パパイヤは雑草

街路樹にヤシの木
生け垣にハイビスカス
庭木にバナナ
雑草のようにパパイヤが茂る

そんな島に
住んでいたことがある

パパイヤが
そこらじゅうに生えてるのを
最初に見たときは
正直ビックリした

子供の時に読んだ童話では

庭には果物の実る木が
たくさん植えてあり
毎朝いろいろなフルーツが
食卓にならぶのでした

なんてのがあったけど
まさか現実に
そんな島があるなんて!

引っ越した初日に
ウキウキしながら
そこいらへんのパパイヤを
もいで食べてみた

うっ!

その不味さと言ったら...

島の人に笑われた

「パパイヤってのは、
ちゃんと選んで栽培してるんだよ。
柿にも甘いのと渋いのがあるように、
パパイヤにも、
美味しいのと不味いのがあるんだよ。」

なるほど
甘いパパイヤは
ちゃんと育てられたヤツなんだな

そう思ったら
島中に生えているパパイヤが
雑草にみえてきた

そんなパパイヤでも
島の小鳥たちには
大事な食料

熟れたパパイヤは
大概穴が開いていて
小鳥が果肉を突いている

果肉と一緒に種を鳥が飲み込んで
島のあちこちで糞をする
鳥の体内で消化されなかった
パパイヤの種が
島のあちこちで芽吹く
雑草のようにパパイヤが茂る
システムが成り立っていた

島の人達は
青いパパイヤをもいできて
皮を剝いて
薄くスライスして
サラダにしたり
野菜炒めにしたり
細かく千切りにして
刺身のツマにしたり
果物としてではなく
野菜として利用していた

それを見たら
島が巨大な
パパイヤ畑に
見えてきた


こうして都会に暮らしていると
パパイヤが雑草のように生い茂る
あの島が懐かしい


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