空蝉

からっぽがいいと思った

なんにもない
からっぽの
がらんどう

そんな
人生が
いいと思った

雨に打たれれば
ただただ濡れて

風に吹かれれば
ころころと転がってゆく

そんな
人生が
いいと思った

人間だから
そんなふうには
生きられない

朝起きて
食事をとる
TVのニュースを
横目に見て
まゆをひそめる

人間だから
社会とのつながりを持って
生きていかなければならない

くるしい

仙人は
霞を食べて
生きている
という話を聞いて

うらやましいと
思ったものだ

青い空を見ながら

からっぽがいい


今でも思っている

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