新型コロナウイルス、冷凍でも感染力維持、食品から検出、報告相次ぐ。

【コロナは冷凍されても感染するリスクがある】
 中国で冷凍食品から新型コロナウイルスを検出したという報告が相次ぎ、その感染リスクが改めて注目されている。ウイルスは低温に強く、解凍後も感染力が残るという。ただ感染例はまだなく、専門家は手洗いや消毒など一般的な対策の徹底を呼びかけている。
 中国では、ブラジル産の鶏肉やエクアドル産の冷凍エビといった輸入冷凍食品の包装などから、新型コロナウイルスが検出された。ニュージーランドでも、輸入した冷凍貨物でウイルスが運ばれた可能性を疑う例があったという。
 一般に細菌やウイルスは冷凍や冷蔵に強い。新型コロナでも確認した報告がある。香港大学の研究チームは「4度の冷蔵環境で14日間おいても、ほとんど感染力は変化しなかった」とする論文を発表している。
 新型コロナに似たSARSウイルスや風邪の原因となるコロナウイルスなどの研究では、年単位で冷凍し、解凍後に感染力があることを確かめた。新型コロナも他のコロナウイルスと同じような特性と専門家はみる。

【実際の感染したという確実な報告はない?】
 ただ、これまでに新型コロナで食品や貨物などを通じて感染拡大したという確実な報告はない。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は「冷凍や冷蔵の食品を通じて感染が広がる可能性はゼロではないが、飛沫や接触など主要な感染経路に比べると低い」と指摘する。
 世界保健機関(WHO)も13日、食品から感染する証拠はないという見解を示し「食べ物や食品の包装を恐れる必要はない」としている。
 新型コロナは熱には弱い。香港大の論文によると、セ氏22度ではウイルス量は減少傾向で、同37度では2日間で検出できなくなった。同70度では5分でほぼいなくなる。食品にウイルスが付いていても、加熱すれば安全だ。
 流通業者などがする対策は一般的なものと変わらない。ウイルスが付いた貨物や冷凍食品を手にしても、手洗いやアルコール消毒などを徹底すれば感染リスクは低い。


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