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2023年の“買ってよかったもの”

数日前に今年を総括するnoteを書いたところだけど、なんとその翌日にnote公式さんから連続投稿企画を開催する旨のお知らせがあった。

そのお知らせを見て、書き忘れていたことを思い出した。それは「#買ってよかったもの」。

毎年なにかしら買ってよかったものについて書いていたような気がするけれど、今年はまだ書いていなかった。タグに「今年」とあるから、こればかりは年が変わる前に書いておかなくてはならない。

今年の買ってよかったもの、それは一日一画7000枚のときにも触れていた河内洋画材料店さんのBig Oil Pastel Baby。これをおいて他にない。

今年の4月に、デパートの催事でたまたま知った河内洋画材料店さんのオイルパステルBig Oil Pastel Baby。練りも発色も良く、相性の良さを感じている。

9月26日付け拙note「毎日描いて7000枚」より

そのデパートの催事は、「暮らしの商店街」という名称で、日常のさまざまなシーンを彩る素敵なもの、手づくりの物品を集めた催しだった。

わたしは琵琶湖産の養殖真珠をあつかう神保真珠商店さんを訪ねる目的でこの催しに足を運んだ。その神保真珠商店さんの小間裏に河内洋画材料店さんのブースがあった。

色とりどりの何かがずらりと並んだショーケースが目を引く。その存在感は圧巻だった。よく見ると「オイルパステル」とある。なんと、わたしのメイン画材のオイルパステルではないか。わたしは恥ずかしながらその製品を知らなかった。ちょっと太めの四角柱のスティックにはブラウンの紙が巻かれてあって、Big Oil Pastel Babyと印字されてある。

ブースの背後には試し描き(落書き?)のスペースが柱に設置されていて、すでに思い思いの試し描きがたくさんあった。わたしは濃いグリーンを選んでぐりぐりと塗り付けて指で伸ばしてみた。思いのほかスムーズに伸びて、これは使ってみなければと確信した。

製品ラインナップにはBig Oil Pastelという巨大なシリーズがあって、これはその小型版だからBaby。そういう説明だった。Bigなほうは確かにとても大きくて、壁画のようなかなり大きな画面をぐいぐい塗りこめるには重宝しそうだ。しかし、わたしが毎日使っている小さなスケッチブックでは持て余すのは間違いない(以外リンク参考)。

そういうわけで、わたしはもっぱらBabyのほうをターゲットにした。

画材にしては珍しいことにBig Oil Pastel Babyの色には名前がついていない。手作りでその都度顔料を練っているため、特定のレシピがなく再現性が確保できないのが理由らしい。逆に言えば、その色はその時に作られた製品にしかない色。一期一会である。

わたしは一期一会に弱い。この機会を逃すと間違いなく後悔する。そう直感したので、買うことに決めた。

このときに買ったのは寒色系と暖色系を10本ずつ。その後、河内洋画材料店さんが東京の催事で販売されるタイミングに足を運んでは買い足し、現在は50本を所有している。

わたしはいくつかのオイルパステルのブランドを使っていて、やわらかめのものが好みだ。このBig Oil Pastel Babyもやわらかい部類。やわらかいものは指を使って伸ばすときにコントロールしやすいのと、紙の目にすり込むことができて強い着色の深い表現ができる。

このnoteのために手元にある異なるブランドのものを比較してみた。

5種類のメーカーの製品を同系色で比較。何年も使っていない硬いものは除外した。

左からBig Oil Pastel Baby、サクラクレパスのSpecialist、カランダッシュのNeopastel、ホルベインのArtists' Oil Pastel、そして右端がセヌリエのPastel à l'huile。色によって練りの違うものもあるので同系色を選んで線を引いてみた。そして左から右に指をスライドさせて伸ばしてみた。線の太さが違うのでそれを考慮しないときちんと比較できないけど、紙への定着と伸び具合がそれぞれ異なっているのはだいたいわかる。

そしてそれを意識しながら、一日一画の絵を描くことにした。選んだモチーフはオイルパステルの重なりと伸びが活かせそうなガラス素材。買い置きしていたスパークリングワインのハーフボトルを寝かせてスケッチした。

12月26日の一日一画。

使ったのは8割がたBig Oil Pastel Babyで、残り2割がホルベインとセヌリエというところ。その様子がわかるように制作段階ごとにその時に使ったオイルパステルを紙に置いて撮影したものを載せておく。

制作途中、段階的に撮影したもの。
  1. 左上:下絵に相当する輪郭はグレーのBabyだけを使った。

  2. 右上:ボトル本体のグリーン部分はBaby2色とセヌリエ1本。もう1本のBabyは暗い部分に使った黒。セヌリエ製品には透明色があり、このビリジャン系は透明色なのでBabyの上にかぶせた。

  3. 左下:ラベルとキャップ(?)部分に使ったブラウン〜イエローオーカー系もBabyが6本とホルベイン2本、セヌリエ1本。グレーがBaby1本。

  4. 右下:細部とハイライト。Babyが4本、ホルベインが2本、セヌリエが1本。ラベルの文字はホルベインの黒で、ハイライトはBabyとセヌリエ。隠蔽力の強い白はハイライトの王道だけど、ことガラス素材の光沢には重宝する。

このように、もはやBig Oil Pastel Babyはわたしの主力ツールになっている。出だしから大まかな下地まではだいたいBabyだけでざっと描ける。質感や細部の表現には、これまでの経験から描写に適したものを使う、そんな感じ。

わたしがオイルパステルを使いはじめたのは2002年。わたしのオイルパステルのラインナップは2006年にセヌリエ製品を買って一変した。近年ホルベインをちょっとずつ買い足して、わたしのオイルパステル画はセヌリエとホルベインが9割がたを占めていた。今年のBig Oil Pastel Babyはそれを一変させたのだ。17年前のセヌリエ導入時に匹敵する影響力だ。

だからこのnote公式の「#買ってよかったもの」タグを見て、書かずに年を越すわけには行かないと思った。

今回の連続投稿チャレンジ、ほかに「#今年のベスト映画」「#今年のベスト本」など気になるものもある。来年は来年で「#note書き初め」「#今年やりたい10のこと」など、思わず書きたくなりそうなお題が並んでいる。もしかして1月9日までに5本の執筆はできるかも?

軽はずみなことは言いたくないものだけれど、年末年始の過ごし方次第ではこの連続投稿チェレンジにトライしてもいいかもなぁと考えはじめている。

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