僕は深夜の映画館の闇の中で、そのホラーショーと呼ばれるホラー映画をひっそりと鑑賞しようと思って出かけたのだが、僕以外の

観客全員がコスプレしており、傘を持って入場していた

のである。そして画面の中で雨が降ってくると一斉にさすのだ。まるでヤクルトスワローズの応援席である。ヤクルトファンは応援席で一斉に傘をさすのだが、その中にぜんぜんファンじゃない人が混じっていると

とてもきまずい

でしょう?独りでムスッとしていないといけない。

『ロッキー・ホラー・ショー』は狭い映画館の中でそういう目に合わされるのである。なぜ他の観客全員が示し合わせたようにかさをもっているのかわからないが、この映画はむかしからそういう見方をすることになっているそうなのだ。

画面の中でクルマがバウンスすると、観客も一斉ののけぞるのである(僕以外)。そんなこと知るかよ。

そういうことが楽しくてみな来ているのであり、映画を見に来ているのではなくて、一種のイベントだ。あのときの観客はたぶん全員、近所の芸術大学の学生だったのではないかと思う。しめし合わせてきたのだろう。

そんなコスプレ連中の中に、文学部で哲学書など読みつつジャズを聴いて首を振り振りしている僕みたいなやつが混じるとひとたまりもない。

今調べていて分かったんだけど、なんでああいうノリが日本で流行ったのかというと、おそらく『フェーム』(1980)という映画の中でそういう風にして『ロッキー・ホラー・ショー』を見るシーンがあるからだ。

あれのマネをしていたのだろうが、ぼくは『フェーム』など見ていなかったので、ノリについていくことができなかった。これを見てください。2:12のところで観客全員がのけぞっている。

ぼくが入った映画館もこんな感じで、みながうちわノリであり、ぼくひとり「えっ?ホラー映画じゃないの(汗)」という感じで

キョドキョド

していたのである。じつに苦い思い出だ。なんで今日の今日まで思い出さなかったのかわからないが、記憶を封印していたのだろう。これからは定期的に思い出し、『ロッキー・ホラー・ショー』のネガティブキャンペーンを行いたい。

2:40のところでみんなが傘をさすか、新聞紙を頭にかぶっている。ぼくが入った映画館もこの状態だった。その中で独り傘も持たずに

キョドキョド

していたのだ。映画に罪はないが、せめて一言

そういう作品です

と入口に書いておいてくれ。ハロウィンみたいにコスプレして、傘をさしてみる映画です。と書いておいてくれ。あるいは

『フェーム』を見た人以外入場禁止

とか書いておいてほしい。

あなたにはこういう経験がありますかね?ぼくは、場違いなところに迷い込んでキョドキョドすることが5年に1回くらいあるのだが、みんな「あるある」なんだろうか。

今日はクセの強い映画『007慰めの報酬』の話をする予定だったのだが、『ロッキー・ホラー・ショー』の悪口になってしまった。今後、いろんな場所で定期的にこの作品のネガティブキャンペーンをやっていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。これが『ロッキーホラーショー』です

ぜんぜんホラーじゃない。

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