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エンドフィールをどう診るか

関節可動域制限の制限因子を特定するエンドフィール(endfeel:最終域感)を評価する事で、臨床推論に役立てていきましょう!

参考文献:市橋則明(2014)「運動療法学 障害別アプローチの理論と実際 第2版」文光堂

エンドフィール(endofeel)とは

関節可動域運動における他動運動での最終域でセラピストが感じる抵抗感をエンドフィールと呼びます。

1)骨性 硬く、弾力のない最終域感。痛みはない。

骨同士の当たるようなエンドフィールです。正常可動域に達する前にこのエンドフィールを感じたら骨折やりリウマチによる骨の変形などにより骨性に制限されている可能性が高く、それ以上の関節可動域の改善は望めません。関節可動域制限は基本的に禁忌となります。

例:正常な肘の最終伸展域で感じられる最終域感

2)軟部組織接触性 弾力性のある軟部組織が圧迫されて運動が止まる最終域感。

軟部組織(特に筋)同士が接触する事でそれ以上関節運動ができないエンドフィールです。臨床的には関節の腫脹や浮腫によりこのエンドフィールを感じる事があります。

例:正常な肘や膝の最終屈曲域で感じられる最終域感

3)軟部組織伸張性 少し弾力のある硬いバネ様の最終域感。

運動の最終域に近づくにつれて、軟部組織が弾性のあるバネ様の感覚、緊張感が増すような感覚が認められます。この最終域感は伸張される組織の太さによって異なります。筋、関節包、靭帯が主な運動制限となります。

ギプス固定後や廃用性による関節可動域制限は、この軟部組織伸張性のエンドフィールである事が多いです。

例:アキレス腱や手関節などへの静的ストレッチで感じられる最終域感

4)筋スパズム性 他動運動中に突然運動が遮られるような急な硬い最終域感。痛みを伴う事が多い。

炎症や急性期症状があるときに正常可動域の前に出現する急な硬さ、または不安定性がある関節において運動に対して過敏になる事で出現する硬さのエンドフィールです。検者が運動を速く行うほどスパズムを生じる割合が高くなる事が多いです。

例:手術直後の関節に痛みがある状態で、患部を検者に動かされた際にそれを保護する、もしくはさらに組織が損傷されないように無意識に作用する最終域感

5)無抵抗性 他動運動中に痛みや恐怖心のため突然患者の訴えにより起こる。構造的な抵抗感はなく、何も感じない最終域感。

術直後の関節や痛みの強い関節によくみられます。患者の訴える可動域以上を動かそうとするとエンドフィールは筋スパズム性に変化する事が多いです。

6)弾性制止性 跳ね返るような最終域感

伸張するような感じはなく、半月板のある関節内に生じる事が多いです。

例:膝の半月板が離断して、関節がブロックされた状態や完全伸展が不可能な際に感じらる最終域感

まとめ

運動、動作を改善する上で、各関節の可動域制限がなざ起きているのかを特定することは非常に大切です。関節可動域制限の制限因子を特定するために、他動運動時のエンドフィールをしっかり評価して、治療に活かしていただければと思います。




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