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絶対帰りたい男、泊まりたい女

もう夜もふけた日の帰り道の駅のホームで、私はある男女の話を小耳に挟みました。

男 俺は風俗に行って帰ろうかな。

女 なんでお金を払うの?

この話だけを聞くとまるでただでありつけるのではないか、と思ってしまいます。

私は不意に彼らを見ました。

赤ら顔の30代くらいの男女。飲んだ帰りでしょう。

別に恋人同士でもないが、友達以上ではありそうなふたり。

私は羨ましいなと思いながら話を盗み聞きしていました。

話は電車に移り、男は女を帰らそうとしていることに気づきました。

男 俺は帰るよ、次の駅で降りるでしょ。

女 いや、もうちょっと電車にのっていく。

私は終電もないと思うので降りないのかな、どうするのかなと思いましたが、すぐに気づきました。

男の家に泊まりたいんだな、と。

男 俺は行くところあるからタクシーで帰らないの。

女 もう少し。

これは女に分があるでしょう。

男はなんだかんだ家に来てしまったらやることはやる。そう、誰だってそうなんです。


男 そういえば昔さ…

女 それは…

他愛のない話を始めました。
女が降りる駅はとうにすぎています。

諦めたのでしょうか?

いいえ、男には秘策がありました。

男 帰っても寝るとこないよ。

女 一緒にねればいいじゃん。

男はまるでお前なぞどこにでもいけばいい。
キッチンで寝ろといいたげです。
※都内のワンルームでは皆キッチンで寝ていますが…

ただ、まさかの一緒にねればいいと誘ってきました。

私はさすがにこれは厳しいだろう。
泊めるのもやぶさかではないか。

そう考えたとき、驚くべき発言が男の口から出たのです…!

男 いいよ、一緒に寝ようか。

女 …❤️

アラッ!!!

これはどういう展開でしょうか。
いや、きづきました。

そう、最初から男は女を持ち帰る気だったのです。

女が自分に興味があると踏んでの高度なテクニック。

直接ヤる?と言わない紳士的な立ち振る舞い。

私は今回、日本人的な奥ゆかしさを学びました。

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