トヨタ、一律定昇見直し、21年から導入へ、成果主義を拡大。


【製造の代表格トヨタが成果主義へ移行】
 トヨタ自動車は定期昇給について、一律分をなくし評価に応じて昇給幅を決める方向で労働組合と最終調整に入った。9月30日に予定している定期大会で、労組が受け入れるか正式に決定する。同意が得られればトヨタは2021年から新制度を導入する。日本の製造業の代表格であるトヨタが成果主義へのシフトを加速し、同様の動きが広がりそうだ。
 トヨタ社員の基本給は大きく分けて、職位に基づき一律の「職能基準給」と、個人の評価に基づく「職能個人給」で構成される。新制度では考課による反映額を拡大するため、一律的な昇給分をなくし、評価に基づく「職能給」に一本化する。
 
【年功序列はなし!成果で決まる】
 人事評価は4~6段階とし、低い評価を受けると定期昇給が0になる可能性もある。従来は年齢や勤続年数によって資格が上がる傾向が強く、今回、一律的な昇給を廃止することで社員のやる気を喚起する狙いがある。
 会社側は制度設計や昇給水準の詳細を検討するため、今年の春季労使交渉以降、労使専門委員会を複数回開いて労組側と議論。労組も組合員に説明し、理解を得てきた。
 新型コロナウイルスの影響で、足元では業績悪化が懸念される。変革期の自動車業界で競争力強化が課題になっている。
 トヨタは生産性向上へ、賃金制度転換に着手。18年春交渉で会社側がベースアップ(ベア)回答額を非開示にしたほか、20年春には「高い水準にある賃金を上げ続けると競争力を失う」としてベアをゼロで回答した。

 トヨタなど日本の製造業は、終身雇用や年功序列といった日本型雇用の象徴とされてきた。成果主義の流れは2000年代以降強まってきたとされるが、トヨタ関係者は「日本の大手製造業が定昇を完全に評価型にするのは珍しい」と話す。
 硬直的な雇用慣行は、企業の国際競争力を奪う要因になり始めている。NECや富士通は、定期昇給に個人の前年度の評価を反映させる仕組みをすでに採用している。

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