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オリンピックは旗マニアの祭典でもある(イベント予告つき)

先日、唐突に『国旗の図鑑』の宣伝をした。

オリンピック前に国旗図鑑というのは、旗マニアにとっては自然な取り合わせ。だけど、旗にさほど関心がなければ、関連あるようにはとえられないものかもしれない。だから、「唐突だけど」と前置きして書きはじめた。

これは、このエントリの前ふりだった。

オリンピック、とくにほとんどの国と地域が参加する夏の大会は、各国の旗を観ることのできる絶好のチャンス。わたしのような旗マニアは、国旗があつまっているだけで嬉しくなる。

オリンピック参加国のなかには、普段ほとんどニュースにも取り上げられない小さな国や地域がある。そんな国や地域の旗は、こまかなデザインや色味などが、書籍によって微妙に違っていたりする。それを確認するには、各国政府が関係しているオリンピックはうってつけの機会なのだ。

ただ、オリンピックで使われる旗は、それぞれの国や地域ではためいているものと完全に一致しているわけではない。それには、おおきくわけて2つの場合がある。

ひとつは、いろんな理由で国や地域の政府が決める旗を使用できない場合。政治的な理由からチャイニーズ・タイペイとして参加する台湾、今大会ではドーピング問題で国として参加できないロシアの選手団がこのケース。それぞれオリンピック委員会の旗を使用する。事情は違うけど、母国から出場できないアスリートたちの難民選手団は、オリンピック旗を使用することになっている。

もうひとつは、縦と横の比率が2対3ではない場合。国連などの国際機関では、各国のあつかいに差をつけないために、同じサイズ、同じ比率で旗を掲揚することになっている(唯一の例外は、四角形ではないネパール)。オリンピックも同様の理由で、全て2対3に統一している。

だから、もともと1対2の英国旗、もっと細長いカタール国旗などは寸詰まりのような印象になってしまう。

それぞれの国で決められた旗は、この縦横比率もふくめて、理想的なデザインがされているはずだ。比率や細部にまで理念が込められた旗のデザイン。国や地域のアイデンティティを尊重するためにも、なるべく正確なデザインを知ることは重要だと思う。

ただ、国際的な視点だと、国連やオリンピックのように平等にあつかうことを優先することも理解できる。どちらの立場にたつか、国旗をあつかった書籍や出版物によって、わかれている。同じ執筆者、監修者でも出版物の意向によってこの立場が変わることがあるのは興味深い。

ちなみに、あかね書房『国旗の図鑑』は、各国の決めた比率で旗のデザインが紹介されている。そこはわたしの意向と一致していてよかった。

もうすぐはじまるオリンピックに、心躍らせている旗マニアは、わたしだけではない。

実は、わたしの所属する日本旗章学協会の有志が楽しいイベントを予定している。それは、”Tokyo2020国旗解説”。開会式の入場行進にあわせて、ひたすら国旗・域旗について解説するというもの。

司会進行が1名、解説係が5名。実はわたしは、解説する5名のうちのひとりだ。下の動画は、そのイベントの予告動画。

この予告動画は、試しにロンドン大会の入場行進の映像を観ながらおこなったリハーサルの音声を編集したもの。ちなみに、わたしはこの動画のなかでは、アメリカン・サモアとバミューダの旗について話している。

ひとりあたり、だいたい40程度の国と地域を担当する。分担を決めてはいるものの、どうなるかはまったく予想がつかない。

なぜなら、今大会では人数を制限したり、選手間の間隔をあけたりと、感染症対策がとられるからだ。

また、現時点で選手村での陽性者が続出しているといった不穏なニュースが報道されていたりする。だから、どんな形で入場行進がおこなわれるのかも定かではない。それぞれの国がどれくらいの時間をかけて行進するのかもわからない。

出たとこ勝負。それがまた楽しい。きっと想定外のことが出てきたりして、司会と解説係があわてたりしながら、わいわいと旗談義をして時間がすぎるような気がする。そんなライブ配信をとおして、旗マニアたちの楽しんでいる様子がつたわれば、そして旗を見るおもしろさに共感してくれる人が増えればいいなぁと思う。

そのライブ配信は、以下のリンクから。とりあえず開会式がはじまる予定の23日午後8時から、配信を予定している。

たぶん、入場行進がはじまるまでは雑談なんかをしつつ、最初のギリシャがはいってきたら旗の説明をしはじめることになる見込み。テレビやネットの中継で開会式の様子を観ながら、副音声として旗についての説明を聴いていただけるととても嬉しい。


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