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母になって思い出を見て

昨日実家に帰ってきて、自分の部屋に入った。
18歳の時に家を出たが、そのままの机とそのままのベッド。そしてクローゼットに当時のものがそのまま残っている。

帰省する度に何度か見返しては処分を重ねたものの、それでも勉強して重ねたノートや交換した手紙の数々、卒業アルバムに卒業証書と自分の人生を語るには十分すぎるものが残っていた。

母になって初めて実家に帰ってきてみると、なんでだろう。今まではとても名残惜しかったもの達が一気にガラクタに見えてきて、本当に大事な写真と記録以外は捨ててもいいと思えていた。

3年前までは捨てられなかったもの達が。
名残惜しくて仕方がなかったもの達が。
どうしてこんな気持ちの変化が起きたのだろう。

多分、もう自分の家を完全に移行できたからじゃないか。
少し前までは夫と何かあった時に、離婚した時に帰ってくるかもしれない。私の居場所を残したい。帰ってきたい。そんな思いが、どこかモノを残したがっていて。

でも娘が生まれて。娘が帰りたいと思う家を、今私たちが住む家にするために。そのためには私が、今私が住まう家を「私達の家」と思わなければ。私の心が、私の実家にある限り、娘の帰る家はできるはずがない。

家を出てもう9年が経つ。
それでも実家に私の居場所は十分あって。父と母が温かく迎えてくれる。娘にも大きくなった時そんな場所を作ってあげたい。
そう思う今が、きっと私が家を発つ日なのだ。

それに、何かモノを残さなくても。父と母が私を迎えてくれる。その事実は変わらないことを、自分は信じられる。そう思えるからこそ、家を発てるのだと思う。


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