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tumblrにtumbleされた2023年前半

7月になった。あっという間に今年の前半が終わってしまった。歳をとると時間が早く過ぎるように感じるなんて言われるけれど、それは真理のようだ。

わたしが子供のころは“21世紀”は近未来の代名詞だった。月でモノリスが見つかるのが2001年で、天馬博士がアトムを作るのが2003年。その直前1999年に終末を迎えるとかいう“予言”もしょっちゅう話されていた。

そんな21世紀に入って早くも20年以上。自分はいつしか近未来に生きている。アトムはまだ現れないけど、わたしたちは電脳空間で人工知能と会話している。

21世紀になった2001年から、わたしは個人のウェブサイトを運営している。個人のページはもっと前から作っていたのだけれど、独自ドメインをとったのが2001年。

もう2年半も前のことだけど、一日一画が6000枚に達したときに、これまでのウェブサイト運営についても軽く書いていた。

そこで、画像メインで管理しやすいtumblrに移行して、「一日一画」も合わせてウェブサイトを作り直すことにした。

2021年1月30日付け拙note「毎日描いて6000枚」より

その時に書いたように、いまはtumblrという、SNSとブログを合わせたようなサービスを使ってコンテンツをつくっている。そのコンテンツを“テーマ”と呼ばれるデザインにのせてウェブページとして公開できるのがtumblrのユニークなところ。それがわたしのニーズに合っていた。

即時性、話題性が重視される現代のネット空間では固定のウェブサイトよりもソーシャルメディアが主流。ただし過去の投稿は垂れ流される情報の波にあっという間にのみこまれてしまう。表現者にとってはポートフォリオ的なアーカイブが欠かせない。だからこのtumblrの機能はとても魅力的だった。

メインページのほか、油絵、オイルパステル画、モノクローム作品のオンラインギャラリーをElise Themeというフリーのグリッド形式のテーマを利用して作った。ブログ「一日一画」のほうは1カラム形式のEffector Theme。

tumblrに移行する前はレンタルサーバに自前のcgiやphpで、スタイルシートもひとつひとつ自分で書いていたから限界があった。手軽にかっこいいデザインのウェブサイトやブログができるのはたいへんありがたい。

オイルパステル画のオンラインギャラリー。サムネイルにポインターを合わせるとぬるっとタイトル・制作年とリンクが出てきて、個別の作品ページに飛ぶ。左の人型アイコンをクリックするとこれまた左からぬるっと作者紹介が出てくる仕様。

tumblrは何度かオーナーが変わってそのたびに運営ポリシーが変わっている。2019年にWordPressのAutomattic社に買われてからは細かなバグ修正が繰り返されていて、運営方針だけでなく動作も安定した感がある。

ところが。いつからか投稿画面の右上に新しい投稿編集ツールへの切り替えを促すポップアップが表示されるようになった。

テキストコンテンツの投稿画面。右上に新ツールへの切り替えを促すポップアップ。

嫌な予感がしたのでずっと無視していたのだけど、画像コンテンツの投稿は先日とうとう強制的に移行されてしまった。

そうすると懸念したとおり、若干の見た目の変化が現れてしまった。おそらく新ツールに伴ってマークアップの仕方に変化があり、利用していたテーマのスタイルシートの適用から外れてしまったのだろう。

旧ツールで投稿した6月15日のエントリ(左)と新ツールの6月16日のエントリ(右)。画像のまわりに余白ができ、エントリ自体の角が丸くなった。ポインタを載せたときに現れるギミックも失われた。

こうなるとテーマのソースをいじって新ツールでの投稿にも適用されるようにする必要があるのだけど、新旧両方に適用させなくてはならない。あらたな投稿を調整できても7000枚近くある過去のものがきちんと表示されなくてはアーカイブとしての意味がない。

それに頻繁にバグ修正を行っている現tumblrのことだから、せっかくオプティマイズしてもいつまたおかしな表示になるか知れたものではない。

このまま妥協して更新し続けるか、細かく自力で修正するか、それとも思いきって新ツール対応のテーマに乗り換えるか。究極の選択だ。

一日一画ブログに使っているテーマEffector Themeでは、複数の画像をアップロードすると矢印が出てきてスライドショーとして表示されるようになっていた。この機能も失われてしまって、ただ複数の画像が並ぶ表示に変わってしまった。ちょっと残念だけど、これはこれでわかりやすい気がする。

しばらくはこれで行こうかと思い、トップページにも簡単に告知を出した。

しかししかし、一日一画でこうなったということは、オンラインギャラリーのほうでも同じことが起きているに違いない。オンラインギャラリーはずっと更新をサボっていたけど、このまま凍結させるつもりはないから、遅かれ早かれ何らかの対策はとらなくては。

アクセスの少ないモノクローム作品のオンラインギャラリーでおそるおそる試してみた。最近ちょくちょく描いている筆ペン作品のために「Brush Pens」というタグも用意し、2021年のはじめに描いた筆ペンのクロッキーをアップロード。

結果は訝しんだとおりだった。

左が新たに更新した筆ペンクロッキー。中央はポインターを合わせた選択中の旧エントリ。このようにハーフトーンの背景で作品名や技法が英語と日本語で表示される仕組み。右は選択されていない状態の旧エントリのサムネイル。

インタラクティブなギミックはことごとく失われ、サムネイル画像とキャプションが表示された。これまでのグリッド形式のサムネイルと並ぶと違いはあきらか。さてどうしたものだろう。

tumblrの日本語サポートページには次のようにある。

5月15日から徐々に、新規投稿を作成するためのオプションとしてのレガシーエディターを削除する作業を進めていきます。Web版で作成される新規投稿は、新しい投稿エディターで作成されます。7月15日までにこの変更を完了させる予定です。

2023年4月13日付けのtumblr日本語スタッフさんの投稿より

レガシーエディタというのは古い投稿編集ツール。わたしが使ってきたものだ。noteと同じように記事の作成前にテキストとか画像とか動画とかを選択してから編集をはじめる。余談だけどnoteをはじめたときにtumblrが参考にされているのかも?!なんて思ったぐらい、その部分は似ている。どうやら新しい投稿エディタはこのカテゴリ選択がなくなって、内容に応じて適宜メディアを挿入する仕様らしい。

テーマをお使いの方は、新しい投稿エディターで作成された投稿に対応しているかどうかを確認し、対応していない場合はアップデートしてください

同じくtumblr日本語スタッフさんの投稿より

ともある。ああ、やはり時代の変化にはついてゆかざるを得ない。なんたって“tumblr”なのだ。変化することはそのネーミングからして織り込み済みではないか。

しかしながら、わたしが使わせてもらっているテーマEliseとEffectorのどちらとも新ツールには対応していない。となるとやっぱりあらたなデザインに切り替えるしかないか。ただしそのテーマは旧投稿にも対応している必要があるけれど。それともギミックのないとてもシンプルなデザインにしてしまうか。良いものがあればそれでも良いか。

日本語サポートページにはこのようにも書かれている。

是非、Tumblrにフィードバックを送ってください。特に、従来の投稿エディターから新しい投稿エディターに切り替えられる場合、あなたの体験についてお聞かせてください:レガシーのワークフローや機能で、新しいエディターに望むものがあれば、合わせて教えてください。

同じくtumblr日本語スタッフさんの投稿より

ダメもとでフィードバックを送ってみた。きっと同様のフィードバックは寄せられていることかと思うけど、伝えるべきことは伝えなくては。レガシーに適用されていたギミックを新エディタの投稿にも使えるようにしてほしいと、具体的にこの部分と画像も添付して書いておいた。

と同時に、現在公開されているグリッド形式のテーマもいろいろと物色している。良いものに巡り会えれば切り替えるつもりで。

現在のテーマが対応してくれるかどうかは不明だから、しばらくはウェブサイトのデザイン面で試行錯誤するのは覚悟のうえだ。モノクローム作品のギャラリーをその実験場にすることになりそうだ。

前半が過ぎた2023年。ここで文字どおりtumblrによってtumbleされた(=ひっくり返された)わたしのウェブサイトのデザイン設計。今年の後半は、どうせならこれを機にもっと積極的にウェブサイト運営自体を考え直しても良いかもしれない。そうして変わり続けることこそtumblrを使うメリットなのかもなと思いはじめた。

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