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リモートワークのエンジニアリングマネージャーとしてやりはじめてること

今年の3月からチーム内でエンジニアリングマネージャーを名乗って活動をはじめた。活動をはじめるうえで、まずやったこと、どういうことに心がけているかメモ。

□ チームの状況

数十人の規模。
マネジメントの対象職種はエンジニア、ユーザーサポート。
それまでプロダクトをマネジメントしていた重要人物が2月で退社。
残ったメンバーで再スタートをしようというタイミング。
会社としても人数が増えてきて、組織の構造も階層として出てきた。

□ 会社でのエンジニアリングマネージャーの定義

うちの会社では評価はチームとは別枠で、採用は人事+現場のエンジニアがやっている。

今のところそれでまわっているのでEMが今すぐ入ってよくなることもない。そのため評価や採用は直近のスコープから外している。周りには、EMは「チームのパフォーマンスを最大化する」ために"チームの構造を定義"して、"みんなが気持ちよく仕事できる環境づくり"をします、という言い方をしている。

□ エンジニアリングマネージャー以外のマネージャー

組織構造的には課長、部長、経営陣などがいる。実際の人事権とか予算はそういう役割がもってる。正直言うと、社内的にはエンジニアリングマネージャーは自分が自称しているだけで、正式なロールでもなんでもなくて、自分がやりたいと思ったことを勝手にやらせてもらってる状況である。

□ チームと自分

入社して約2年。エンジニアとしてジョインしつつ、チームをスケールさせるために権威勾配を下げる活動を地道にやってきた。https://speakerdeck.com/yusukekokubo/20180218backlogworld

直近ではプロダクトオーナーとしても活動し、チームの中で一定のプレゼンスを培ってきた。
https://backlog.com/ja/blog/backlog-with-typetalk-slack-chatwork/

□ 制約

国内では、福岡、京都、東京に拠点がある。そして自分は名古屋市在住。普段は自宅でリモートワークしながら週に2,3日京都事務所に出社している。たまに東京、福岡にも出張。
https://www.wantedly.com/companies/nulab/post_articles/112872

□ この3ヶ月でやったこと

・チーム全体の会議体の設計、運用。
・メンバー全員へのアンケートと非同期の対話。

以下、詳細。

□ チーム全体の会議体の設計、運用

チームが新しいスタートを切る上で、まずすべての会議体を見直した。それまでのミーティングは10人以下の人数に最適化されていて有効に活用できているとは言えなかった。

個人的にはチームの様子が一番現れるのがミーティングだと思っている。ミーティングがうまくいってるチームは効率的でコミュニケーションもよく取れている。 最小限の時間と参加者から最大限の成果を得られるのがミーティングの理想である。

どのようにミーティングを設計して、チームの全員をうまくコミュニケーションしてもらえるようにできるか。ぼくはとても重視している。
とはいえ、既に動いている日常の業務もあるので、ゆっくり考えている時間もない。そのためチーム共通のミーティングを設計して運用することを最優先に考えた。

会議体を考えるうえで大事なのは
・ チームにどんなミーティングがあるのかみんなが見える場所にある
・ 一つ一つのミーティングの目的が明確
・どういう人が参加するべきなのかわかる
・開発プロセスのどこにどのミーティングが関連しているのか見てわかる
・ マーケティングやサポートなど、エンジニア以外とどこでコミュニケーションを取るのか関係者と合意する
・ 最適なやり方はつねに変わっていくのでチームのカタチにあわせて会議体も変えていく

だいたいの会社と同じようにマクロな視点の戦略策定から、プロジェクト個別の進捗があり、リリースに向けてのプロモーションがあり、リリース後の運用やキャンペーンがある。その一つ一つが全体につながることを意識して設計した。
こんな感じで少しずつまわり始めている。きれいに回ってると自信を持って言える段階では全くないけれど、この試行錯誤を繰り返すプロセスがぼくは大好きなのだ。

□ メンバー全員へのアンケートと非同期の対話

会議体など全体の構造をつくりつつ、メンバー個人との対話をしている。とはいえうちの会社は拠点が分散しているのでオフラインで気軽に話せる環境ではない。それにEMは自分一人なので、メンバー全員と時間をあわせて同期的に会話するのも難しい。

そこでひと工夫。
・ 今のチームの状況、個人の意見を聞くアンケートを取る
・そこでもらった意見を踏まえてチャットのDMで意見を掘り下げて聞いていく(非同期のコミュニケーション)
・特にフォローが必要そうな人は出張して対面で支援する(来月から開始予定)

こんな感じで順調に仕事している人と、フォローが必要な人を分けて、フォローが必要な人に個別で支援を考える、ということをやろうとしている。

まだやりはじめたばかりなので成果はこれからだけど、なんとなく上手くいきそうな気はしている。

一つ気をつけているのはDMなどのテキストではネガティブな話はしない、ということ。文字情報は感情がのりにくいので感情の行き違いが起こりやすい。なのでネガティブになるかも、という話は避けるようにしている。

□ マネージャーとして活動するうえでの心がけ

ぼくは仕事をするうえで、あるいはチームで仕事をするうえでのマインドをとても重視している。たぶんそういう性格なんだと思うけど、普段心がけていることをいくつかメモ。

EMがチームのボトルネックにならない
自分が承認しないと先に進めない。自分が進捗を出さないと意思決定できない。そういう環境にならないように気をつける。マネージャーというのは全体の流れを整える役割であって、せき止める役割であってはいけない。

マネージャーはチームがつくる料理(プロダクト)のレベルを引き上げるスパイスであって、マネージャー自身が料理の素材にはならない、というのがぼくの考えである。

周りからのフィードバックを求める。もらったときに感謝する
人はフィードバックによって成長のループをまわる。しかしマネージャーと呼ばれる人がフィードバックをもらうためには工夫が必要。今のところまだこれといった手は打ててない…。たまにもらったときは感謝の気持ちをできるかぎり伝えようとはしている。

マネージャーという役割に対して絶対的に誠実である
一緒に仕事する人にたいして何をもって相手を信頼するか?ぼくはその人が持つ「誠実さ」であると思っている。自分がEMという役割がどれだけ大切だと思っているのか、発言や行動で示すことで誠実さを伝えることが必要。

これはマネージャーに限った話ではなくどんな役割でも広く一般的に言える話だと思っている。

チームに与える影響の大きさに責任感を持つ、その重さを楽しむ
自分のちょっとした行動や決定がチームに大きく影響する。その影響力を実感しながらも楽しんでいる。チームをよい方向に導くことで、よりよいプロダクトがつくられていくことを楽しむ。

自分のためにチームがあるんじゃない、チームのために自分がいる
あくまでも自分はチームのひとり。全体のバランスの中での自分の立ち位置を見失わない。自分の成果はチームの成果。ハッピーなことはみんなで共有した方が嬉しいし、思い出にもなる。

書いてみて思ったけど、マネージャーだから、という話はあんまなかった。

#エンジニアリングマネージャー

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