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プライオメトリックトレーニングでゴルフのヘッドスピードをUP!

ゴルフは日本でとても人気のあるスポーツです。
近年では、女子ゴルフの人気も高まり、スポーツニュースで取り上げられない日がありません。
私が勤務するパーソナルトレーニングジムのお客様でも、
ゴルフをプレーする方が多数いらっしゃいます。

ゴルフのためのトレーニングを行う方も多く、様々なトレーニング方法が紹介されています。
その中の一つに「プライオメトリックトレーニング」があります。
プライオメトリックトレーニングは、ゴルフのヘッドスピードを向上させる効果的な可能性が多くあります。

本記事では、プライオメトリックトレーニングを活用してゴルフのヘッドスピードを上げるためのヒントをご紹介します。主な対象はゴルファーの皆様ですが、スポーツパフォーマンスの向上に関心のある方々にも参考になる内容と思います。

はじめに

プロゴルファーやプロを目指すゴルファーにとってスコアを伸ばすことこそ最大の目標です。
近年はスコアアップのためにゴルファーも様々なトレーニングを行い身体能力の向上を目指しています。

しかし、ゴルフ場や試合会場にはトレーニング器具がないことも多く、思うようにトレーニングできないこともあるのではないでしょうか?わざわざトレーニング場に行くのも大変という方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、器具がなくてもスコアアップに繋がる可能性のある「プライオメトリックトレーニング」をご紹介します。

プライオメトリックトレーニングとは、反動を使い短い接地時間で繰り返しジャンプをするトレーニングの総称です。

なぜプライオメトリックトレーニングがスコアアップに繋がる可能性があるのか、順を追って説明しトレーニング例もご紹介します。

スコアアップのためには?

ゴルフのスコアは、いかに短い打数でホールにボールを入れるかで決まります。この目標を達成するためには、ドライバーの飛距離、アプローチの上手さ、パターの技術、クラブの性能、精神力など、様々な要素が関係しています。

その中でも、ドライバーの飛距離は特に重要で、これはクラブヘッドスピードと密接に関連していることが知られています。
例えば、バドミントンで羽を遠くに飛ばす際にラケットを速く振るのと同様に、ゴルフボールを遠くに飛ばすためにはクラブを速く振る必要があります(この際、打ち出し角度は考慮しません)。

クラブのヘッドスピードを速くするには、技術の向上だけでなく、筋力やパワーの向上も重要です。そしてパワーを向上させる方法として、プライオメトリックトレーニングが有効です。

ここまで説明するとプライオメトリックトレーニングが、どのようなトレーニングなのか気になるところですが、その前に、ヘッドスピードが速いゴルファーの特徴を見ていきましょう。

ヘッドスピードの速いゴルファーの特徴

デンマークの国内ツアーに参戦している男子プロゴルファーを対象にしたクラブヘッドスピードの速い選手と遅い選手を比べた研究結果を以下にまとめていきます。

青い色がヘッドスピードの速い選手(FTG)、白抜きのグラフがヘッドスピードの遅い選手(STG)です。

ゴルフのスイングように身体を捻る力を測定したものが体幹回旋、手を腰に当て高くジャンプする測定がカウンタームーブメントジャンプ(CMJ)、ミッドサイプル、等尺性ベンチプレス、等尺性レッグプレスが、それぞれ下肢と上肢の力(≒筋力)を測定しています。

筋力、パワー、さらに下肢と上半身どちらの指標もFTGの方が高いことが分かります。

筋力やパワーを向上するためにはウエイトトレーニングが効果的です。しかし、トレーニング場でなければ、実施することが難しいです。自重でできるスクワットなどのトレーニングで行ってもすぐに限界が来てしまいます。

しかし、カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)のパワー向上を目指すだけであれば、器具の必要ないプライオメトリックトレーニングでも十分な可能性があります。

注意しておくべきなのは、CMJのパワーは跳び方を変えるだけで高い数値が出てしまうことです。そこでCMJにおける他の数値も参考にできるかみてみます。

RFDdyn以外は、FTGはSTGに比べ有意に高い結果となっていました。RFDdynとは、力の立ち上がり率のことで、ある時間までにどのくらい力を発揮できたかを示す指標です。

このことからCMJを評価する際にパワーだけでなく他の数値でも検討できそうです。ただし今はCMJの測定に役立つポータブル測定機もたくさん販売されているので、それらを使用して複数の指標で評価することが1番良いと思います。

また、1つ付け加えておくと、CMJの数値が向上したからヘッドスピードも上がるという訳ではないのでご注意ください。あくまでもヘッドスピードの速い選手の特徴としてCMJの様々な数値が高かったということです。
しかし、CMJの数値が高いということがヘッドスピードを速くするための前提条件である可能性は十分にあります。

プライオメトリックトレーニングでCMJ向上

ヘッドスピードが速い選手は、CMJの数値が有意に高いということがわかりました。

今回は比較的計測のしやすい基準としてジャンプの高さに絞り、プライオメトリックトレーニングの効果から紹介します。

プライオメトリックトレーニングは様々なジャンプの高さを向上させることが分かっています。ある研究では4種類の垂直飛びが改善するか検討したところ全てにおいてジャンプ高が向上する結果になりました。そしてその中でもCMJにおいて最も効果的との結果でした。

ただし少し難しい話ですが、出版バイアスと言って良くなかった結果を研究結果として発表していない疑いも認められているので注意が必要です。

ただし、私のトレーニング指導経験からもCMJの向上にプライオメトリックトレーニングの効果の高さを感じています。では実際にどのようなトレーニングを行えばいいのでしょうか?

プライオメトリックトレーニング紹介

私も実際のプロゴルファーの指導にも提供しているプライオメトリックトレーニングを3つご紹介します。

連続スクワットジャンプ

連続で両足ジャンプを行うトレーニングです。

パワーポジションと呼ばれる姿勢から上にジャンプをして着地をしたらまたすぐにジャンプを行います。1回につき3〜5回繰り返します。

着地は同じ場所でも少し前に進みながらでもOKです。

腰や背中が丸まったり膝が内側に入ったりしないように注意して行いましょう。ポイントは着地の時間をなるべく短く行うことです。

連続片足スクワットジャンプ

足を肩幅くらい前後に開いた姿勢から連続でジャンプを行います。
前脚の膝と股関節をパワーポジションと同じように曲げます。
慣れてくると自分の飛びやすいポジションが分かってきますので、トレーニングを行いながら調整していきましょう。

バウンディング

1歩ずつ片足でジャンプして進むトレーニングです。

地面についている時間を短くすることを意識しましょう。
なるべく少ない歩数で遠くまで行けるよう努力してください。しかし、無理に遠くに飛ぼうとせず膝を前に出すイメージで行ってください。

頻度と回数

トレーニング方法はわかっても実際に悩むのはどのくらい行えばいいのかです。

NSCAというトレーニング指導の資格を発行している団体の記事を参考にすると、週2〜3回、初心者の場合は1回のトレーニング当たり、80〜100回程度が一般的なようです。
このあたりを目安と考えて良いと思います。

しかし、プライオメトリックトレーニングを行ったことがない方は最初は無理をせず、
週1〜2回、1トレーニング当たり50回くらいのジャンプから開始してみましょう。
慣れてきたら徐々にトレーニング回数やジャンプの回数を増やしてください。

まとめ

・クラブのヘッドスピードが速いゴルファーは、下肢と上半身ともに筋力が高く、下肢のパワーも高い

・CMJの向上のためには「プライオメトリックトレーニング」が有効

・プライオメトリックトレーニングは週1~2回、50回くらいから開始する

これをやっていれば、ヘッドスピードが速くなるわけでもありません。
あくまでも様々なトレーニングのひとつと考えてください。

そして何よりゴルフの練習が1番大切です。

またプライオメトリックトレーニングは、筋肉や関節に高い負荷がかかりケガのリスクもあるため普段ウエイトトレーニングを行っていない方は、まずはスクワットやデッドリフトといった基本的なトレーニングをしっかり行ってください。

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