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【不妊治療記録vol.16】最後のタイミング法

27歳で結婚後、海外赴任、結婚式などイベントが一通り終わった31歳から妊活を始めた私と夫(35)。生理は超順調、生理痛も一切なし、婦人科検診も毎年クリア。私が不妊なわけがない!と思っていたけど実は”妊娠しない側”だった私たちの不妊治療記録。


ついに最後の6期目スタート

 夫婦共々手術を行い、医者からは「半年タイミング法試してみて」と言われて安心した時からまもなくその半年が経とうとしていた。相変わらず5ヶ月目も妊娠せず、生理予定日からズレると「妊娠したかも」、おりものに少し血が混ざると「着床出血かも」と期待してはそのまま生理になり、その度に心がギュッと締め付けられていた。
 仕事をしていないから時間だけはある。とにかく「着床出血」や「妊娠超初期」など調べては自分があたかもそちら側にいるように思い込んでいた。冷静に考えれば自然妊娠する多数派から外れた私たちに、少数派の着床出血は起きないのである。でもタイミング法を半年続ければ妊娠できると信じて疑わなかった私は、「着床出血する体質なんだ」「5日生理が遅れてるから絶対妊娠だ」など期待していた。
 しかし手術をしたからといって妊娠はせず、タイミング法6期目を迎える。

体外受精について調べる

 もしかしたら最後のチャンスで妊娠するかもと期待しつつも、もし妊娠しなかったら体外受精に進もうと考えていた。しかし体外受精といえば大量の薬、自己注射と痛みにめっぽう弱い私には到底乗り越えられないイメージだった。タイミング法も手術も色々したのに、結局体外受精だなんて、この半年はなんだったのかと悲しくなる。年齢は32歳になっていた。
 体外受精をするとなれば、シンガポールでやるのと日本でやるのどちらがいいんだろう?日本を行き来するのは大変だけど、シンガポールだと保険治療じゃないから高い。まずはシンガポールで人工授精を試してみるかと思って情報収集していたが、1回100万円ほどかかると言われて往復の航空券を合わせても日本と比べ物にならないくらいの高額に流石に断念した。人工授精ですら100万円なのにシンガポールで体外受精は調べるまでもないと思った。(シンガポールの体外受精が1回100万円程度なら迷わず検討したが…)

日本での体外受精

 日本で体外受精するなら実家から通える病院を探さなくてはならない。地方都市にある我が家は、幸い不妊治療専門クリニックの選択肢が色々あった。もし今回妊娠しなかったら年末には日本に帰って治療しようと考え始めていた。口コミや病院のHPを検索して、オンライン相談があったため念の為申し込んでおいた。もし妊娠しなかったらいつ帰国してどう治療するのか先生に聞いてみようと思った。頭の中は不妊治療でいっぱいであった。
 日本ならここ、という病院の目星がついたが心のどこかでは「まあ今回妊娠するかも」と期待していた。


最後のタイミング法

 こうしてまた今まで通りアプリと排卵検査薬と睨めっこする日々。しかし駐在員あるあるなのか飲み会の多い夫はこの日!という日に限って遅い。せっかく帰ってきても寝てしまい、一向に起きない。
 「私がこんなに日程を考えてるのにどうして飲んでしまうのか」と苛立ちしかなく、でもここで怒ってしまえばタイミングが取れずに1ヶ月無駄にしてしまう。本当はお互い子供が欲しいはずなのに、なんだか私が”頼んで”タイミング法をしているようで虚しくなった。別に私もこの日にしたいわけでもなんでもない。でも夫のやる気がなくならないように、自分を殺してただ行為を完遂してもらうように頑張っていた。どうして私がお願いしてタイミング法をしなきゃいけないんだろう。夫は私とタイミングを取るだけなのに、どうしてそれができないのか?そんなに私との行為は苦痛なのか?タイミングが取れると「今期も取れた」と思う一方で、一人で夫が寝静まった後涙することもあった。もう気持ちが限界だった

 世の中定期的にタイミングが取れていて、きっと苦労してないんだろう。多分私がタイミングと言いすぎたからお互い事務作業みたいになっているんだろう。気づけば自分を責めて、孤独な妊活であった。でも妊娠すればきっとこの痛みは忘れるはずだと信じて疑わなかったのだ。

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