加江

土佐の民俗を記録していく国語教員。 高知県中土佐町より。

加江

土佐の民俗を記録していく国語教員。 高知県中土佐町より。

最近の記事

法事のこと

今年は祖母の三十三回忌でした。 当地では初七日以降の法事で、紅白の団子を供えます。 葬儀が終わり、後飾りの祭壇に紅白一対の団子を供え、七日ごとに作り変えます。 四十九日以降は、一周忌(むかあれ)、三回忌と回忌ごとの法事でこの紅白団子が供えられます。 同じ町内でも山を超えた隣の地区では白のみで一対供えるらしく、風習が異なっています。 団子の作り方 この紅白の団子は三十五個の団子からなっています。 下から、15、10、6、3、1個と三角形に並べて積み上げると五段の積み団子にな

    • 船霊様のこと

      一隻の船には、必ず一体の船霊様が祀られます。 船霊様とはそのまま船の神霊のことなのですが、それぞれ船によって、つまり船を作った船大工によって、その御神体は様々です。 船霊様を奉製するのは船大工の棟梁の仕事です。 中土佐町の場合、共通しているのは、木の板(厚みのある札状のもの)の中心を長方形に穴を開け、そこに御神体を封じ込めて蓋をするというもの。 御神体は、女性の髪の毛、小銭(寛永通宝から1円玉まで様々)、サイコロ、男女の人形などがありますが、中を見ることはありません。 よっ

      • しめ縄のこと

        しめ縄。注連縄、七五三縄などと書きます。 今回はお正月のしめ縄について。 一五三のしめ縄 しめ縄と一口にいってもその形は様々。 特に土佐で飾られるしめ縄は、正月には一五三の垂れをつける習わしがあります。 垂れというのは、しめ縄に垂らされる藁のこと。普通の神事ではしめ縄を綯う時に、藁を右から七本、五本、三本となるように垂らします。 しかし、お正月のしめ縄に限って、垂れは右から一本、五本、三本と垂らします。 なぜお正月は一五三なのか。 正月のしめ縄には他の祭りとは違い、特

        • 正月のこと

          ぼちぼちとやっていこうと思います。  土佐の小さな漁村では、今でも古い習俗が残っていることが多いのですが、それもコロナ以降は虫の息といった有り様で、今後記録できる機会も少なくなっていくのかもしれません。 さて、小正月になってしまいましたが、お正月のことです。高知県は中土佐町の小さな町では、暮れの28日頃からお正月準備が始まります。 正月準備 門松 「迎え飾り(飾り物を家に迎えてその日のうちに飾ること)」は葬式の野辺送りの飾りの作法なので縁起が悪いとされ、飾りつけをす

        法事のこと