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ニューヨーク研修で知ったアーティストと、日曜日美術館で知った農民画家。

私は普段イラストを描くとき、ピンタレストで参考画像を探したり、過去の流行を振り返ったりしながら仕事に合わせてイラストのタッチを模索することが多いのですが、「この人のイラストや作品は常に参考にしていきたい!」と思っている方が2人いるので紹介します。

私は仕事以外にも「農民イラスト」というライフワークをしているくらい動植物を描くことが好きなのですが、今回紹介するお2人も自然のモチーフを描くことが多い方です。

1人目:Charley Harper (August 4, 1922 – June 10, 2007)

1人目は、会社の研修でニューヨークに滞在したときに知ったチャーリー・ハーパーさんです。彼は自らをアーティスト・ナチュラリストと称し、野生動物のイラストレーションにそのキャリアを捧げた方です。
ジャンルでいうとサイエンスアートですが、当時のサイエンスアートとは一線を画す画風が特徴的です。

独自の視点でデフォルメしつつも、生命感までは削ぎ落とさない絶妙な表現。。。これはすごい領域だなと、最初見たときは本当に衝撃でした。

そしてこのタッチに惹かれた理由も明確で、私の原体験につながっています。
私が小学生のとき、登下校中の道のりでは動植物の採取や観察もひとつの楽しみでした。ある日家の近所の紫陽花の葉っぱのなかにナナフシを見つけたのですが、よく見ると隣の葉っぱにもいて、さらにその隣にも、またまた隣にもナナフシが!そう、ちょっとした大量発生だったのですが、その光景が当時の自分にとってはその紫陽花とナナフシの集合体がひとつのアート作品のように見えたのです。
それは、単に風景というよりは「ここに命があるんだな」「命の表現って面白いな」と思わせるような鮮やかな印象がありました。

チャーリー・ハーパーさんの作品を最初見たときもまさにそんな印象で、ミニマルな輪郭線や色使いで構成された自然の造形に鮮明な生命感が漂っていているように感じました。作品としてもユニークで美しく、サイエンスアートとしても楽しめる彼の表現は、常に感性を刺激してくれます。


2人目:坂本直行(1906年7月26日 – 1982年5月2日)

2人目は、日曜美術館で知った、坂本直行(さかもとなおゆき)さんです。北海道釧路市出身の農民画家です。
画家といっても画業に専念したのは50を過ぎてからで、大学は父の勧めで北海道帝国大学(現・北海道大学)農学実科に進学し、山岳部に在籍して登山に親しんでいたそうです。在学中からスケッチが好きだったそうですが、卒業後は温室会社に就職してその後起業を決意。しかし父の資金援助が頓挫してしまい起業を断念。その後農場経営の道へ進み、結婚をして十勝地方で暮らしていましたが、農園での生計にも限界が来た頃に知人から持ちかけられた札幌での個展に挑戦し大成功。1959年には東京でも個展を開催し、その後本格的に画業に専念された方です。

日曜美術館ではその生涯を丁寧に再現されていたのですが、途中に出てくる実際のスケッチが本当に素敵で、、北海道の風景も相まって大ファンになりました。
放送で知ったのですが、彼は帯広市の六花亭製菓の包装紙のデザインを手がけたことで有名だそうです。包装紙は見たことがありましたが、まさかその絵が坂本さんのものとは知らずに見ていたのでそれも驚きでした。

彼の作品は1人目のチャーリーハーパーさんとは全く違うタッチですが、彼も無駄の無い線で自然の生命感や存在感を写すことが本当に上手く、どうしたらこんなに素直に素敵に描けるのだろうと考えさせられました。いつか原画を部屋に飾りたい。


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