誰かと誰か

ヘッドライトの明かりの前で
細かい雨が踊る
11月の末ともなると
その雨は氷雨
コートのフードをかぶり
その雨の中
駅への歩道を急ぐ

駅前の商店街は
すでにクリスマス
街の人達が早足なのは
寒いからだけではなく
家に待っている人がいるから

待つ誰かの元へ行く誰か
誰も待つ人のいない誰か
誰も待っていない部屋へ帰る誰か
誰かを待つ誰か

同じ『誰か』という言葉なのに
みな違う『誰か』

そんな誰かの上に
踊りながら降ってくる
細かな氷雨

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