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ちょっと青空の見えない日が続いているだけだから 【2月後半】【できごと日記#4】

この日記の概要
毎日面白いことなんて起こらないけれど、きっと書いていれば面白くなるに違いない、と思って気まぐれに書いている日記です

花を咲かせたい


近所の散歩コースを歩くと、インターナショナルスクールの保育園の前を通る。その保育園にはカラフルな遊具があって、晴れていれば時々先生と生徒のにぎやかな英語の会話が聞こえてくる。けれど今日はあいにくの雨。代わりに部屋の中から木琴の音が聞こえてきた。


ポンポーンポン、ポンポーンポン、ポンポーンポン、ポン、ポン。

木琴の音が、複雑に重なりあっている。

知っている曲だった。

そうさ僕らは世界にひとつだけの花
一人一人違う種をもつ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい

小さい花や大きな花
一つとして同じものはないから
No. 1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one

世界にひとつだけの花


良い歌だなあ、と思って、家に帰って何回も何回も、繰り返し聴いた。


けれど、ちょっと思った。

花を咲かせる植物もあるけれど、花を咲かせない植物もある。皆が皆、花を咲かせるわけではない。

だからといって、花を咲かせない植物は何の役割も果たしていないのか?と言われたら、無論そんなことはない。


例えば苔。苔は土の表面を守ったり、乾燥を防いだりする。つまり、苔は自然環境を守ってくれている、立派なヒーローだ。


そして、そんな苔を日本庭園は見逃さなかった。苔は日本庭園には欠かせない、美の象徴でもある。


置かれた場所で一生懸命花を咲かせようとするのも良いけれど、置かれた場所で一生懸命土を守るのも良いな、と思う。

(2月18日)



ついてない日


今日はついてない日だった。

朝からおぞましい夢を見た。

カーテンを開けたら、灰色の雲がもくもく。

自転車を漕いでいたら、途中でチェーンがはずれてすすまなくなった。(おかげで朝から遅刻しそうになった)

お昼ご飯を買おうと思ったら、財布のなかに現金100円しか入っていなかった。(oh…)


それならば、いざコード決済!と思いアプリを立ち上げたら、通信環境が非常に悪くて、結局支払いができなかった。(商品はもどしてATMまで走った)


そんなことをしていたら、お昼の貴重な休憩の時間が少なくなった。

なんだか疲れたので、せめてあたたかいものをと思って、スティックタイプの紅茶オレをあけたら、粉がデスクのうえに半分ぐらい飛び散った。(あちゃー…)

はあ、ついてない、今日はなんだかついてない。

雨が灰色の雲から、ついにしとしと降り出した。


湿気で重くなったこころとからだで、しょぼしょぼキーボードを打っていたら、隣の部署の女性から声をかけられた。

「ハナムラさん、最近ひとりで大丈夫ですか。わたし今手が空いてるんで、お手伝いしますよ〜」

気のせいか、彼女の後ろから後光が差している。

…泣いた。

こころのなかで、たくさん泣いた。

ものすごくうれしかった。ああちゃんと見てくれている人いるんだなあと思って、その言葉だけで、本当に十分だった。

ありがとう、本当にありがとう、と何回もお礼を言うと、「いえいえ〜」と何回もやさしい声で返してくれた。

人をすくうのは、やっぱり人なんだな、と思った。

帰るとき、雨はあがっていた。暗闇だったけど、あまり怖くなかった。


(2月19日)


トシ伝説


ぼーん  ぼーん   ぼーん

子宮でお坊さんが、お寺の鐘を大きくつく。

わたしはそのたびにうずくまって、うめいていた。

そんなぼんぼん鳴らすなよ、鐘を。


普段そんなに生理痛はひどくないほうだと思うけど、今月はひどい月らしい。薬を飲んでも全然効かない。

調べていたら、タカアンドトシのトシさんの画像を見ると、生理痛が和らぐという、一体誰が言い出したの的な都市伝説にヒットした。


バカなと思ったけれど、あまりにも痛かったので、藁にもすがる思いでトシさんのしわくちゃの、満面の笑顔の画像を見た。


そしたら、鐘が一瞬、鳴り止んだ。本当に。

なぜ。


この話は結構有名だったらしく、NHKが外国の専門家を呼び出して、わざわざ調査もしたらしい。


一説にはプラセボ効果で、「この画像を見ると生理痛に効く!」という思い込みが、そうさせているそうだ。


大丈夫、大丈夫。落ち着いて。

誰がなんと言おうと、どんなときでもそう自分が信じられるおまじないやお守りを持てることは、実は幸せなことなのかもしれない。

そう信じられる人がいることも。

いい加減孤独だもの、わたしたち。


(2月20日)

グレー

グレーとピンクの組み合わせが好き。
いや、好きだった。

今はグレーと水色の組み合わせが好き。
水色は空の色。

グレーとグリーンの組み合わせも良いなあ、と思う。

レッドとグレーも素敵。

日常って実はグレーじゃないの、と思う。
グレーだから、難しい。
グレーだから、答えがない。
グレーだから、どんな色も合う。
グレーだから、しっくりこない。
グレーだから、傷つくこともあり、傷つけられることもある。

グレーという下地に、どういう色を差し色として持っていくか。
または、グレーの上を、どういう色で塗りつぶしていくか。
いや、グレーという色自体を差し色にしたっていい。
それは自分で決められるんだ。

グレーというと、明るいイメージがあまりない。辞書にも「希望がない」とか「夢がない」とか、そのようなことが書かれていた。


わたしの生活は多分グレー。希望も夢もない。言葉通りの灰色の日々を送っている。このままでいいの?いやあかんよなあ、でもどうやってよくしていったらいいの?って、ずっとずっと自問自答している。


わたしはグレーの使い方を、知らないだけかもしれない。

(2月23日)


ココア

朝から落ち込みがひどかったので、ちょっと手間をかけて、ココアをつくった。

ううん、本当は賞味期限切れの牛乳を、何かのタイミングで一刻もはやく消費したかっただけなのです。

確認すると、ココアの賞味期限もとうの昔に切れていた。

まず、ココアを大さじいっぱい、フライパンにいれて、弱火でやさしく煎ります。

うちの家はフライパンしかないので、フライパンで煎りますが、小鍋があれば小鍋のほうがビジュアル的にもいいと思います。

そしたら、ほんのりココアの色が変わって、良き香りがいたします。ぽわんって感じで、いい香りがはじけます。

それから牛乳を少しずつ投入します。焦げないように、ぐるぐる、静かに混ぜながら。

ココアの粉と牛乳が一体化して、あたたまって、「もうええわ、はよう飲みたい」と思ったら火をとめます。


そしてとくとく、愛情込めて、お気に入りのマグカップに注ぎます。
あまりあつあつじゃないほうが、いいかもしれません。火傷してしまいますので。

これはあるドラマの主人公、トウコさんがつくっていたココアのつくり方。

トウコさんはバーのママだけど、お酒は出さない。

トウコさんはこうやってココアをつくって、心の傷ついたお客さんに、こう言っていた。

「あんたは今夜、世界一うまいココアを飲む」



「うまいココアには、うまいドーナツが必要だ」と思って、大好きなオールドファッションハニーも一緒に食べた。

こうやって、自分を励ましていくしかないんだな、と思った。

(2月25日)



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