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ゼロイチとは?【ヤ銀行Vol.13/完】

100頭育てていたヤギ。

100頭のメスのヤギに対して、1頭のオスのヤギ。
オスのヤギは、「ハイブリッド」と言われる品種で、体がめちゃくちゃ大きい。ぱっとみただけだど、ヤギだと感じないほどの大きさで、狼のような強い雰囲気もあるし、襲ってきそうな気配すら感じる。

おっとりしたヤギの感じではなく、生命力がたかそうと一瞬で感じるヤギだった。

そのオスヤギが、メスのヤギと順々に交尾をして、できるだけたくさん子どもを生むように頑張る。

そんな日々が、1日、また1日と続いていった。

そして、赤ちゃんが生まれた。


行動した先に、生み出されたもの

「ゼロからイチ」を創り出す。

”ゼロイチ”とか言われたりする。

しかもそれは、なんだか難しそうというか、みんながみんなできたり得意なわけではなくて、アイデアや行動力がいりそうなものだと思われているし、僕もそう捉えていたときはあったんだと思う。

今回のヤギの赤ちゃんと対面して感じたこと。
それは、
自分にとっては、別に何もないゼロのところから活動を始めて、そこから実際に生命が、ヤギの赤ちゃんが誕生したということ。

これはなんだか自分にとっては大きなことだった。自分たちが行動したことで、一つずつカタチになって、赤ちゃんも生まれて、それが育てられて、大きく育っていって。

そしてそれが続いていけば、誰かの役に立てるんじゃないか、そう思わせてくれた。やればできるんじゃないか、と。そう前向きに思える経験になった。


ヤ銀行を始めた当初、僕はヤギのことなんて知らないし、意識していないから視界にも対して入ってすらきていなかった。

それに加えて、自分が何かを生み出せる人間とも思いきれていないし、ビジネスを作るなんてことも、どこか遠いことのように感じてた。ゼロからイチを創る、ということに対してリアリティはなかったし、誰がどうやってしているのかのイメージも具体的には持ち合わせていなかった。

いまこのヤギの赤ちゃんを見たとき、なにか特別なことをしたわけでもないし、特別なことが必要だったとも思わない。

ただただ、やるべきことを、できることをひとつずつ行動に移して、未来を信じて進んできたら、着実に物事が進んでいくんだ、なんだかそんなある種当たり前で普遍的なことを、改めて感じる機会になった。

ヤギを調べる
ヤギの専門家に会いに行って、アドバイスを貰う
ネパールでヤギ市場を調べて、行ってみる
ヤギ農家に教えてもらう
ヤギ小屋を建てる
ヤギを飼う
ヤギを育てる

どのアクションにおいても、特別なスキルや経験が必要なわけでもないし、難易度が高いとも思わない。超多額のお金が必要なわけでもない。

僕にとってこのヤ銀行は、たくさんの学びをくれた。

行動や挑戦を阻むのは、それ自体の難易度ではなく、
きっと、
失敗したくない、損したくない、
できるって思われたい、成功する活動をしたい、
めんどくさい、知らないことが大変、
といった、自分の気持ちがネックなんだと感じた。

そんなのやめておいたら?
意味あるの?
もっとこうしたら?

とか、あれやこれや、なんだか少しネガティブに聞こえるようなことを言われ続ける環境にいると、そんな気分にもなってしまうんだと思う。

やっぱり、
やってみよう!
楽しいね!
学びになるね!

と、行動をともに前に進めていく環境や仲間の存在が、とても大事なんだと思った。

ヤ銀行を進めるにあたって、一緒に面白がって進めてくれた人、ヤギを育ててくれた人、一緒にヤギマーケットに行ってくれた人、話を聞いてくれた人、ヤギのことを教えてくれた専門家。

たくさんの人のおかげで、行動を止めず、前に進めることができた。きっと、ゼロイチとかっていう領域においても、仲間とか環境が大事なんだと思う。

そう思うと、
自分自身がその「仲間や環境」になることができたら、周りの人の挑戦や行動を後押しできるんじゃないかと。

もちろん自分も行動するけど、周りの人に対して、一緒に面白がって、一緒にやってみよう!って言える存在であり続けたいなと、そう思った。

トラに食べられた赤ちゃんヤギ

自分をたくさん成長させてくれたヤ銀行。ヤギ。

感動的にも生まれた赤ちゃんヤギたちは、その後。。。
トラに食べられてしまったと連絡が入った。

ネパールでは、野生なトラがいるとは聞いていた。トラに食べられたのか、とられたのかどうなったのか、細かい実際のところはわからない。

でも、赤ちゃんが増え続けていくのはそんなに簡単なことではなくて、運営も管理もそれなりに大変だということ。エクセル上で、単純計算で増えていくものではなかった。

赤ちゃん誕生まで、ひた走って動いてきたヤ銀行のプロジェクト。
赤ちゃんが増え続けることを期待していた自分だったけど、それはそんな簡単には進まないよということにも直面した。

加えて、ヤギのお世話してくれているネパール人メンバーの状況とかモチベーションとか、そんなことも相まって、赤ちゃんの誕生、及びトラに食べられたことをヘて、僕にとってのヤ銀行プロジェクトは一旦の終わりに進んでいった。

感じた2つのこと

やってみて感じることができた2つのことがある。

1つは、生きているヤギに関わる活動の難しさ、ということ。生き物なので、しっかり管理、育てないといけないし、餌も必要だし手間もかかる。そうでないと、問題も起きてしまう。

かつ、育てて売るとなっても、生き物だし体も大きいので、移動、輸送のコストもかなりかかってくる。

このままヤ銀行を大きくしていくために自分が関わるなら、もっと時間とおパワーを割いていかないとうまく行かないし、そこに注力するべきなのかを考えることが度々あった。

不可能とか、難しいとかっていう話よりも、「今後発生するそれぞれの課題に対して、自分は乗り越えていくための行動にコミットできるのか」そんな問いだったと思う。

こんなことを考えているときに、2つめのことが関わってくる。

それは、「ネパールでのコーヒー生産」
動物(生き物)だといろいろと大変な中で、どうにか、新鮮野菜ではなくて、長期で保存がきいたり、海外にも輸出できるような生産物はないだろうか、と考えリサーチを始めていた。

そのときに、コーヒーは、標高が高い地域でおいしく育つこと、ネパールはコーヒー生産に向いているということ、ちらほら取り組み始めているネパール人がいること。こんなことを耳にしていた。

日本でコーヒーに関して調べると、生産量は少なくなりつつあり、かつスペシャルティコーヒーのように希少でも丁寧に育てられたコーヒーは高値で販売されることも知った。

これからのことから、ヤ銀行で培った経験をもとに、「持続可能なネパールコーヒープロジェクト」の構想ができ、そこにコミットしていくことを少しずつ、自分の中で気持ちを固めていった。

ゼロから、イチを

ここまで、ヤ銀行に関するお話を読んでいただいて、ありがとうございました。もう何年も前のことになりましたが、こうして言葉にすることができて、よかったです。みなさんのおかげです。

自分にとってのヤ銀行プロジェクトは一旦終わりましたが、そんなことをせずとも、ネパールでも世界でも、ヤギは一生懸命日々生きているし、ヤギの世話をしている人もたくさんいると思います。

自分にとって、なにか行動を起こすこと、生み出すこと、ソーシャルビジネスといえる取り組み、経験をすることができました。たくさん学びました。

このプロジェクト経験から、現在取り組んでいるネパールコーヒーのプロジェクトが生まれることになりました。今後は、このコーヒープロジェクトの成り立ちの話についても、次の機会で書いていきたいと思います。


ゼロからイチを創る

この言葉について、最後に書きたいと思います。

何を「ゼロ」と捉えて、
何を「イチ」とカウントするのか。

なにもないところから、何かを生み出す

そんなイメージもあるかもしれません。

でも自分にとっては、例えばヤ銀行プロジェクトが「イチ」で、コーヒープロジェクトが「ニ(2)」のようにも感じています。

つまり、自分の中にどんどんと経験、アイデア、人のつながりが増えていって、ゼロから生み出したわけではないなとも思うんです。
何も行動しなければ、自分はいつまでたっても「ゼロ」のままですが、行動を続けていれば、それはゼロイチとかの話じゃないなーと思っています。

アイデアも、急に空から降ってくるのではなくて、
それまでに見て聞いて感じて触れてきた総量から、かけあわせてひっぱりだしているものだと思います。


これからも、行動と経験を大切にして、
自分ができることを少しずつ拡張させていきたいなと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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