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『ゴッホ展』を観た(2019/11/20)

画家人生10年
27歳から37歳までという、始まるには遅く、終わるには早すぎた期間を人の何倍もの情熱と吸収力で駆け抜けた画家フィンセント・ファン・ゴッホ。

今回訪れた『ゴッホ展』では、展覧会のキービジュアルとしている『糸杉』の他にも、彼が影響を受けた画家の作品を交えつつ、独自の画風を確立するまでの変遷を辿っていた。


上野の森美術館は以前エッシャー展を観る為に訪れたけれど、その時と入口出口が逆になっていた。展示によって変えているんだろうか。

最初の方に展示されていた農民画家時代の作品は、『疲れ果てて』という作品と『永遠の入り口』という作品の仄暗さは惹かれるものがあったけれど、初期の作品という事もあって、いかにもひたむきに練習している最中といった感じの作品が多く、参考にしていたとされるハーグ派の画家達の作品の方が美しかった。


しかし印象派の画家達との出会いにより、筆遣いが大胆になり、絵具が厚塗りになり独特なうねりが加わって急成長する様は凄かった。
特にアドルフ・モンティセリの画風からの影響が強いのがよく分かった。

絵具の厚みにより濃く残った筆の動きは、光が射し込む事で影まで美しい 。キービジュアルである『糸杉』の風の様なうねり、背景と糸杉の溶け合い方はとても美しかった。『薔薇』という作品の爽やかな色味も心に残った。


ゴッホ展公式サイトに掲載されているゴッホの生涯の年譜を見てみると、人としてちょっとどうなのよ。と思う部分が浮き出ているけれど、展示会場の最後に書かれていた、ゴッホが弟テオに宛てた手紙の一文
「そうだ 僕は絵に命をかけた そのために半ば正気でなくなってる それも良いだろう」
という言葉にはグッときた。

孤独に感じる事も多く苦悩の多い人生だったのだろうと思うけれど、何かに狂気的に打ち込めた証を100年以上先の人に崇められているのは少し羨ましく感じる。
聖職者を夢見ていた人が、亡くなってから神に近い存在になると考えると、なんだか不思議だ。

最後に、グッズコーナーで養生テープやリアルな筆致まで分かるよう3Dプリンターで出来たレプリカが販売されていて、時代の新風を感じた。


場所:上野の森美術館
期間:2019/10/11〜2020/1/3
料金:一般1800円

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