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特別研修-判例とファシリテーション-

昨日、特別研修二日目が完了しました!二日目もなかなかにハードな一日でした。一日目のレポートは以下よりご覧いただけます。※グループごとにかなり進め方は異なると思われます。本レポートはあくまで私が所属しているグループの進め方になります。

判例の読み方は、具体⇔抽象⇔具体

前日が東京駅付近で夜までアポイントがあったので今回も会場近くのホテルを予約し、前日から予習に励みます。前回の反省を生かして、引用した判例については詳細を検索してきちんと読み込み、議論用にプリントアウトして持参します。参考図書の判例集は、判旨やポイントは分かりやすいのですが、そもそもの訴訟の背景や詳細が省略されているので、かならず詳細を確認した方がよいです。

判例を参考にして設問を解く際に、「〇〇という結論になっている判例が多い」という風に判例を使う方が多いのですが、あまりいい方法ではないかと思います。

判例や裁判例というのは、個別の事件ごとに訴訟に至るまでの背景・経緯も異なるので、同じような事件というのはほぼありません。判例を読むときには、
・個別の事件(具体)をしっかり把握する
・判決までの裁判官の枠組み、論理展開、考え方(抽象)
・上記の枠組みや論理展開に、どう個別の事件における事実をあてはめたのか(具体)
をしっかり読み込んだ上で活用する必要があります。

実務の世界でも、判例の結論だけを持ち出して性急に判断される方が多いので、注意が必要です。

判決は実務感覚とはさほどかけ離れていない

労働関係の判例と言えば、人事実務の方からすると「労働者優位で、企業側には厳しい」と思われがちですし、私も人事のときにはそう思っていました。

コンサル時代も、「不利益変更は最大10%までで、それでも危ない」とか「同意書取ったって、あとで自由意志とはみなされず意味がない」とか、じゃあどうすりゃいいの!?と思ってました。

判例を斜め読みしていると確かにそうなんですが、しっかり読み込んでいくと、「〇〇という背景があるなら、確かにそういう判決だよなぁ」と実務的な感覚でも納得感があったりします。

つまるところ、裁判官が求めているのって、労使の間での「誠意」と「思いやりある対応」なんですよね。そういう観点で見ていくと、割となるほどなぁ、という結論になっている判例が多いことに気づきます。

各設問の担当者がファシリテーターに

前置きが長くなりましたが、いよいよレポ本編です。一日目はグループリーダーの先生がメインファシリテーターを務めてくださいましたが、二日目からは一日目に割り振った設問担当がファシリテーターを務めます。特にグループ研修では、あっせん申請書と答弁書の2つをグループ全員の総意が含まれた形でまとめる必要があります。

ひとグループあたり9名ぐらいいますので、意見をまとめていくのはかなり大変です。私達のチームは、研修の二日前までに各自の起案を提出し、全員分を読み込んでから研修に臨むというスタイルを取りました。ただ、実際にやってみての感想は、もしファシリ役になったら、個人ごとの起案をもっと早く終わらせて、ファシリ担当が各事案を一つにまとめた集約案を持参するのがもっともスムーズだと思います。

その場で全員分の起案文を眺めながら、まとめあげるのは、よほどプロフェッショナルなファシリテーターの方以外は至難の技だと思われます。

集約案を持参した上で、各自の起案文と眺めてもらって、それぞれが「ここは外せない」とか「ここに、これを追加してくれ」などと議論するのが一番スムーズだと思います。人間の認知範囲ってそこまで高くないので、こういう複雑な文書であれば、しっかり比較して判断できるのは2つまで、だと思っています。

「あっせん」にはファシリ力が必須

そう考えると特別研修の内容ってよく考えられてるなぁ、と思います。あっせんは、裁判とは違い勝ち負けを目的とはしていません。その目的は和解です。

特定社労士になれば、労使どちらかの代理人として主張を展開していくわけですが、そこでのスタンスは「勝ちに行く」のではなく、「お互いの主義主張をしっかり出し切ってもらい、歩み寄ってもらうこと」なのだろうと思います。

そのときに代理人に必要なのは、舌鋒鋭く相手を論破するような力ではなく、相反する意見をまとめ上げていくファシリ力。特別研修は単なる法律知識ではなく、こういうところも学べるようになってます。

グループのメンバーにも、労働者寄りの発想の方もいれば、使用者寄りの方もいて、まさに労使双方の意見をまとめていく、というプロセスを体感できます。

質問をちゃんとすると、しっかり記憶に残る

特別研修に限らず、最近、研修を受講するときには「必ず質問すること」をマイルールにしています。的外れな質問をしたりすると恥ずかしいなーとか思ったりするのですが、やっぱり講師に質問をしたこと、って絶対に忘れないようにできているし、質問しようと思って講義を聴くと頭に残りやすいです。質問事項をノートに書きながら先生の話を聞くのはとてもオススメです。

ちなみに講師の立場で話すことも最近多いですが、質問がないと講師側はかなりモチベーションが下がります(笑

特別研修の必須持参の参考図書は?

毎回、指定参考図書を持っていくのがとても重たいので、厳選するとするならば、以下2冊&ポケット六法だと思います。設問、検討課題ともに、以下2冊が大きなヒントになります。判例集もあるとよいですが、ネットからも検索できるのでnice to haveかと思いました。

まとめ

二日目からは、条文&判例解釈、それらを活かした申請書の論理を構成する力が求めてきます!繰り返しですが、この研修は予習をしないとほぼ意味がないので、来年以降の受講を検討される方は、仕事のスケジュール等も見ながら検討されるのがよいかと思いました。




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